殺し屋連続殺人事件
羽弦トリス
第1話プロローグ
男はパソコンに向かい、一心不乱に数字の羅列を打ち込んでいた。
男の名は、椛山貴史である。
東山大学理工学部准教授でありながらも、趣味のギャンブルで数百万円の借金があった。
毎月、利子を払うのがせいぜい。元金は減らない。
彼は、教授を目指し頑張ってきたが、もう生活の限界だ。
家賃15万円のマンションの家賃も苦しい。
そこで、彼はある新聞広告の欄に、
『入居者募集』
の文字を見つけた。
調べると、資産家の老夫婦が住む3階建ての一軒家の部屋が余っているので、家賃5万円で入居者を募集しているようだった。
椛山は、その広告に飛び付いた。
すぐに電話して、老夫婦の面接を受けた。
大学准教授と言う肩書きだけで、老夫婦は快く椛山の入居をOKした。
しかし、でかい家で、庭も広い。専用プールも、テニスコートもあった。
椛山は、入居1ヶ月のうちに老夫婦と懇親の仲になり、酔った大家のおじいさんの権蔵から金庫の中身を見せてもらった。
現金、金のインゴット、高級腕時計などなどかなりの額のモノを保管している事が分かった。
そこで、椛山は思った。
老夫婦を殺害し、金庫の中身を頂戴しようと。
もちろん、椛山が自ら手を下さない。
1ヶ月前に入手した、殺し屋リストから適当な殺し屋を選び、老夫婦を殺害させ金庫の中身を奪う計画を立てた。
ある日の晩、老婆のツルはけんちん汁を椛山にご馳走した。
寒い季節のけんちん汁は身に染みた。
悪いが、明日は権蔵じいさん、ツルばあさんには死んでもらう。
椛山は、夜、近くの公衆電話から殺し屋に電話をした。
明日、老夫婦の資産を奪ってやる!
そう、椛山は誓った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます