第4話「森に住まう魔女の真実②」
「大丈夫ですよ。何ならウチに三人新団員増えましたから」
とある日の午前中にて――――
「「「魔王と結婚して長寿になった?!」」」
「あぁ、実際に魔族と関係を持って結婚した人間は同じ魔族で更に男女で違う種族になるんだよ」
女性の魔法使いは実際に魔女になって長寿になっている。
男性の魔法使いの場合は魔人になる。
勿論、女性の魔人も居る事には居る。
「成程な、森から出られないってのは魔女としての力が不安定だったって事か」
「そう言う事だ」
「アナタ、今度こそ話をしないと」
「わ、分かってるって!」
今回もまた、魔女のフォッシに会いに来た。
彼女が住まう森にてとあるアイテムを採取しに来たからだ。
「今日も来たのね――――あら、彼のお孫さん?」
「今は先々代のやらかしで平民としてギルドを仕切っています。ギリアムとお呼びください。フォッシ様」
そう、ギルドマスター自ら出向くのは―――ギルドマスター自身がフォッシの元婚約者の孫だからである。
「お爺様は自分の判断が愚かな所為で周りに迷惑を掛けてしまったとまだ若かった父にそう懺悔したそうです」
「そう・・・自分の過ちに気付いたのは良い事。アナタも自分の生活だけではなくギルドやそこに居る奥さんも含めて家族なんだから。大事にしなさいね」
ギルドマスターは頷き黙って一礼をする。
話し合いはスムーズに進み、森の恵みの採取を許可して貰えた。
「ホントであればキミがお願いしに来てくれるだけでもここの森一帯のモノは上げちゃんだけどね~」
「それじゃあ国の顔に申し訳が無いよ」
木の実やら色々な採取物を拾いに行こうとしたが――――
「グゥ~~~~♪」
「おっ、なんだ?俺らの為に代わりにとって来てくれたのか?」
牙熊がギルドで採取しようと思っていたモノを持って来てくれていた。
「アナタにまた会えたからって事で彼らが欲しいと思えるものを持って来たみたいなの。賢いでしょ?」
「魔物と言うよりも魔獣としての賢さはありますね~」
「触って大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ?なっ?」
「グゥ♪」
ギルドマスターたちの元へ牙熊や他の魔物達が次々と群がり、持って来たものをギルドマスターに渡す代わりに撫でて貰うのを要求し体を擦りつける。
「なーんか、スタヴ特権の
「そうね♪」
「いや、僕は観光名所の御神体じゃないんですけど?」
この飲んだくれのオッサンは・・・
「君が言っていた二人の実力ってのもそうだけど・・・君自身もよ。スタヴ君」
「僕自身ですか?」
ティージリアさんは先代ギルドマスターの能力を継いだ凄腕の元冒険者の実績を持つ。
「そっ、君が嵌めているその指輪は魔力の制御と魔力の抑圧を抑える役割を担っているのは分るもの。私自身、魔道具使いだから魔道具の事なら何でもわかるわ」
「あ~、ティージリアさんがそうおっしゃるなら・・・」
僕は時々、フォッシの使い魔獣達を撫でたりして可愛がっている。
その時だけだけど・・・魔力の緩やかな減りを感じていた。
「・・・まさかとは思うけど。君ら、僕と無意識に
「えっ、それ出来るの従魔使いとかじゃ?!」
「彼は異質なのよ。彼の職にも影響あるわ」
僕の職と聞いてフォッシは微笑んだ。
「星帝って言うのはあくまで魔物を制す力も持っているの。星読みや星々の力とかもそうだけどね」
「すっげぇ~・・・クランリーダーとして居るのが勿体無いんスけど」
「いや~、ギルドマスターや王族には向いてないんだよねぇ・・・それが」
「ギルドには俺や国には現国王が居りゃ~どーって事ねぇのよ」
現に現役なギルマスが居るし
「さてと・・・僕の出番だな」
「ん?何か来るのか?」
森林の奥からガサゴソと物音を立てて近づいてくる魔物が居た。
「グゥ・・・・!!!」
「あっ、牙熊達が怯えている?!」
ゆっくりと近づいてきたのは―――老龍ジャスティマである。
「かつて、覇王龍と呼ばれた史上最強の龍―――それがあのジャスティマだ」
「あの伝説の?!」
今では老龍ともあろう伝説の龍が久し振りに顔を出しに来た。
「久しぶりじゃな、
「じーさんも久し振り~、体の調子はどうよ?」
僕や
「なんかもうこれ以上の驚きはねぇよな・・・?」
「た、多分そうじゃないかな?」
「そっ、そうだよ!クランリーダーの顔の広さはここまででいいでしょ、もう」
ジャスティマはその三人を見て微笑み、人間態に姿を変えた。
「あのような初々しい冒険者は実に久し振りじゃな」
「そっかそっか、それまでは似たような冒険者は居なかったんだっけ?」
ジャスティマはゆうに魔王の歳を軽く超えている。
覇王龍ともあろうその老龍の若い頃は今の僕ら人間みたいにヤンチャな人間態生活を送った過去がある・・・らしい
「かっかっかっ、
「ジャスティマさんも冒険者やってたんですか・・・!?」
ギルマスは何度も頷き
「先代よりも前の前―――先代にとっての先々代ギルドマスターが代わりに相手になっていたから今でもジャスティマ様の当時の記録はしっかりとデータ化して残してるぞ」
「そうなんですか?!」
更に僕は一度、ジャスティマに挑んだ経験もある為―――彼の強さは誰よりも知っている。
「そーだ、
「お~、暫く参加しとらんからな。この姿で挑むとしようか」
ジャスティマは笑った後に俺の隣で身構えていた魔獣達にそれぞれ撫でたりハグをしたりした。
「覇王龍の風格は衰えてないですね」
「そーだな、それこそが爺さんだな。所で――――」
魔獣達と同様にギルドマスター夫妻が俺の背後で俺を盾にしていた。
「喧嘩を吹っ掛けなければただの茶好き爺さんですよ、二人共」
「ほ、ホントに大丈夫なのかよ」
「私も流石にこ、こここ、腰が」
駄目だこりゃ
「ジャスティマ、貴方もそろそろ大会に向けて若返ったらどう?」
「そうじゃな、フォッシの――――姉さんに色々と世話なってるからな」
ジャスティマは瞬時に若返った。
「へ~、若返りのスキル持ってんだ?」
「おうよ!これで若造の実力を測るには十分だからな!」
因みにジャスティマの方がフォッシより年上だが・・・喧嘩好きなジャスティマの性格が災いしてか、何度もフォッシに負けている過去を持つ。
「フォッシ、旦那さんは今何してんだ?」
「ウチの
フォッシとはその場で別れ、ジャスティマはそのまま修業をしに森の更に奥深い所へ行った。
「さてと、僕らも帰ろっか」
「ですね~」
場所は所変わって――――魔王城。
「ん?もう散歩は良いのか?フォッシ」
「えぇ、また彼らに会えたから
「そうか」と魔王のような風貌をした男は微笑む。
「そうだ、あの子達そろそろ神性覚醒しそうよ」
「ん?君の従者のかい?」
神性覚醒、神の力を得た魔物は善悪のどちらかに偏りその結果によって聖獣か魔獣とは違う魔物に姿が変わるシステムとなっている。
「そうか~、もうそんなタイミングか。超覚醒し終えて大分経ったんだね?」
「みたい。あの子達の成長はこれまでに無い位に嬉しいわ♥」
魔女フォッシは自分が従えている魔獣や魔物をこよなく愛する。
「・・・あっ、いっけない。あの子達を洗うの忘れてたわ」
「おっ、それなら屋外に設置してある水道で洗い流したらどうだ?」
仕事をひと段落させた魔王はフォッシと共に彼女の従者である魔獣達を洗いに出かけるのであった。
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