ガチャ131回目:二度目の騎士戦

【レベルアップ】

【レベルが45から46に上昇しました】


 3体目の『デスクラブ』を討伐すると、数日ぶりに『甲殻騎士』と対面した。前回はアイラに前衛を頼んだけど、今日の俺は『デスクラブ』との戦闘を全て剣だけで戦ってきたのだ。

 それにより砂浜でもそれなりに動けるようになったので、そのまま俺が前衛、アイラが遊撃、アヤネが後衛というフォーメーションで戦いを始めた。


 戦いは、お世辞にも優勢とは言えなかった。まず相手の攻撃が想定を上回る力と技を持っていた事だ。事実、俺は何度も攻撃を受けてしまったし、3回は外装を掛けなおす羽目になった。ここまで被弾してしまったのは足場の問題もあるが、何より相手の槍捌きを舐めていたからだ。

 遠くから見ている分には凄さがイマイチ伝わらなかったが、いざ打ち合ってみると、その完成度の高い動きには翻弄されっぱなしだった。我武者羅に武器を振り回すそこらのモンスターとは違い、武芸を極めた熟練した槍捌きは、目では追えても身体がついていかなかった。

 いくらステータスが上がったとしても、俺の技量そのものが未熟なままでは、修練を収めた戦士に太刀打ちできないことがよく分かった。ただの怪物であれば、本能のままに攻撃してくれるから、技量も何もないんだが……。

 俺もどこか、道場か何かで習うべきなんだろうか?


 更には、こちらの攻撃も、決定打に欠けた。

 相手の鎧があまりにも硬すぎるのだ。あの時はとんでも威力の『紫電の矢』で決着をつけたが、それが無ければ数で攻めるしか無い故に、長期戦を強いられたのも苦戦した理由の1つだ。

 こいつの装甲は今まで出会ったどのモンスターと比べても、比べ物にならないものだった。

 改めて俺は、弓以外でも火力が欲しくなっていた。


 そうして戦う事、数十分。

 激闘の末、魔法や剣戟により騎士の寄生鎧も、ボロボロになっていた。


「そこだ!」


 彼女達の援護によって出来た隙を突く形で、俺の剣が奴の胸元に深々と突き刺さる。


『ギチッ……』


 騎士の身体から軋む音が響き、鎧の隙間から煙が噴出。そしてその鎧も煙へと変貌し、一気に霧散した。


【レベルアップ】

【レベルが46から85に上昇しました】


「ふぅ……疲れた」

「お疲れ様です、ご主人様」

「かっこよかったですわ!」

「2人とも、俺のワガママに付き合ってくれてありがとね」


 本当なら、『紫電の矢』を使えばもっと早くに、楽に討伐できただろう。

 けど、アイラにばかり任せていてはダメだと思って、前回のリベンジも兼ねて剣で戦ったわけだけど……。いかんせん、あいつの鎧の硬さは、直に戦って初めて実感できた。『ミスリルソード』が欠ける事はないだろうが、強度としては同じくらい。全身をアレに包まれた騎士を倒すには、剣だけでは不十分だった。

 そこでアヤネの発案により『炎魔法』と『紅蓮剣』で一気に熱して、『水魔法』で急速に冷やす事で、一部分を脆くさせる方法を試した。『寄生鎧』という事はアレも生物の一種なのだろう。結果的に上手くいったが……。彼女の機転がなければもっと苦労していただろう。


「これも、旦那様にとって必要な事ですわ。ですからわたくし達も、鍛錬に付き合いますわ」

「その通りです。もしもご主人様が弓の方が楽だからと後ろに下がるようなら、無理やりにでも前に出させていたところです。その様な性根では、この先必ず苦労しますからね」

「アイラはスパルタだなぁ。そうならないよう気をつけるよ」

「ふふ。ご主人様は夢の為なら、どこまでもストイックになれるお方。私もあまり心配していません」


 そう言われると照れる。

 期待を裏切らないようにしないとな……。


「えっとじゃあ、ドロップだけど」

「はい、こちらに」


 俺が照れてる間に、アイラは既に集め置いていた。相変わらず仕事の速い。


「恐縮です」


 何も言ってないんだが。


「ではドロップ内容ですが、前回と同じ様です」

「……同じって事は、槍とか鎧も?」

「はい。同様の物が出ました。宝箱も健在です」

「宝箱も同じだったりしてな」


 そう言って、アイラがもつ『金の宝箱』をパカリと開ける。

 中に入っていたのは……。


「やっぱ『泡魔法』じゃん」


 しかも2個。


「あっ」

「どうしたアヤネ」

「旦那様、この宝箱を『真鑑定』したらどう見えますの?」

「あ、忘れてた」


 そういえば全く見て無かったな。一応、中身を取り出さなければ宝箱は消えないんだったよな。ならまだセーフか。


「アヤネ、助かった」

「えへへ」

「『真鑑定』」


 名前:金の宝箱

 品格:『最高エピック

 種別:モンスタードロップ

 説明:甲殻騎士のアイテムリストから抽選


「この説明を見るに、モンスターごとに抽選用のアイテムテーブルがあるってことなのか?」

「協会はその可能性が高いと見ていましたが、ご主人様の能力でそれが確定したわけですね」

「流石ですわ、旦那様!」

「俺の『真鑑定』スキルが上がれば、そのアイテムテーブルも、いつかその内見れてしまうかもな」

「それは……。もしわかる事があれば、革命ですね」


 今の状態でも、もし仮に誰かが宝箱を部屋とかに飾っていたとしたら、それが何処産の物なのかわかっちゃうわけか。それはちょっと面白い。

 それに、それ以外にも使い道は多そうだ。夢が広がるな。


「それはさておき、『泡魔法』だけど。アヤネ、使ってくれるね?」

「はいですわ!」


 アヤネは恭しく『泡魔法』を受け取ると、取得してすぐにバブルアーマーを展開した。

 なんだかんだ言って、自分でも使ってみたかったんだろう。


「それじゃ、アイラも使って」

「畏まりました。奥方様の分も取りますか?」

「まあ、それは出来ればで良いんだけどね。水中デートは正直言うと一緒に居たいし……」


 別に理由がなくちゃ抱きしめられない訳じゃないけど、狭い場所で引っ付きあうのは、それはそれで趣があるというか……。


「ふふ、左様でございますか」

「ガーンですわ!」


 アイラが微笑むと、アヤネはなぜかショックを受けていた。


「うう、わたくし、魔法を覚えてしまいましたわ……」

「ん?」

「わたくし、もう旦那様と一緒にデートが出来ないんですのね……」

「いやいや、遊びに行くときは前回みたいに一緒にいてくれていいよ。戦いのときに離れてくれてればいいからさ」

「ほっ……。なら良かったですわ」


 早とちりだったと安心したアヤネは、俺に撫でられた後改めてバブルアーマーの使い心地を確かめ始めた。


「それじゃ、アイラ。『甲殻騎士』が落としたスキルだけど、『身体強化Lv3』『投擲Lv2』の2つは覚えてくれ。他は全部貰う」

「承知しました。……あ、今ので二つともLvMAXになりました」

「お、いいねー」


 アイラはレベルが高いから、強くなるには色々とスキルを覚えてもらうのが一番手っ取り早いんだよな。……それじゃ、今の内にガチャを回すかな。


『ジャララ、ジャララララ!』


 出たのは、緑2、紫5、赤3だった。


『SR 腕力上昇+40』

『SR 器用上昇+45』

『SR スキル:味覚強化』

『SSR 腕力上昇+90』

『SSR 俊敏上昇+100』

『SSR 腕力上昇+75、器用上昇+75』

『SSR 魔力上昇+75、知力上昇+75』

『SSR スキル:剣術Lv1』

『UR 器用上昇+200』

『UR 頑丈上昇+200』


 「無料ガチャ」では青色のカプセルが5個。


『R 腕力上昇+18』

『R 器用上昇+15』

『R 俊敏上昇+18』

『R 魔力上昇+18』

『R 知力上昇+18』


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:25

腕力:1884(+1227)(+628)

器用:1989(+1297)(+663)

頑丈:1820(+1184)(+607)

俊敏:1805(+1174)(+602)

魔力:1697(+1104)(+566)

知力:1689(+1099)(+563)

運:2250


スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv3、鑑定偽装Lv2、自動マッピングⅡ(1/3)、鷹の目(1/3)、視力強化、聴覚強化、嗅覚強化、味覚強化、金剛外装Ⅲ、身体超強化Lv2、剛力Ⅲ(1/3)、怪力Ⅲ(2/3)、金剛力Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅱ、鉄壁Ⅲ(1/3)、城壁Ⅲ(1/3)、金剛壁Ⅱ、統率、予知Ⅱ、二刀流Ⅱ、体術Lv6、剣術Lv5、槍術Lv6、弓術Lv2、暗殺術Lv2、狩人の極意Lv2、跳躍Lv2、縮地、騎乗、元素魔法Lv2、空間魔法Lv1、泡魔法Lv1、回復魔法Lv1、魔力回復LvMAX、魔力譲渡(2/3)、力溜め、破壊の叡智、魔導の叡智、王の威圧Ⅲ、スキル圧縮


武技スキル:紅蓮剣、紫電の矢


トロフィー:ホブゴブリン

管理者の鍵:810(1)


*****


『ボックスの残り 80/130』


 『味覚強化』まで来たか……。次は触覚か? 『レベルガチャ』よ、教えてくれ。これを強化する意味は果たしてあるのか……?

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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