ガチャ132回目:三種目の強化体

 ガチャを終え、シザークラブとの戦いを再開したところで、アヤネが疑問を口にした。


「そういえば旦那様、『魔力回復LvMAX』になったのですわよね?」

「ああ、2個前のガチャでね」


 シザークラブ2匹を連続で切り捨てつつ答える。

 ステータスがまたしても大幅に上がった影響か、シザークラブの貝殻程度なら、刃の向きにさえ気をつければ、割と簡単に両断する事が可能となっていた。今ではもう、雑談に興じつつ獲物を狩るのも容易い。

 そのまま次の獲物へと剣を振るう。


「『圧縮』は試されましたの?」

「……あっ」


『ガインッ!』


 やり残しを指摘された俺の剣筋がブレ、思いっきり弾かれた。貝殻はひびが入った程度で、シザークラブは健在だった。


『ギギギッ!』

「おっと!」


 シザークラブの鋏が俺に向かってくるが、そのスピードは遅い。

 気を取り直してもう一度攻撃する。芯を捉えた剣は、見事に敵の武器ごと両断した。


「あ、旦那様。ごめんなさいですわ」

「いや、いいよ。どっちも俺のミスだ」

「そうですね。ご主人様はステータスや技量こそ達人級の域に到達しつつありますが、心のありかたはそのままですからね」

「未熟でごめん……」

「そこは今後鍛えて行けば良いのです。『圧縮』は落ち着いてからするとして、今はこの戦いを終わらせましょう」


 アイラの言葉に従い、俺は100匹討伐を成し遂げる。すると、いつものように煙が集まった。


*****

名前:デスクラブ

レベル:60

腕力:525

器用:150

頑丈:750

俊敏:120

魔力:900

知力:150

運:なし


装備:なし

スキル:剛力Ⅲ、怪力Ⅲ、鉄壁Ⅲ、城壁Ⅲ、統率Ⅲ、限界突破

ドロップ:デスクラブの大殻、デスクラブの大鋏、デスクラブの肉、デスクラブのトロフィー

魔石:大

*****


「やっぱ、デカいな」


 『ホブゴブリン』と同様、『デスクラブ』の強化体も巨大化するようだった。元の大きさとしては2mほどだが、こちらは高さも横幅も3mはある。それに比例してか、鋏の凶悪さも5割増し。その姿はまさに怪物……モンスターだ。

 けど、なんだろうな……。


 鋏の攻撃力と甲殻の硬さにばかり目が行くが、それでもやっぱり、あまり脅威は感じなかった。今では、俺のステータスはこいつの2倍以上あるし……。


「アイラ、アヤネ。とりあえず、いつもみたいにやるぞ」

「はいですわ!」

「お任せ下さい」


 戦ってみた感想としては、確かに通常の『デスクラブ』よりも手強かった。

 基礎ステータスの向上に加えて、各種スキルがⅢになったことでブースト力も向上。その巨体から繰り出される攻撃もさることながら、スキルが発動している最中の硬質度合いは、『甲殻騎士』に迫るものがあった。

 けど、所詮は知性の感じられない水生生物だ。純然たる戦士と比べ、その動きはあまりに本能的過ぎる。攻撃は直線的で、こちらの簡単なフェイントにも引っ掛かるし、駆け引きなんてものもない。

 数回鋏とぶつかり合えば、『予知Ⅱ』の補正がなくとも自然と動きが読めてしまった。


 図体やステータスを見ると強敵だが、蓋を開けてみればただのノロマなデカいサンドバッグだ。


 軌道を読んで攻撃を躱し、関節の繋ぎ目を断ち切り鋏を落とす。

 攻撃手段を失わせたところに、『力溜め』を使って一気に脳天へと突き刺した。


『ギチッ……』


 『デスクラブ』は泡を吹き出しながら、同時に煙を吐き出す。そして一瞬で全身が煙に包まれ霧散した。


【デスクラブのトロフィーを獲得しました】


【レベルアップ】

【レベルが25から88に上昇しました】


「ありゃ、意外とレベルが上がらなかったな」

「そうですね、レベルは『甲殻騎士』よりも上でしたが、魔石はただの『大』サイズでしたし……。恐らくモンスターとしての格は『甲殻騎士』の方が上なのでしょう」


 あー……確かに。


「今までの『レアⅡ』……。『エンペラーゴブリン』に、『黄金鳳蝶』。そして『甲殻騎士』。どいつもこいつもその辺のレアモンスターと比べると、一癖ある連中ばかりで、厄介な連中だったな」

「強化体など、所詮は最初のレアモンスターを強化しただけの、焼き増しに過ぎませんからね」

「世知辛いな」

「それで旦那様、どうされますの? トロフィーも取れましたし、宝箱を開けに行きますの?」

「いや……。それは一旦後にして、気になってる事があるんだよね。だからそっちを優先しようと思う。けど、その前にスキルの確認とガチャだな」


 一旦モンスターの湧かない地点まで後退した俺達は、シートを敷いて座り込む。


「ではスキルですが、相変わらず基本的な物は全部出ました。ですが、限界突破だけは出ませんでした」

「やっぱり、モンスターの専用スキルなのかもな」

「どうなのでしょう? 確かに『鑑定』で映るスキルの全てが、ドロップの確認が出来ている訳ではありませんわ。けど、まだ試行回数が圧倒的に足りないと思いますの。旦那様が倒した強化体は、まだ4体だけですわよね?」

「ああ。『ジェネラルゴブリン』1回の、『黄金蟲』2回。そしてさっきの『デスクラブ』だ」

「では、たったの4回で出ないと判断するのは早計だと思いますわ。旦那様の『運』はまだまだ成長するんですもの!」

「アヤネ……」


 確かに、そうだよな。

 スライムを何万匹と狩り続けた俺が、たった4匹討伐した程度で諦めてちゃだめだよな。


「……そうだな。これからも、いつかドロップすることを夢見ておくよ」

「はいですわ!」

「じゃ、スキルだけど増強4種はもらうから、アヤネは『統率Ⅲ』を覚えてくれ」

「はいですわ。これで旦那様は、1.6倍。わたくしとアイラは1.4倍ですわね!」


 2人がようやく『統率Ⅲ』を得たが、俺の『統率』は未だに無印のままだ。

 彼女達には苦労を掛けるけど、次ゲットしたら全員で1.6倍を満喫したいところだ。


「それじゃ、ガチャ回すねー」


『ジャララ、ジャララララ!』


 出たのは、緑2、紫5、赤3だった。


『SR 魔力上昇+45』

『SR 知力上昇+45』

『SR 魔力上昇+25、知力上昇+25』

『SSR 腕力上昇+90』

『SSR 器用上昇+100』

『SSR 頑丈上昇+75、俊敏上昇+75』

『SSR 魔力上昇+75、知力上昇+75』

『SSR スキル:暗殺術Lv1』

『UR 知力上昇+200』

『UR スキル:水流操作Lv1』


 「無料ガチャ」では青色のカプセルが4個。


『R 俊敏上昇+18』

『R 魔力上昇+18』

『R 知力上昇+18』x2


*****


名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:28

腕力:2157(+1317)(+809)

器用:2285(+1397)(+857)

頑丈:2064(+1259)(+774)

俊敏:2077(+1267)(+779)

魔力:2074(+1267)(+778)

知力:2415(+1480)(+906)

運:2376


スキル:レベルガチャ、真鑑定Lv3、鑑定偽装Lv2、自動マッピングⅡ(1/3)、鷹の目(1/3)、視力強化、聴覚強化、嗅覚強化、味覚強化、金剛外装Ⅲ、身体超強化Lv2、剛力Ⅲ(2/3)、怪力Ⅳ、金剛力Ⅱ、俊足Ⅲ、迅速Ⅱ、鉄壁Ⅲ(2/3)、城壁Ⅲ(2/3)、金剛壁Ⅱ、統率、予知Ⅱ、二刀流Ⅱ、体術Lv6、剣術Lv5、槍術Lv6、弓術Lv2、暗殺術Lv3、狩人の極意Lv2、跳躍Lv2、縮地、騎乗、元素魔法Lv2、空間魔法Lv1、泡魔法Lv1、水流操作Lv1、回復魔法Lv1、魔力回復LvMAX、魔力譲渡(2/3)、力溜め、破壊の叡智、魔導の叡智、王の威圧Ⅲ、スキル圧縮


武技スキル:紅蓮剣、紫電の矢


トロフィー:ホブゴブリン、デスクラブ

管理者の鍵:810(1)


*****


『ボックスの残り 70/130』


 『運』も含めて全部のステータスが2000を超えたか。

 ここ数日の成長速度が速すぎて、段々ヤバイ事になってるな。

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