ガチャ446回目:知恵の実

 やって来たのは毎度恒例の真っ白な部屋。いつものように操作パネルをタッチすると、『ダンジョンコア』が出現した。


『ようこそ、管理者様』

「ああ。……今回はイルカか」


 現れたのは手乗りサイズのイルカだった。ヘンテコ図形、人魚、妖精と来てイルカ。統一性がないなぁ。ダンジョンの設計者はコアの形状はランダムで決めてるのか? ……まあそれはいいや。


『私は当ダンジョンを管理する端末AI、ダンジョンコアです。……貴方様は4つの管理者キーをお持ちなのですね』

「ああ。まずはスタンピードを永久OFF設定に。通知は有りだが、あとで一括でしてもらうから一旦保留で」

『許可。……実行しました。現在810ダンジョンのスタンピード設定はオフです。確認。通知は保留中ですが、範囲設定をお願いします』

「そうだった。今回も範囲は3種類か?」

『肯定』

「なら、全ダンジョン内外問わず、全人類を対象にしてくれ」

『許可。通知は指定の設定で、現在保留中です』


 次は、楔システムだな。今回で4カ所目になる訳だが、どういう風にラインが引かれるだろうか。


「『楔システム』の起動と連結をしてくれ」

『許可。ワールドマップを起動します』


 出てきたのは世界地図。見えている情報は、前回と変わりはないかな。日本に打ち込まれた『楔システム』による結界と同じものは、世界を見渡してもどこにも無かった。


『当ダンジョンの『楔システム』起動完了。連結実行中、しばらくお待ちください』


 『アンラッキーホール』『初心者ダンジョン』『1086海底ダンジョン』を結ぶ三角形の外側にある『ハートダンジョン』が新たに点灯。位置的に『初心者ダンジョン』が内側になるためか、『アンラッキーホール』から『ハートダンジョン』。そして『ハートダンジョン』から『1086海底ダンジョン』の間に新たな線が引かれ、『初心者ダンジョン』が完全に飲み込まれる形で結界が再構築された。

 ダンジョンの位置によっては四角形や五角形の結界になりえたかもしれないが、今回は三角形が膨れ上がる形になったか。

 やっぱりこれ、『初心者ダンジョン』をクリアせずに『ハートダンジョン』からクリアしてたら、『楔システム』が起動しなかったんじゃないか?

 ……てか、レベル4にもなったんだし、聞いてみればいいか。


『報告。連結完了しました。こちらの告知も現在保留中です』

「よし。じゃあ『ダンジョンコア』に質問する。『楔システム』の内側に未攻略ダンジョンがあった場合、システムは起動するのか?』

『否定。システムは起動しません』


 ほらきた。

 やっぱり予想は当たっていたか。となれば、ここからエス達の国にあるダンジョンをいきなり攻略したとしても、巨大な結界は作られないということだろう。

 足がかりにするにも、間のダンジョンをなんとかしなきゃならんわけだ。


「……あ」


 世界地図を睨んでみるが、肝心なことを忘れていた。

 エスが言っていた幻想ダンジョン。地図でいうところのどの位置にあるダンジョンなのかとか、そこんとこまるで聞いてなかった。

 うーん、これは失敗。休暇の後に聞けばいいやと考えてたから、完全に視野の外だった。つーか、アメリカ大陸に出現しているダンジョンって、割と広範囲に散らばってるよな。日本との間は海だから、場合によっては一発で連結させることも可能かもしれない。もしできたとしたら、超細長い結界が作られることになるだろう。

 ああでも、『1086海底ダンジョン』のせいでちょっと縦長になってるからな。場所によっては1箇所、ロサンゼルス近郊にある別の海底ダンジョンを掠めかねない。

 まあその辺りは、帰ってから確認するとしよう。とりあえず、現在の連結状態も兼ねて写真撮影をっと。


「それじゃ、色々と聞いていくかね。……質問する。第三層のレアモンスター。『レイクナーガ』の再出現時間を教えてくれ」

『許可。168時間です』

「ながっ」


 丸々1週間かよ。


「『レイクナーガ』を出現させないようにすることは可能か」

『肯定。可能です』

「んじゃ、危ないし出現しないように設定を」

『許可。……実行しました。同様に通知は保留中です』

「次に第四層のワーカーアントとソルジャーアント。それからホーリーナイトアントの出現場所や出現数を変更することは可能か」

『確認。……管理者レベル4かつ、『知恵の実No.4』の保有を確認。……『モンスター管理システム』を起動します』


 俺の目の前に、窓が出現した。窓の中には第四層の地図と、モンスターの分布図。それから再出現時間の項目や、配置の移動、配置の取り消しなど。様々な項目が操作可能となっていた。


「これは……。第四層のモンスターを好きに弄くれるのか! てか、『知恵の実No.4』? 質問する。それはなんだ」

『許可。ダンジョン設定システムに関与可能な外部アイテムです』

「それを、俺が持ってる……? 俺はそれをいつ手にしたんだ?」

『確認。当ダンジョン二階層にて、管理者様が入手した記録があります』

「第二層で……?」


 第二層はヤドカリと魚のゾーンだが、何か特別な物をあの階層で得た記憶はないぞ……?


「確認する。それはいつのことだ」

『確認。……約100時間前です』

「100っていうと、4日前の午前中頃か……」


 その日は確か、エスとミスティがやって来た日だな。

 んで、その日の午前中は、確か宝箱の開封をしたんだっけか。


「……あ」


 そういえばあの時、目に見えない何かを入手したんだったな。

 ステータスにもないし、身の回りに変化もないし、初めての経験だったから、調べようが無かったんだよな。皆も、俺ならそういう不思議現象が起きてもおかしくはないとかそんな雰囲気だったし、わからないことを考えても仕方ないからな。それに、宝箱を落とした相手が全然再出現しないこともあって、もう1度同じ現象が起きないことには調査のしようがないって話になり、ひとまず置いておくことにしたんだ。


 そして、改めてステータスを見ると、新たな項目が出現していた。


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:422

腕力:16847(+16422)

器用:16851(+16426)

頑丈:16745(+16320)

俊敏:16395(+15970)

魔力:17069(+16646)

知力:17240(+16817)


運:21710


ユニークスキル】レベルガチャⅡ、真鑑定Lv5、鑑定偽装LvMAX、気配偽装Lv2、アトラスの縮図、鷹の目Ⅱ、魔石操作Ⅱ(1/3)、弱体化Ⅱ、スキル圧縮Ⅲ、充電Ⅱ、★天罰の剣

ブーストスキル】金剛外装Ⅳ、剛力Ⅵ、怪力Ⅴ、阿修羅Ⅳ、怪力乱神Ⅱ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅵ、迅速Ⅵ、瞬迅Ⅳ、迅雷Ⅱ、鉄壁Ⅵ、城壁Ⅵ、金剛体Ⅳ、難攻不落Ⅱ、金剛壁Ⅱ、力溜めⅡ

パッシブスキル】身体超強化LvMAX、★硬化Ⅴ、風耐性LvMAX、★水耐性LvMAX、★光耐性Lv5、闇耐性Lv4、物理耐性Ⅴ、魔法耐性Ⅲ、貫通耐性Lv5、状態異常耐性、酒耐性Lv5、知覚強化Ⅱ(2/3)、思考加速Ⅱ、並列処理Ⅲ、二刀流Ⅲ(1/3)、体術LvMAX、武闘術Lv1、剣聖Lv9、盾術Lv2、神槍術Lv1、★神弓術Lv5、狩人の極意LvMAX、暗殺の極意LvMAX、姿勢制御LvMAX、摩擦抵抗Ⅲ、重力抵抗Lv5、★空間把握Lv4、★曲芸Lv6、水泳LvMAX、精力増強LvMAX、性豪Lv1、恐怖耐性Lv3

PBパッシブブーストスキル】統率Ⅲ、破壊の叡智Ⅴ、★魔導の叡智Ⅲ、万象の刻印

アーツスキル】予知Ⅳ、克己(2/3)、看破、隠形Ⅲ、気配断絶Ⅲ、認識阻害、全感知(1/3)、毒抗体Ⅳ、跳躍LvMAX、暗視Ⅳ、衝撃Ⅳ、鎧通しⅢ、★急所突き(2/3)、ウェポンブレイクⅡ、アーマーブレイクⅡ、★重ね撃ちLv4、縮地Ⅱ、忍び足Ⅱ、壁走りLv9、★チャージアタックⅥ、ウォークライⅡ、追跡者Ⅴ、騎乗Ⅱ、天鼓雷撃Ⅲ、震天動地Ⅲ、神通力Ⅱ、弱点看破、魔鉄加工術、魔石加工術、魔工彫金師

マジックスキル】狭間の理(1/3)、視界共有Ⅱ、念動力Lv3、飛剣術LvMAX、★元素魔法Lv6、外典魔法Lv3、空間魔法Lv6、★泡魔法LvMAX、風雷操作Lv1、濁流操作Lv1、砂塵操作Lv6、回復魔法Lv1、★極光魔法LvMAX、★宵闇魔法Lv8、混沌魔法Lv2、★聖魔法Lv2、時空魔法Lv2、泥人形Ⅳ、風の鎧Ⅱ、魔力超回復LvMAX、魔力譲渡Ⅲ

スペシャルスキル】魔導の御手Ⅱ、恐慌の魔眼、★魅惑の魔眼、王の威圧Ⅳ、決闘Ⅲ、ダブルLv2、★天使の祝福、真理の眼


武技スキル:無刃剣[双連・無刃剣Ⅱ]、閃撃[閃撃・剛]、紅蓮剣[飛剣・鳳凰Ⅲ]、紫電の矢[雷鳴の矢]、★魅惑の矢、★破魔の矢


称号:ゴブリンキラー、アントキラー、神殺し

管理者の鍵:525、810、777、1086

知恵の実:★No.4


*****


 そういえば例のボスのスキル、弓の武技スキルだったから俺も覚えてたんだな。それどころじゃなかったから、確認するの完全に忘れてた。

 しっかし、『知恵の実』ねぇ……。落としたのも蛇だし、なんか関係ありそうだな。

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