第30話「堕ちた元第一皇子VS【星帝】①」
翌朝――――とあるダンジョンの周囲にて
「何?ダンジョンの魔物が出現しない?」
「一応武器を持って警戒はしているんですが・・・」
調査員がダンジョン内部に同行していた僕らに報告をしてくれていた。
「まさか・・・このダンジョンだけか?」
「えぇ、本来は超級指定のダンジョン何ですが・・・それに見合った魔物が一匹でも見当たらず・・・」
報告通り、周囲には魔物の気配すらなかった。
「・・・まさか、最深部か?!」
「おいおい、もしかして――――」
そう、考えられるのはただ一つ。
「"ダンジョンコアボス"になったって事か?!」
「厄介だな・・・君らは先に避難して兄上に報告を頼む。僕らは先に進んで対処する」
「畏まりました!!」と調査員が報告書をもって地上へ戻って行った。
「どうする?」
「・・・三人とも、アイテムチェックは済んでいるよね?」
僕以外の三人は頷く。
「問題無い。武器の手入れも申し分ない」
「私達も魔力は万全です」
三人の確認を終えて―――
「それじゃ、最深部に行こうか」
「『了解』」
四人がダンジョンへ入っていく最中――――
「何?間引く魔物が居なかった?」
「えぇ、他のダンジョンに影響あると判断してそのダンジョンへ調査を今すぐに再開する予定です」
「それと」と調査員は言い
「この国まるごと防御態勢を直ぐにお取り下さい。スタヴ様の進言により第一皇子殿下の居場所と御方の憎悪に満ちた魔力を感じ取りました」
「それは本当かね?!」
先に反応したのはナイトメア皇子の債務を管理している財務大臣のカラマティアである。
「あそこは本来我が国が一度潰したはずのダンジョンなはずだぞ?!なぜそこから?!」
「実は――――ギルス様がいる事もあり、魔物さえもあまり生成されない空間になっているかと」
周囲で聞いていた貴族らは動揺していた。
「おい、だとしたら」
「かなりヤバいんじゃないか・・・?」
貴族らの不安が漂う最中――――
「心配はない。私自身が匿っていた下の弟が直ぐに対応する」
「だ、大丈夫なので?」
ナイトメアは微笑み
「勿論だ。遠方の王国の事に関して知らないヤツは居ないな?」
「・・・もしやあの国でご活躍していたあの噂のパーティーですか?!」
ナイトメアは頷く。
「そう、俺が母上をそこの国まで逃がした後は部下に頼んで情報を随時報告して貰っていてな」
「なんと・・・・!」
彼の説得により、関心を得た臣下らと貴族らは納得し
「我々は我々の成す事をしましょうか」
「ですな」
周囲の面々は次々と決定が決まって行った。
「であれば食料に関しては各領村の協力を得てからにしよう。そっちはどうだ?」
「私の方は財務大臣殿と宰相殿と共に復興の手立ての話し合いをする」
「それでは私は冒険者ギルドに協力を仰ぎましょう」
次々と話し合いは進み―――――
「さてと・・・そろそろ話し合いは出来るか?」
「・・・来たのね。ナイトメア」
ナイトメアの双子の妹であるリベレラは少し痩せこけた姿になっていた。
「・・・取り敢えず、彼氏さんとは話し合ってくれ。向こうもお前の事に関して把握しているからな」
「・・・!」
リベレラの件で人質になっていたその男はすっかりと退院するまでに快復し、冒険者家業に復帰していた。
「・・・ありがとう」
「――――どういたしまして」
「あぁ、あと」とナイトメアは続けて言う。
「今回の件、知っている限りの事を公衆の面前で話して貰うよ」
「・・・えぇ、判ったわ。その前に食事をさせて頂戴」
そしてスタヴ・セントらが最深部目指している傍ら―――――
「――――と言う事で、彼女は王族の名を廃嫡され、平民と同様の立場となった!本来であれば、死刑こそは免れない事態ではある。だが、彼女自身の身内の事情と弟の願いにより、このような扱いとして判断を下した!」
「まじか・・・」
「弟様が関わっているんなら、言う事は無いな」
周囲の国民はそれぞれが納得していた。
「皆の者、理解してくれてありがとう!これにより、公開裁判は閉廷とする!!!」
解散宣言が発令され、それぞれの人々は自分の家に帰宅する人も居れば、また商売を再開する人も疎らに居た。
「お前達もご苦労。今回は仕事を休めて腰を下ろすと良い」
「はっ、お気遣いに感謝を。吾輩も少し休みを貰っておきます」
こうして、彼ら四人が不在の間に一連の出来事は収束した。
一方で――――
「着いたか」
「ここが――――」
四人で最下層に辿り着き、大きな扉の前に立っていた。
「三人共、準備は?」
「言われずとも」
「同じく」
「いつでもいけるよ~!」
四人で顔を見合わせ――――
「それじゃ、行こう!」
「よっしゃ!」
「頑張らせて頂きます」
「やったるどー!」
こうして、この国での戦いの終幕が訪れる―――――。
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