3つの「キーワード」より

はりねずみ

第1話「遺書」「浮いてる」「妹分」

私には、可愛い可愛い妹分がいた。


…いた。


。.ꕤ………………………………………..ꕤ.。


「ねぇ、お姉ちゃん♪」


「ん?」


「今日は何の日か知ってる?」


「え?…みーちゃんの誕生日じゃないでしょ?なんだ?」


「『 なんだ?』じゃないよ。もう、なんで忘れちゃうかな?…本当に言ってる?」


「…玻璃(はり)がうちに来た日でしょ?」


「~~~っ…天邪鬼だ!!」


「あははっ!!」


っと、まぁ…こんな会話をしてたもんだ。


これは、いつの記憶だろう。


。.ꕤ………………………………………..ꕤ.。


思い出しては消えて沈む。


思い出が浮き上がったかと思えば…本当に、すぐに、奥底に沈んでしまうのだ。


…ぽちゃん。


揺らぐ水面を見て、うたた寝していた事に気付く。


。.ꕤ………………………………………..ꕤ.。


あの子が居なくなって、地に足が付かないような浮いてるような気持ちで過ごしてきた。


いつまで続くのかと遺書を綴り始めた。


…カタン。


ふいに音の鳴るほうへ振り返る。


あの子と逃げていった猫の写真が見ているような気がした。


手に取る。


写真立ての中の私達は…幸せそうに笑っていた。


「……うん…やめた。…いつか逢える時まで笑っててよね。」


机の書きかけを破ると…柔らかい風が頬を撫でた。

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