身体を売るキミと、身体を売らせるオレが、恋人になる話

水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴

プロローグ

かわいいあの子は身体を売っている

俺は遅れて3限の講義に来た。

一回生の必修講義だ。

一番後ろの席にこっそり座った。


4月のオリエンテーションで、早くも出遅れてしまった俺は、ぼっちになってしまった。

代返を頼める奴もいないから、半分も出席者がない退屈な講義に出ていた。

みんな大学生活を楽しんでいるらしい。


一番前に座っているあの子……

いつも一番最初に教室へ来て、一番前にノートを取って、講義後には教授に質問へ行く。


いわゆるガリ勉の優等生……なんだけど、めちゃくちゃかわいくて、陽キャグループと一緒にいる。

今年のミスコン優勝候補との噂だ。


ブラウンの緩く巻かれた髪に、白いワンピースの清楚なお嬢様って感じなんだけど、胸は大きくてエロい身体をして……


正直に言おう。

俺は彼女――相馬奏そうまかなでを遠くから見て妄想するのが楽しみだ。

きっと俺と同じことをしている男子は、この教室に何人もいるだろう。

あの偉そうな教授も、その中の1人だ。


俺と相馬さんは、実は同じ映画研究サークルに入っているんだけど、相馬さんが部室にいるのを見たことがない。

新歓コンパの時に、公園で花見をしたんだけど、その時に一度だけ来ていた。

相馬さんの周りだけ、桜の花びらが舞ってきれいだった……

もちろん陰キャの俺は、話しかけることはできなかった。


ただ、こないだ映研の奴から聞いたけど、相馬さんには……ある噂があった。

高級デリヘルで、相馬さんとそっくりの子がいたとか。

まさか、あんな清楚で真面目な女の子が……ありえない。

それに、相馬さんの家は超お金持ちらしい。

奨学金をフルで借りてる俺と違って、全然お金に困っていないはずだ。


でも……俺は、ありえないことを想像してしまう。

一糸まとわぬ姿になった相馬さんが、俺のを……口に。

あの大きな胸に……挟まれて。

何度も俺たちは求め合うんだ。


あくまでこれは俺の妄想だ。

デリヘルの話も、健康な男子大学生たちの妄想の産物に違いない。

あんなかわいい子と、いいことができたら……男ならみんなそう思うから。

俺は相馬さんの背中を眺めながら、どうしようもない妄想を楽しんでいた。


――この時、俺の妄想が現実になるなんて、知らなかった。





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