ガチャ649回目:スキルの革命

 さて、そんじゃ新しく出たアイテムのチェックをしていきますかね。

 まずは、見るからに怪しいスキルの欠片だ。


 名称:スキルの欠片

 品格:不明

 種別:不明

 説明:まだ何者でもないスキルの破片。組み合わせることで本来の力を取り戻す。


「分からないことしか分からないが、ガチャから出た以上、完成したらヤバい物になるのは間違いなさそうだな」


 今まではαだとかβだとかでオプションを揃えて合成して進化という流れだったが、今後強力なスキルはこの形態になるんだろうか?

 まあでも、排出したレアリティがBRだからな。変な物は出ないと思うが、どうなるかね。


「んで次は、これだな」


 名称:神秘の果実【薬品貯蔵庫】

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種類:スキルの実

 説明:飲み込むことで特殊スキル【薬品貯蔵庫】を取得できる神の果実。


 『武器貯蔵庫』の次は『薬品貯蔵庫』か。前者が武器をいつでも取り出せる便利すきるであったことから、こっちは薬品なら好き勝手に取り出せると。

 しっかし、薬品ってどこからどこまでを指すんだろうか。ダンジョン産だけか、地上で開発されたものも含むのか。それとも『鑑定』系統でジャンルが薬品に分類されればなんでもいけるのか。

 まあその辺は使ってみればわかる事だが、問題は……。


「一般的な冒険者とは違って、俺はアイテムとかそういうの使わない事なんだよな」


 勿体無くて使えないとかならまだしも、本当に使う機会そのものがないんだよな。回復薬は魔法がなければ使えばいいんだろうけど、魔法がないなんてタイミングはないし、魔力が尽きれば出番があるかもしれないが、俺達は全員『魔力超回復』持ちだ。枯渇なんてありえない。

 まあ今後、強敵との戦いで、スキルを使いすぎて回復待ちみたいなことは起きるかもしれないけど、経験したことがないしな……。


「ご主人様、お困りのようですね」

「まあ、覚えたところでだしな」

「確かにそうですが、考え方を変えてみてはどうでしょう」

「というと?」

「ご主人様の今の『運』と『レベルガチャ』の機能を思えば、数々の高レアを輩出してきたBRが、無駄なスキルを出すとは思えません。今後使用する機会が訪れる可能性があります」


 装備品に関しては後出しジャンケンみたいなことをしてくるところはあるけど、スキルに関しては今後使うことになる物を出してきた実績はある。まあ、出て来たは良いが、まともに使ってないスキルもあるにはあるが……。


「言いたいことはわかるがな。例えば魔法が使えないエリアとかあった場合に、薬品が役立つかもって話だろ?」

「その通りです。それに、そうでなかったとしてももしものための予備は持っておくに越したことはありません」


 まあ、それもそうか。


「けど問題があるとすれば、俺のレベルで予備になりえるほどの高品質な薬品の存在だよな。値段もそうだが、希少性もヤバいことにならないか?」

「そうですね。ですが、お忘れですかご主人様。今の私たちであれば、好き放題薬品を増やすことが可能です」

「ん? ……それって、宝箱を量産しろって話?」

「残念ですが、違います」


 そう言ってアイラが取り出したのは、どこにでもありそうな水筒だった。


「……あっ」


 そういえば、そんなのあったな!?


「はい。中に入った液体を自由に増やせる『魔法の水筒』です。これで希少なポーションだろうとなんでも量産が可能です。エネルギーとなる魔力は休みの日に補充も出来ますし、魔石で代用も可能です。そちらはご主人様が山のように量産してくださいますから、両方が枯渇する心配はありません」

「なるほどなぁ」


 手にした経緯がガチャからだってのに、その存在をすっかり忘れてた。

 しかし流石アイラだ。俺が不要と判断したそれの活用方法を考案してくれていたとは。


「そう評して頂けるのはありがたいですが、これを考案したのは私だけではありません」

「それでも率先して動いてくれたのはアイラだろ。皆にも感謝してるが、お前の功績を忘れたりはしないぞ」

「……ありがとうございます」


 そうして照れるアイラを皆でもみくちゃにしたのだった。

 ……さて、薬品の目処はたったし、そろそろ本題に移るか。

 『スキルオーブ分解機』と『スキルオーブ強化機』だ。


 名称:スキルオーブ分解機

 品格:≪高位伝説≫ハイ・レジェンダリー

 種類:魔導具

 説明:スキルオーブを分解し、特殊なエネルギーに変換する装置。スキルのレアリティとレベルに応じて、取り出せるエネルギーの量も変化する。エネルギーの取り扱いには別の装置が必要。

 ★スキルオーブ強化機との連結が可能


 名称:スキルオーブ強化機

 品格:≪高位伝説≫ハイ・レジェンダリー

 種類:魔導具

 説明:特殊なエネルギーを利用し、セットしたスキルオーブのレベルを上昇させることが可能となる。セットしたスキルオーブの品格と、現在値のレベルに比例して必要となるエネルギーが大幅に上昇する。

 ★スキルオーブ分解機との連結が可能


「これは……文字通り革命的なアイテムが出たな」

「これを使えば、希少なスキルのレベルアップができるようになるんですの?」

「問題はスキルオーブの状態じゃないとできないってことよね」

「一度獲得してしまうとスキルオーブは消えてしまいますから、覚えているスキルを直接強化できるわけではないということですね」

「それでもこの装置の存在は破格です。悩みの種だったスキルオーブの圧迫も、これで有効活用できるというものです」

「この前アイラさんの鞄を見させてもらったけど、圧縮済みのスキルが山のようにあったもんね。今後もお兄ちゃんがダンジョンに潜る度アレが増えていくと思うと、私達みんな頭を悩ませてたもん」

「処分できない高級品ほど、扱いに困るものはないわよね……」

「世界的に見ればスキルオーブの希少性はまだまだ高いですからね。売れる速度より、兄上の量産速度の方が上ですから、この装置が出なければ屋敷がスキルオーブに埋もれていた事でしょう」

「お兄さんが向こうで出した魔石に変換できるアイテムにぶちこむのも、勿体なかったしねー」

「それを見越してこの様な装置を出現させられるなんて、さすがお兄様ですわ……!」

「これで国内のオークションへの出品数に頭を悩ませなくてすむわね☆」


 どうやら、有り余ったスキルオーブの数に、彼女達をだいぶ困らせていたようだ。しかし、スキルオーブ状態にあるスキルの直接強化か。取得済みのスキルに干渉できないのは残念だが、それでも取得せずにおいておいた、を強化出来るんだから、そんなのは些細な事だな。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


この作品が面白いと感じたら、ブックマークと★★★評価していただけると励みになります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る