ガチャ246回目:ミキ義母さんへの報告
「それと、義母さん」
「んんっ。な、何かしら」
呼ばれ慣れていないからか、この人、俺が義母さん呼びする度にキョドるんだよな。
ちょっと面白い。
「義母さんに紹介したい仲間がいるんだけど」
「……その肩に止まってる、青い子の事ね」
『ポポ!』
「そんなモンスター、うちのダンジョンには居なかったはずよね……? 視ても良いのかしら」
「どうぞどうぞ」
義母さんの目に『魔力』の流れを感じた。
お? これはもしかして『知覚強化Ⅱ』と『魔力感知』の効果だろうか。これを鍛えれば、モンスターの魔法発動すらも『予知』出来るか……!?
「……なるほど、新しいゴーレムなのね。それも、風と雷のハイブリッド型ですって?」
ああ、そういえばスキルを『圧縮』してから改めて2人の状態を確認してなかったな。
『ゴゴー』
『ポポポ』
名前:エンキ
品格:『
コア:ゴーレムコアⅣ
材質:重層岩
魔力:1600
スキル(8/8):物理耐性Ⅲ、怪力Ⅲ、城壁Ⅳ、盾術Lv2、自動回復Ⅳ、砂鉄操作Lv1、ウォークライ、震天動地
名前:エンリル
品格:『
コア:ゴーレムコアⅣ
材質:風雷魔装体
魔力:1600
スキル(7/8):物理耐性Ⅲ、自動回復Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅲ、ウォークライⅡ、追跡者Ⅳ、風雷操作Lv1
エンキはパワーアップしても、素体はそのままだし変化がないとして。エンリルの方は『風雷魔装体』か。なんかよくわからんけど、カッコイイから良しとしよう。
「まったく……。何をどうすればこんなゴーレムが誕生するのよ」
「ショウタさんですから」
「ショウタ君だもん」
「彼がもたらしてきたありえない結果を私に説明する度にそう言っていたわね。私は説明を放棄しないようにと咎めていたけれど、今ならそれで納得出来てしまいそうだわ」
「それはつまり、おば様もこちら側になったということですわね!」
「仲間が増えましたね、お嬢様」
ん? もしかして失礼な同盟が結成されようとしている?
「もちろん褒めてますよ、ご主人様」
ホントかよ。
「そうだわ、さっき見せてもらった動画について確認なんだけど、『オークキング』だけ近接戦の場面が無かったわね。それに内容も……派手ではあったけど短かった理由を聞かせてもらえるかしら」
「ああ、それですか……」
「お母さん、そいつのスキルを改めて見てみてよ」
「スキル? となると近接戦を躊躇うようなスキルがあるのね。……なるほど、この『悪臭』ってスキルがそうなのね。そんなにキツいの?」
「30メートルの距離ですら、常人なら逃げ出したくなるほどの威力でした。恐らく接近戦で挑めば、催涙弾クラスの刺激臭がするかと」
アイラが冷静に分析する。
結局2戦目以降は長距離スナイプかエンキに一任してたし、近接戦での対応方法は何にも対策出来てないんだよな。
「それは……。厳しいわね」
「そしてこれが、該当のスキルです。全部で5個あるんですけど、取得すると当人の『魔力』が尽きるまで発動を止められないそうなんです。なので義母さんの方で然るべき機関に回してもらった上で、妥当な処理をしてもらえると助かります」
「……分かったわ。アキ、マキ。これに関するレポートは作ってる?」
「勿論よ!」
「後ほど他のレポートと一緒に提出しますね」
「分かったわ。この件に関しては任せなさい」
2人とも、レポートなんてものを書いてたのか。いつの間に……。あんな四六時中一緒に過ごしてたのに、気付かなかったぞ。
彼女達を交互に見てると、にこりと笑った。
「あたし達だってプロだし?」
「ショウタさんがシャワーを浴びてる時とか、編集をしている時の合間とかにちょこちょこと」
「そうなのか……」
「それはさておき、他に報告する事はあるかしら」
「えーっと、そうですね」
報告するべきことを思い出し、義母さんには『異次元の腰巾着』の事やそれに伴いダンジョン内で家を設置する事への許可を取った。義母さん的には、レアモンスターやエンリルよりもそっちの方が衝撃が強いようだった。
そして次点で『剣術』を取得した状態で『剣の心得』を21個取得する事でレベルが上昇することも伝えると、椅子からひっくり返ってしまった。
「……アマチ君、あなたって本当に規格外ね。数日ダンジョンに潜るだけで、今まで知られていなかった情報をいくつ持ち帰って来るのよ」
「いやー、はは。そういえば以前端末で調べた時『剣術』の価格って不明だったんですよね。この情報、意味ありました?」
「意味あるってレベルじゃないわよ。『剣術』のスキルオーブって本当に貴重なの。安い時でも5000万はくだらないし、時には1億で落札されたことだってあるんだから」
「うわぁ……。確かに、今まで『剣術』スキルを持ったレアモンスターって、どれも『レアⅡ』以上だったんだよな。それも剣を持ってるゴブリンの上位種のみ。やっぱりそれなりに貴重だったのか」
「そういう意味でも、この情報は世界に衝撃が走るわ」
「『剣の心得』の値段が上がって、『剣術』の値段が落ちますかね」
「どうかしら。あなたのおかげで『剣の心得』の出現率は増しているし、『剣術』はそもそも発見情報が少なすぎるの。必要としている人口と供給が釣り合っていないわ」
「なるほど」
まあでも、『剣術』に劣る不良品として、売れずに倉庫に積み重なっていく。なんて事はなくなりそうではあるよな。
「ああそれと、次のオークションっていつでしたっけ」
「明日よ」
「じゃあ『精力増強Lv3』4個と『勇猛』5個。それから『ウォークライ』を3個に、しばらく使わなさそうな『統率』を5個。これらを売りに出そうかと思います」
「……お節介かもしれないけど、『精力増強』についてはあなたにこそ必要なスキルだと思うわよ?」
「いえ、俺もう『LvMAX』なんで……」
「あ、そ、そう……」
義母さんは気まずそうに視線を外すと、代わりに俺の左右に座る娘達へと睨みを効かせた。当人たちはふいっと視線を逸らしたが。今回、このスキルを取得したのは俺の意志のはずだが、そうせざるを得ない状況に追い込んできたのは彼女達でもある。助け舟は出せそうにない。
「まったく、誰に似たんだか」
「「……お母さんでしょ」」
義母さんの嘆きに、姉妹がぼそりと愚痴た。
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