ガチャ221回目:圧縮の可能性
テーブルに並べられた数百を超えるスキルオーブを見て、俺達は各々感想を溢した。
「あいっかわらず、すんごい量ね」
「これのほとんどが、今日の午前中だけで得たスキルですか……」
「流石旦那様ですわっ」
「計算したところ、やはりご主人様とエンキが討伐した全てのモンスターが、スキルをドロップしたようです」
「今回も豊作だな。まずは一番気になるこのスキルから確認しようか」
名前:決闘Ⅲ
品格:≪遺産≫レガシー
種別:スペシャルスキル
説明:現在の魔力の半分を消費し、自分と相手を外部から完全に隔絶した世界へと閉じ込める。その際(5+スキルレベル×5)%分のステータスを自身に加算し、相手からは同等の割合ステータスを減算させる。
「うーん、読んでいた通りチートだなぁ。けど、強制的に一対一に持ち込む羽目になるから、俺の方の『統率』の効果も消えちゃうし……。使い所が難しいな」
支援が受けられないのは困りものだし、それを加味した上で確実に勝てる相手。もしくはそうでもしないと周囲が厄介な事になるタイプの相手とか……。
てか、『魔力』の消費が重すぎる。連発も出来ないし、使いどころが難しいな。
「確かに難しいスキルだけど、こんな特殊なスキル、売るわけにも行かないわよ」
「でも『Ⅲ』ってことは、割とポピュラーなスキルなんじゃないの?」
「確かにご主人様の仰る通り、完全に未知という訳ではなく、私も名前だけなら聞いた事があります。ですが、市場に出回るほど発見されているスキルでもありません。ですので、使わないとしてもご主人様が取得しておくべきかと」
「旦那様は、使わないスキルが増えていく事を懸念されてるのかもしれません。ですが、『レベルガチャ』を手にした以上それはいずれ通る道ですわ」
「……それもそうか」
「ふふ。ショウタさんはいつかその内、スキルの見本市のようになるかもしれないですね」
マキの言葉に皆が笑うが、多分もう既にその領域に足を突っ込んでる気がするんだよな……。
「ところでだけど、今回の『ゴブリンヒーロー・ガダガ』戦。皆はレベル上がった?」
そう聞くと、アイラを含めた全員が頷いた。
「『統率』を防ぐほど隔絶した世界でも、『愛のネックレス』には関係ない、と」
その言葉にマキとアヤネは嬉しそうにはにかみ、アキは口元がにやける。
「撃破と同時に結界が解かれたからでは?」
「アイラ、満更でもなさそうな顔しながら言っても説得力ないよ」
「……」
アイラはそっぽを向いてしまった。
さて、『決闘Ⅲ』は俺が取得するとして。次はこれだな。
テーブルから『剣の心得Lv5』を2つ掴み取り『圧縮』する。すると2つは1つへと変化し、『剣の心得Lv10』へとなったが……。
予想とは違う結果に興味を惹かれた。
「MAXじゃないのか」
「意外ね。10が最大値じゃないなんて」
「アキも知らないって事は、マキも?」
「いえ、一応知識としては把握しています。ただ『剣の心得』はどんなに高めても『剣術Lv1』には勝てないと言われています。その為このスキルを手にした人は、いずれ『剣術』スキルに乗り換えるので、ここまで育てる人はいないと思います」
「なるほどね。じゃあ1個ずつ加えて……」
スキルレベルを11、12と成長させ、最終的に20となる段階で『剣の心得LvMAX』へと変化した。
「20でマックスか。マキ、データベースに登録よろしく」
「はい、すぐにでも」
「さて、ここでもう1つ試したいことがあったんだよね」
俺は『剣の心得LvMAX』に、更なる『圧縮』を重ねた。
【該当のスキルを確認】
【該当のスキルを圧縮中……】
【該当のスキルを圧縮成功】
【SRスキル『剣の心得LvMAX』を圧縮。SSRスキル『剣術Lv1』に圧縮成功しました】
「うっし!」
「えっ!?」
「うそ……」
「すごいですわ!」
「期待通り、いや。期待以上の成果だな」
「これは……。なるほど、盲点でしたね」
『圧縮』は自分の手持ちスキルの中で条件を満たした物を進化させ、同種のスキルオーブを混ぜ合わせる事が出来る。ならばと、スキルオーブからの進化も可能なのではないかと目論んでいた。結果は大成功。
その上、『レベルガチャ』からは未排出のスキルにも、レアランクが設定されている事も思わぬ発見だった。設定されているという事は、排出される可能性があるという事。最近『SR』からスキルが出てくることはほとんどない為、もう存在しないのかと思っていたが、今あるスキルだけが全てではないという事だ。
「これが出来るという事は、皆にも『魔力超回復』や『身体超強化』。上手くいけば『元素魔法』もあげる事が出来るな」
以前、スキル構成的にいけそうなアイラに『圧縮』を試したことがあるんだが、上手くいかなかった。だから彼女達のスキルを進化させるのは諦めてたんだが……。
これなら、彼女達はもっと強くなれるぞ。
「ほんと、ショウタ君は凄い事を平然とやってのけるんだから」
「褒めてる?」
「もちろんよ」
「ショウタさん。スキルを回してくれるのはありがたいですけど、それでもやっぱり一番優先するべきはショウタさんですからね」
「うん、わかってるよ」
「あ、旦那様。これなら『魔力超回復Lv1』がどれくらい『魔力』を回復させられるのか、調べられそうですわ!」
「おお、そうか。確かにそういう使い方も出来るんだよな」
夢が広がるが……。『魔力回復』持ちのモンスターって、今のところ『黄金鳳蝶』と『ラミア』の2体しか見たことないんだよな……。もうちょっと、所持モンスターが俺の前に現れてくれないかなぁ……。
いやでも、魔法型のレアモンスターはどっちも厄介なモンスターだったから、同種が現れてもそれはそれで困るか。
その後俺は、残りの『剣の心得』を全て『圧縮』。結果。
『剣の心得Lv1』10個。
『剣術Lv1』6個。
『剣術Lv3』1個。
『剣術Lv4』1個。
となったのだった。
さーて、次のスキルは、と。
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