ガチャ337回目:スキル山脈

 テーブルに着くと、アイラが憐れみをもった目で俺を一瞥し、鞄から大量のスキルを取り出し始めた。


『ゴトゴトゴトゴトッッ!』


 次々と出来上がっていくスキルオーブの山。そのあまりの光景に誰もが絶句した。


「……ショウタ君が魔石を山のように持って帰ってきたことがあったけど、まさかそれをスキルオーブで再現されるなんてね。しかもその山は、1つや2つじゃないし……」

「一般の人がみたら、価値観変わっちゃいそうですね。その点カスミちゃんは理解してくれそうですけど」

「理解というより諦めの感情の方が大きそうですが。彼女も昨日の午前中は、亜種ゴーレムがスキルを大量ドロップする光景に喜んでくださっていましたが、午後のゴブリン戦からは目が死んでいましたし」

「見る人によってこれに対する感情は大きく違いそうですわね。一般の方には宝の山、わたくし達には見慣れた光景。そして旦那様には……」

「ある意味一種の刑罰みたいな、地獄の作業の幕開けだ」


 だが、文句ばかり言ってはいられない。俺が出したスキルだし、この処理は誰にも任せられない。なら、俺がやらずに誰がやるってんだ。

 にしても、山がデカすぎてどれが何個あるのかまるで想像がつかないな。


「アイラ、それぞれの数を教えてくれ」

「かしこまりました。まず『射手の心得Lv1』720個、『武芸者の心得Lv1』711個、『槍術師の心得Lv1』722個、『俊足』698個、『剛力』570個。合計3421個です」

「うげぇ……」

「うわぁ……」

「テーブルに収まりきらないのも納得ですね」

「ヤバイですわ!」


 本当にやばい数だな。目に見えてもやばいが、数字として教えて貰うと尚更やばい。

 まあ、拠点から集落に辿り着くまで1000体近いゴブリンがいたし、集落と集落の間も片道30分は掛ったし、そこでもゴブリンも300匹近くはいた。そんなところを何往復もした訳だし、俺としても数える気も起きないくらい倒したんだから、深く考えないようにしてたけど……。

 これ、『圧縮』今日中に終わるかな? 心配になって来たぞ。


「そしてレアモンスターから出たスキルは以下になります」


 『剛力』3個。

 『剛力Ⅲ』1個。

 『剛力Ⅳ』4個。

 『怪力』3個。

 『怪力Ⅲ』1個。

 『怪力Ⅳ』4個。

 『阿修羅Ⅲ』1個。

 『俊足』3個。

 『俊足Ⅲ』1個。

 『俊足Ⅳ』4個。

 『迅速』3個。

 『迅速Ⅲ』1個。

 『迅速Ⅳ』4個。

 『瞬迅Ⅱ』1個。

 『鉄壁』3個。

 『鉄壁Ⅲ』1個。

 『鉄壁Ⅳ』4個。

 『城壁』3個。

 『城壁Ⅲ』1個。

 『城壁Ⅳ』4個。

 『金剛体Ⅲ』1個。

 『身体強化Lv2』3個。

 『身体強化Lv4』4個。

 『身体超強化Lv2』1個。

 『体術Lv2』3個。

 『体術Lv3』3個。

 『体術Lv4』1個。

 『体術Lv5』1個。

 『格闘術Lv2』3個。

 『格闘術Lv3』3個。

 『格闘術Lv4』1個。

 『格闘術Lv5』1個。

 『剣術Lv2』3個。

 『剣術Lv3』3個。

 『剣術Lv4』1個。

 『剣聖Lv1』1個。

 『槍術Lv2』3個。

 『槍術Lv3』3個。

 『槍術Lv4』1個。

 『槍術Lv6』1個。

 『盾術Lv6』1個。

 『勇猛Ⅱ』3個。

 『勇猛Ⅲ』1個。

 『蛮勇』3個。

 『統率』3個。

 『統率Ⅲ』4個。

 『統率Ⅳ』1個。

 『破壊の叡智』3個。

 『破壊の叡智Ⅲ』4個。

 『破壊の叡智Ⅳ』1個。

 『跳躍Lv1』3個。

 『跳躍Lv3』4個。

 『ウォークライ』3個。

 『ウォークライⅡ』1個。

 『ウォークライⅢ』3個。

 『騎乗』3個。

 『騎乗Ⅱ』1個。

 『騎乗Ⅲ』3個。

 『王の威圧Ⅳ』1個。

 『決闘Ⅴ』1個。


 ……うん、こっちもめっちゃあるな。一応、気になっていたスキルはチェックしておくか。



 名前:蛮勇

 品格:≪最高≫エピック

 種別:パッシブスキル

 説明:知能を失う代わりに攻撃能力に大幅なボーナスが得られるスキル。


 名前:決闘Ⅴ

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:スペシャルスキル

 説明:現在の魔力の半分を消費し、自分と相手を外部から完全に隔絶した世界へと閉じ込める。その際(5+スキルレベル×5)%分のステータスを自身に加算し、相手からは同等の割合ステータスを減算させる。また、自身に降りかかるあらゆるデバフを打ち消し、決闘によるその効果を周囲にいる全ての味方に与える。


 やっぱり『決闘Ⅴ』にはマイナス効果打ち消しの能力が備わっていたか。んで『蛮勇』は、たぶん『勇猛』の親戚かなんかなんだろうけど、デメリットが尖った分メリットも増えてるんだろうか?

 人間に使って問題ないのかは研究所の結果次第だな。けど、どんな結果になろうと多分使わないだろうけど。


 さて、スキルの振り分けに入る前に、まずは『圧縮』出来そうなところから『圧縮』していかないと……。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 結局、『圧縮』が終わったのは夕食という名の休憩を終え、夜も更ける頃合いだった。


「もう2度とやりたくない……」


 俺は机に突っ伏していた。

 最終的にいくつもあったスキルの山は消化し終わり、たった1つの小山まで規模が縮小していた。

 まず心得系だが、これは『剣の心得』同様Lv20でMAXとなるため、『射手の心得』は『弓術Lv1』15個に。『武芸者の心得』は『格闘術Lv1』14個に。『槍術師の心得』は『槍術Lv1』15個になった。

 そして『俊足』と『剛力』は、昨日までの在庫分と合わせて……『俊足』1個。『俊足Ⅱ』3個。『俊足Ⅲ』2個。『俊足Ⅳ』15個。

 『剛力』は『剛力』2個。『剛力Ⅱ』3個。『剛力Ⅲ』2個。『剛力Ⅳ』14個。『剛力Ⅴ』3個だった。


 あとは振り分けだが……。

 俺が『剣聖Lv1』1個と『剣術Lv1』1個と『剣術Lv2』3個と『剣術Lv3』3個と『剣術Lv4』1個で『剣聖Lv9』に。『槍術Lv2』1個で『神槍術Lv1』に。『弓術Lv1』14個で『神弓術Lv2』に。『跳躍Lv1』2個と『跳躍Lv3』1個で『跳躍LvMAX』に。

 アヤネが『阿修羅Ⅲ』1個。『身体強化Lv2』1個で『身体強化Lv6』に。『体術Lv2』2個と『体術Lv3』1個で『体術Lv7』に。

 アイラが『阿修羅Ⅱ』3個で『阿修羅Ⅲ』に。『身体超強化Lv2』1個で『身体超強化Lv3』に。『体術Lv3』1個と『体術Lv5』1個で『体術LvMAX』に。『跳躍Lv1』1個と『跳躍Lv3』3個で『跳躍LvMAX』に。

 アキが『阿修羅Ⅲ』1個。『身体強化Lv2』1個と『身体強化Lv4』2個で『身体超強化Lv1』に。『格闘術Lv5』1個で『武闘術Lv1』に。

 マキが『阿修羅Ⅲ』1個。『身体強化Lv2』1個と『身体強化Lv4』2個で『身体超強化Lv1』に。『体術Lv2』1個と『体術Lv3』1個と『体術Lv4』1個で『体術LvMAX』に。

 エンキが『格闘術Lv1』9個と『格闘術Lv2』4個と『格闘術Lv3』3個と。『格闘術Lv4』1個で『武闘術Lv5』に。『盾術Lv6』1個で『神盾術Lv1』に。

 セレンが『槍術Lv1』14個と『槍術Lv2』2個と『槍術Lv3』4個と『槍術Lv4』1個と『槍術Lv6』1個で『神槍術Lv8』に。

 エンリルとイリスは変化なし。


 おまけでカスミに『阿修羅』1個。『怪力乱神』1個をあげた。『決闘Ⅴ』は『決闘Ⅲ』と一緒に様子見だ。


 『圧縮』の何が大変かって、これ1度に『圧縮』出来るスキルの数が4個までなんだよな。多分、レベル表記の無いスキルを混ぜる際の必要値がそのまま限界値になってるんだろうけど。心得系の20個を纏めて1度に出来ればどんなに楽か……。

 『圧縮』がⅢになったらその辺改善があるだろうか……。正直もう風呂入って寝たいところだが、最後にガチャを回すとしますかね……。

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