第36話「瞬く間の流星が如く」

「ウルォァッ!」


キングオーガが怒号を上げて拳を振り下ろしてきた。


「行こうぜ!相棒」

「あぁ、そっちは任せた!」


ゼクターと僕とで双方に分かれてキングオーガの動きを鈍らせる。

魔法と物理で攻撃をし続けた。


「おいおい、アイツらの攻撃早くないか?!」

「アレが伝説のパーティー【流星スター】の攻撃の要となる二人だ。あの二人が依頼を受けたらその先々で無傷で帰ってくるって話があったんだ」


二人が限界突破し、木々を利用して縦横無尽に駆け走る。


「スキル使うぞ!」

「よし来た!」


再び夜空が空を覆い、辺りは暗くなる。


「【猫目】!」

「サンキュー!助かる!」


スーミラのスキルにより、キングオーガの位置が把握出来た。


「「ハァ~~~ッ!」」


僕とゼクターの持ち手の武器を使ってそれぞれの個所に切り刻む。


「ウガァ~ッ?!」


所々切り刻んだおかげでちゃんと痛がっていた。


「さて、そろそろだよな?」

「あぁ」


二人で一斉に突き刺した。


「ギィヤァォォォオオァアッ?!」


キングオーガは絶命した。


「やっと・・・・・」

「終わった・・・?!」


次の瞬間――――


「勝った・・・勝ったぞ~!!!!」

「やったぁぁぁぁぁぁあああああッ!!!!」


やっとの事でキングオーガを倒した。

数日後――――


「凱旋パレード?」

「えぇ、我々が功労者だからと・・・・強制だそうで」


国王陛下の指揮の下、凱旋パレードを近日中に行う事にしたそうだ。


「俺等か~・・・まっ、あの人からのお願いってんなら参加するしかないな」

「準備してきます」


ナルが部屋を出て行ってから俺はギルドに連絡する事にした。


「――――って事で、ギリアムさんも参加する事になると思うんですが」

『判ったわ、伝えておくわね』


そして、夕方になり――――王都ではお祭り騒ぎになっていた。


「いや~!あんときはどうなるかと思ったぞ!」

「だな!」


大人がお酒と女でどんちゃん騒ぎを起こしながら互いに褒め称えていた。


「しかしまぁ~【流星】パーティーはやっぱ強かったよな」

「あぁ、噂以上のスピード感、そして何よりも類稀なるコンビネーション!ありゃ~どのギルドでもどのパーティーでも真似は出来ねぇな!」


伝説のパーティーの名前なだけあってどのパーティーでさえも【流星ぼくら】を目標にして研磨していく冒険者が多く増えている。


ドレス

「やっ、ギルマス。お酒どうだい?」


「おっ・・・ドレス、帰って来てたか」


ドレス・モーデン、モーデン大公家の三男坊でありながら冒険者資格を持つ。

モーデン家の中で冒険者としての素質を見出されて実父から勧められた冒険者をやり始めたそうだ。


「ドレス、最近大怪我を負って実家で療養してたんだって?大丈夫なのか?」

「スタヴ先輩、やっと怪我が治って今日が復帰ですよ。も~だいぶリハビリで完治したんで。無理しない程度に暫くはランクの低い依頼を先に受けるつもりです」


彼はそう言って片足を若干、引き吊りながらその場から去って行った。


「彼はまだあの状態で?」

「あぁ、スーミラのあの魔法が嫌いだからな。自力で医者に頼って治して貰ってるんだとよ」


男二人で祭りをやっている下町に足を運んだ。


「ギルマス~!スタヴさ~ん!串焼きどうっすか~?!」

「あぁ、頂くよ!。ギリアムさんは?」

「スマン!二本くれ!」


元冒険者の人が「あいよっ!」と言い、早速作り始めた。


「で~串にさして・・・醤油に付けて・・・どーぞ!」

「助かる」


二人で頼んだ串の具を頬張る。


「おっ、おーい!」

「よっ、珍しいな?ギリアムさんと来るなんて」


ゼクター達はティーリジアさんと一緒に祭りに参加していた。


「ほれ、リア。お前、こういうの好きだろ?」

「あら、肝臓の・・・ありがとう。こう言うの食べたかったのよ」


あれよあれよと祭りを楽しみ、クランハウスに戻って来た頃には既に外が真っ暗だった。


「――――って事で、このクランハウスは明日から暫く各自の判断で行動するように。休みたい奴は休みに入っとけよ~」


僕の所属しているクランハウスは次の日からほとんどが室内で寝過ごすか、出かけて気分を入れ替えるかの人が多い。


「さて、俺は明日から暫く寝るか」

「俺も一日中爆睡しよっかね~」


武器のメンテナンスはほぼすべてゴルドに任せる事が多い。

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