第2話
今朝は日曜日という事もあって姉と買い物へ行こうとスーパーに向かっていたの。
「今日の晩御飯は私が準備する番だから、オムライスね」
なんて二人でしゃべっていた時、急に私の足が捕まれたように動けなくなった。姉は気づかず数歩先を進んだ時に私は必死に叫ぶ。
「お姉ちゃんっ!!助けて!!」
姉に手を伸ばそうとした。姉も私の声に気づいて手を取ろうとした時、光に包まれて気づけばこの世界に飛ばされていたみたい。
私の名前は高坂 美波。16歳。公立高校に入ったばかり。四人兄弟の末っ子。社会人の兄と大学生の姉が二人いて、両親は共働きでいつも忙しくて姉が母親代わりにいつも世話をしてくれていたの。
私達は両親を支えるために兄弟で家の事を当番制にして喧嘩をすることなく仲良く暮らしていたの。兄も二人の姉もとても私には優しいと思う。私は内向的な性格のせいか中学では暗い、目立たない、静かな子といつも言われていたんだよね。
いじめに遭った事はないけれど、誰かに関わる事もなくオドオドしながら過ごしていて、高校では友達を沢山作ろうと思っていたわ。それなのに、私はどうなってしまったんだろう。
姉は、家族は、絶対に心配しているに違いない。
すぐにでも家に帰らないと!でも、帰り方がわからない。
この世界の大きな人達に囲まれ、話も通じない。その心細さは私の中で大きな恐怖となり、考えただけでも震えてしまう。
怖い、怖いよう、助けて、助けて、お兄ちゃん、お姉ちゃん!!
「!$#%&??**++*!#%」
誰かが何かを言いながら私を揺すっている。重い瞼を開けると、そこにはメイド服を着た女の人が私を揺すっていた。
……夢じゃないのね。
いつの間にか眠っていたようだ。メイド服の人は何か不満な様子で一言、二言言葉を発してクローゼットからワンピースをベッドに投げてよこした。私はやはり何処かに拉致されてきたのかも。
私の扱いが客人とは違うんじゃないかな。きっとこの投げてきたシンプルなワンピースを着ろって事なのだと思う。私は一言も話す事のないままワンピースを着替えた。お腹が減った。
私がここへ来たのは午後のようだと思ったけれど、今は鳥の囀りが聞こえてくるって事は半日以上食べていないと思う。
……はぁ。
私の思いとは裏腹にメイド服の人は何かをしゃべって勢いよく扉を開けたわ。靴はスニーカーなんだけど。
どこかへ向かうのね。
私は仕方なくメイド服の人の後を付いていく。はぁ、遠い。大きな人達とコンパスが違うのよ?それにしてもどこに行くんだろう?さっき私の部屋と思われる場所を出て歩いているけれど左右同じような部屋ばかり。
辛うじて私は一番端の部屋だったから一人で帰ることはできる。どうやら昨日の場所とは違った所へ案内するらしい。
メイド服の人が豪華な扉の前に立ち止まると何か私に向かって声を掛けた。顔つきからしてさっきの態度の事は口に出すなとでも言ってそう。
そして扉は開かれた。
部屋は金細工のあしらわれたとても豪華な部屋だった。どう豪華と表現すればいいのか私には分からない。ほらっ、よくある王様の部屋のような感じ。メイド服の人に押し出され部屋へと入ると、そこには数人の男達が立っており、昨日私を抱っこして歩いた男の人が真ん中の席でドカリと座っていた。
あぁ、きっと彼はこの国の王様なのかも。
「**”&#!Γ?」
相変わらず何を言っているかも分からない。
私は口を開くことなくじっと王様と周囲を観察していると、先ほどのメイド服の人が後ろから何かを言っている。何か私の事を言ったのね。メイド服の女が発言した後、見るからに周囲が私への視線が厳しくなった。
絶対良いことを言ってないのは雰囲気でわかった。その後、王様や宰相がいくつか私に質問しているようだけれど、分からないので頷く事も出来ない。
冷ややかな態度でこちらを見ているし、どうしていいか分からない。
何で睨まれているの?
私が何か悪いことをしたの?訳がわからないまま退出を促された。本当に意味が分からないわ。ここまでくると怒りたくもなる。
でも、大きな騎士が私の退出を促している様子はとても怖くて何も言えなくなる自分が嫌になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます