ガチャ560回目:新スキルの鑑定チェック

「そんじゃ、圧縮していくぞー……」


 俺はそう力なく宣言して、在庫と合わせて圧縮を開始した。まずは注目のテイムだな。


「慌てて使う前に、レベルが上がったことで変化がないか見ておくか。もし大幅に効果が変わるようなら、アヤネも上書きしたいしな」

「わたくしなら、1個1個でも大丈夫ですわ」

「いやー、俺が面倒だから上書きで良いよ」

「かしこまですわ!」


 そうして『テイム』654個を圧縮し、 『テイム』2個。『テイムⅡ』3個。『テイムⅣ』2個。『テイムⅤ』2個。となった。


 名称:テイムⅤ

 品格:≪最高≫エピック

 種類:パッシブスキル

 説明:動物型モンスターを手懐ける事が可能なスキル。自身のモンスターを譲渡する場合、相手もテイムスキルを取得している必要がある。

 ★1度テイムに失敗したモンスターは、テイム成功確率が著しく低下する。

 ★成功率は対象とのステータス差などで変動する。

 ★レベルに応じて対象の種族、同時使役可能なモンスターの数が増加する。

 ★対象モンスター:動物型【小】、鳥獣型【小】、水生型【小】、昆虫型【小】、植物型【小】。

 ★Lv5ボーナス:特殊モンスター【小】。

 ★使役可能数:5体。


「おお……?」

「記載通りとするなら、小型の動物、鳥、水系統の生き物、昆虫と植物タイプと……特殊ですか? それもペットにする事ができるんですね」

「特殊って何だろうね?」

「こっちもサイズ指定があるなら、小型の特殊なモンスターってことですわね?」

「とにかく、表記されている対象的に考えて、エンキやイリス達は『テイム』の対象外ということになりますね」

『ゴゴ』

『プルン』

「ん。この子達こそ特殊」

「まあ、特殊というか特別だな」

『ポポ!』

『~~♪』

「ふふ、皆お兄さんの大事な家族だものね」


 皆がじゃれてくるので順番に撫でていく。


「しっかし、特殊か……」

「旦那様、何か思いつきそうですの?」

「うーん」


 注目すべきは、この表記は人間から見た特殊ではなくて、ダンジョン側から見た特殊枠ってとこだよな。……となると。


「……まさか、レアモンスターのことか?」

「「「「「「!?」」」」」」


 全員に衝撃が走った。


「じゃあ、小型のレアモンスターが、全部『テイム』できるってこと!?」

「そうなったらとんでもない事ですよ!」

「いや、わざわざ最初に『種族』と記載があるんだ。だから全部ではなくて、先に挙げられた5種のレアモンスターが対象なんじゃないかな?」

「それでもその5種のレアモンスターで、かつ小型に絞っても……。それなりにいますわね?」

「そうですね。サイズ的にどこまでが小型扱いかにもよりますが、該当するモンスターはそれなりにいるイメージです」

「ん。ならここは、やっぱりショウタが覚えるべき。Ⅴ以降に成長したら大型とかも対象になるかもしれないし、安全に『テイム』できるのはショウタだけ」

「ですわね! ただ、わたくしには恩恵がなさそうですわ。なのでこのまま無印で行きますの」

「了解。つっても、いますぐにどうこうしようとは思わないけどな」


 一度捕まえたら、譲渡するにも相手も該当の種族を扱える人じゃないと渡せないとか、そういう縛りもありそうだからな。下手にその辺のレアを手懐けても、扱いに困るだけだ。

 それに、今後『テイム』を大量入手する機会があったとして、Ⅴを取得した状態でⅥ以上に成長させても、オーブとして存在していないスキルは詳細が見られない。だから、優先順位が低い今、慌てて覚える必要もないかな。


「んじゃ、気を取り直して次いくぞー」


 次に圧縮するのは、今までは希少だったことで満足にレベルを上げられなかった『風塵操作』と『砂塵操作』だが、圧縮の結果『風雷操作Lv1』は62個。『砂鉄操作Lv1』は234個という結果になり、メンバー全員をLvMAXにするのも容易かったのが一番良い結果だろうか。

 これで、エンキはもっと強くなれるし、更には戦闘中、拳の一部だけなんて限定的な強化ではなく、全身を魔鉄に換装させられるだろう。けど問題があるとすれば……。


「エンキ、悪いけど戦闘中以外のオフの時は、今の小型サイズで頼むな」

『ゴ?』

「建物の床が心配でな」

『ゴゴ!』


 家や協会の床が軋んだり穴が開いたりしたら洒落にならんからな。まあ、巨人形態で建物の中に入る事はそうそうないと思うから大丈夫だとは思うけど。


「あとは気になる新スキルのチェックだな」


 『聖光の鎧Ⅲ』と『漆黒の鎧Ⅲ』に関しては、他の属性鎧と似たような感じだったのでスルーする事にした。


「まずは『神意のオーラ』だな」


 名称:神意のオーラ

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種類:スペシャルスキル

 説明:信仰無き者にさえ神聖な輝きを纏わせ、信心深い者からは後光が見えるようになる特殊スキル。また、神職の者が扱えば全ての力を大幅に向上させる。

 ★神の名の付くスキル効果が大幅に強化される。


「イリーナにあげるべきか……? いやでも、2つあるし俺も覚えておくか」

「旦那様に後光が見えるようになるんですの?」

「うちのメンバーに信心深い人なんていないだろ」

「そうですね。でも、ちょっと見てみたかったです」

「道行く人から拝まれる事が増えるくらいで、害はないかと」

「うーん。ダンジョンという神に傾倒しまくってる人なら、あたしは心当たりあるんだけどな~?」

「ん。心当たりしかない」


 俺が宗教を始める訳じゃないし、拝まれるくらいまあいいか。


「んじゃ最後は、多分そのまんまだろうけど『悪意のオーラ』っと」


 名称:悪意のオーラ

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種類:スペシャルスキル

 説明:敵意・害意・殺意など、魔力を込めて悪意を向ける事で対象に強力な恐怖の状態異常を付与するスキル。また他者からの悪意にも敏感になり、晒された悪意の種類や想いの強さだけでなく、相手の表面的な思考を一部読み取れるようになる。


「EXに近い危険スキルだけど、滅茶苦茶便利だな」

「モンスター相手ならば、マップに映らず隠れている相手に使えそうですし、人間相手ならなおさらですね」

「ん。必須スキル」

「でも、常に機能するとしたら、なんだか疲れちゃいそうですわ」

「そうね。そうなったら精神的に負担が多すぎるわ」

「ショウタさん、『パッシブスキル』ではないですけど、その辺りなにか感じられますか?」

「んー……。たぶん、直感的にON/OFF機能は搭載されてると思う。だから平気かな」


 彼女達はほっと息を吐いた。

 まあ彼女達の懸念通りだとしたら、迂闊に外を歩くだけで大変だもんな。今でさえ、大なり小なり嫉妬や妬みなんかの悪意を受ける事は日常茶飯事だし、いくら『精神耐性』があったとしても出歩くだけで疲れちまうだろ。


「まあでも、ちゃんとした場面で使えないんじゃ話にならないから、日常生活でも時折有効化して、慣れておくことにするよ」

「流石ご主人様です」

「ん。応援してる」

「辛くなったら言ってね?」

「おう」


 心配かけさせないように、ほどほどに練習を重ねていこう。

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