第7話「魔物の軍勢VSクラン連合軍②」

「何?スタヴが?」


魔物の軍勢を冒険者たちが必死に対応をして数十時間後に突如、地鳴りが起きて直ぐに収まった。


現場を目撃した騎士の一人が国王にその事を話していた。


「はっ、バディア王太子殿下の仰っている意味が良く理解出来ました。あのような光景をもう二度と見たくはありません」

「・・・そうか、暫く仕事を休んでなさい。他には?現場を目撃した騎士達には特別手当を出すとお触れを騎士団本部に出してくれ」

「畏まりました!」


騎士団はその日以降、しっかりと交代交代でしっかりとした休暇と仕事の両立が出来上がっていた。


「放し飼いされているあの男はやはり冒険者として置いといて正解だったな」

「お父様、それ程その男はすごいお方なんですか?」


国王の一人娘である王女エリィが興味を示すが、国王は息を吐き


「あの男はな、バディアを矯正した後のあの姿にさせた恐ろしき男なのだ。我々が王宮に仕えさせると色々と問題が起こりそうでな、私の方から宰相に褒章のみにするよう伝えておいたのだ」

「お兄様を・・・?一体どの様な――――」

「父上、あのお方に一度エリィを会わせては如何です?冒険者の仕事の拝見を理由に見させて貰うと言う事にさせて」


二人の前に王太子であり、第一王子であるバディアが現れた。


国王はそれでも頭を抱える。


「そうはしたいがな、この子までお前みたくトラウマを植え付けられたら一溜りもないのだ」

「そうなってしまった場合は我々がサポートすれば良いだけの話です。おい、誰か向こうのギルドマスターに話を付けてくれ。後で俺がエリィを連れて伺いに行く」

「畏まりました!」


復興現場にて――――


「ん?僕の所で冒険者を学ばせたい?」

「えぇ、大丈夫でしょうか?あまり無理にとは言わないので」


王子は直接、自身の妹を連れて彼らの元へ来る。


「宜しくお願い致します!」

「あぁ、よろしく。王女様」


王女が来た事でギルド内では緊張が迸る。


「(そう言えば、王族と面識があるのってあのクランハウスだけじゃね?)」

「(あ~、確かに)」


周囲はざわつきつつもギルド掲示板にある依頼を受けに受付が並びに並んでいる。


「スタヴ様、なぜ彼らはここまで並んで居なければいけないんですの?」

「これが一般常識だからですよ」


一般常識から王女は着々と学んでいく。


「―――って事で、あの三人に見合う依頼を幾つか見繕って欲しい」

「わかりました!早速探しますね」


ギルドの受付嬢はそう笑顔で対応し、直ぐに依頼を手元に渡す。


「あの御三方はもうそろそろランクアップの時期なので、昇格する為の依頼になります」

「助かるよ。それじゃあ王女様、行きますよ」

「わかったわ!」


復興中は魔物に危険を晒している為、冒険者達の周囲の警戒も必須になっている。


「それじゃ、三人共。今回の依頼を変わりに取って来たから早速やっておくと良い」

「「わかりました!」」

「それで・・・内容は?」


依頼用のとある素材を取りに来て数分後―――――


「丁度依頼用と私用で分けてみたんだが・・・後であの人の作業場に三人でお邪魔して良いか?」

「あぁ、良いよ。寧ろアイツにメシを食わせて欲しい」


そして、ギルドに戻り――――


「依頼された分を持って来させた。どうかな?」

「・・・問題有りません。三名全員昇格可能です」


そして、王女はこの時、とある事を思いついた。


「そこのあなた、今すぐに騎士団の方へ行ってこの申請書を渡してくれるかしら?」

「これは・・・本来は騎士団のですか」


騎士団は毎年に一度だけ他の部署と合同で遠征に出る事がある。


「よろしいのですか?」

「えぇ、お兄様やお父様は直ぐに許可をくれるわ」


案の定―――――


「構わんぞ?」

「いいですね。万が一、冒険者との合同を想定しての野外訓練をしていなかったので」


と言う訳で、その三人の昇格依頼が決定した。


「―――ふむ、あの三人は順調・・・か」

「あっ、そうだ。スタヴ様、久しぶりにご自身も依頼を受けて行ってみては?」


「そういえば・・・」とスタヴが言い


「それもそうだな。余り運動してないし」

「私も同行致します」


彼の秘書であるナルがそう言い、武装する。

ダークエルフである彼女は双剣を得意とする。


「んじゃ、後から来るであろう他の業務は他のスタッフたちに任せるか」

「私が先に一報を送ります」


そして―――――


「あっ、久しぶりの依頼をお受けに?」

「あぁ、俺とナルとで行きたい。他の冒険者達が断念するような依頼を幾つかピックアップして提示をしてくれ」


受付嬢は「わかりました」と言い、直ぐに依頼書を見繕い始めた。


「さて、それまでにナルは幾つかのアイテムの補充を頼む」

「畏まりました」


一時間程が経ち――――


「では、お気を付けて行ってらっしゃいませ!」

「あぁ、行って来るよ」


準備を整えて出発し、アイテムを必要分ほど揃えたナルと合流して早速動く。


「では、先行します」

「取り零しはなるべく減らしとけよ~」


着々と進み、目的地へ着く。


「さて、休んでてね。後は僕がやっておくから」

「わかりました。お願いします」


ナルと交代交代でやりながら奥へと進み――――


「最終エリアか」

「二人で頑張りましょう」


こうして、二人の活躍の場は専用ダンジョンに設定されるまで一躍有名となる。

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