ガチャ115回目:スキルの精算

 アイラの発言により不穏な空気が流れるが、彼女が何をするのかはそのタイミングになるまでは分からないし、今聞いたところで素知らぬ顔をされるのがオチだろう。

 変な事をしでかすとは思えないし、しようとすれば彼女達が止めるだろうし……。なら、今はソレよりも別のことを考えよう。


「えーっと、マキ」

「は、はい……」

「スキルの『力溜め』について何か知ってる? さっきは確認する間も無かったからさ」

「そ、そうですね……。では一度、テントまで戻りませんか? 今日はもう、狩りはお終いなんですよね?」

「ああ、そうだね。そうしよっか」


 そうして皆でテントに戻り、俺は鎧を脱いでラフな格好になった。戦闘中ならまだしも、この気候でじっとしているなら、暑くて敵わないからな。


「ごほん。では『力溜め』の説明をします。このスキルはショウタさんが使ったように、全力で弓を引き絞ったり、剣を握りしめ振り下ろす構えなどを3秒以上維持する事で、次の攻撃の威力が増すスキルです」

「構えっていうのは、どんなポーズでもいいの?」

「はい、力を込めていられるのなら、ですが」

「ふむ……」

「戦いの最中に力を溜めるというのが、現実的に運用するのが難しい事もあり、価格は5000万という値で落ち着いています」

「使いにくいという割には、それなりの値段はするんだね」

「はい。一般の人には使いにくいですが、ショウタさんのように武技スキルを持っていた場合話は変わってくるからですね。あとは、入手手段が限られているというのもありますが」

「なるほど」

「そしてその威力ですが、溜め続ける事で徐々に上昇していき、最大で2倍にまで膨れ上がるそうです。それに要する時間は、研究所の検証によると、5秒だそうです」

「微妙に長いな……。ありがとう、参考にするよ」

「はいっ」


 これは、弓で戦うとき限定だな。剣で戦うときは相手は待ってくれない訳だし。


「ではご主人様。次に私が」

「ん」

「今回得られたスキルです」


 アイラが俺の前にスキルを並べてくれる。

 『デスクラブ』からは『剛力』『怪力』『鉄壁』『城壁』『統率』が4個ずつ。

 『甲殻騎士』からは『身体強化Lv3』『剛力Ⅲ』『怪力Ⅲ』『鉄壁Ⅲ』『城壁Ⅲ』『体術Lv2』『槍術Lv3』『投擲Lv2』が1個ずつだ。


 俺はそれらと全員のスキル状況を照らし合わせつつ、適度に配分していく。


「まずアヤネは『身体強化Lv3』を。それから『鉄壁』1個、『城壁』1個、最後に『統率』を3個使って」

「はいですわ!」


*****

名前:宝条院 綾音

年齢:18

身長:146cm

体重:35kg

スリーサイズ:75/52/78

レベル:70

腕力:119(+45)

器用:234(+88)

頑丈:138(+12)(+52)

俊敏:232(+87)

魔力:816(+17)(+306)

知力:1045(+22)(+392)

運:10


装備:宝石のステッキ、ハイパープロテクター内蔵・新式オートクチュール

スキル:鑑定Lv3、鑑定妨害Lv3、金剛外装、身体強化Lv3、怪力Ⅱ、鉄壁、城壁、統率Ⅱ、炎魔法Lv3、風魔法Lv6、回復魔法Lv2、魔力回復Lv1、魔導の叡智(1/3)

*****


「アイラは『剛力』2個、『怪力』4個を圧縮して出来た『怪力Ⅱ』、『鉄壁』3個、『城壁』2つを使え」

「はい、ご主人様」


*****

名前:犬柴 愛良

年齢:23

身長:170cm

体重:56kg

スリーサイズ:90/60/89

レベル:174

腕力:1592(+14)(+531)

器用:1590(+12)(+530)

頑丈:1050(+350)

俊敏:2112(+14)(+704)

魔力:525(+175)

知力:530(+177)

運:6


装備:パラゾニウム、ライフスティール、カスタマイズハイパープロテクター(戦場のメイド仕様)

スキル:鑑定Lv4、鑑定妨害Lv4、身体強化Lv7、隠形、気配遮断Lv5、剛力Ⅱ、怪力Ⅱ(2/3)、金剛力、俊足Ⅱ、迅速、鉄壁Ⅱ、城壁Ⅱ、金剛壁、統率Ⅲ、予知、二刀流、剣術Lv4、暗殺術Lv3、投擲Lv8

*****


「最後に俺は、『Ⅲ』4種と『体術Lv2』、『投擲Lv2』をもらおうかな。『槍術Lv3』は、うーん……。マキ、いる?」

「いえ、遠慮します」

「ねえ、せっかく武器が出たんだしさ、ショウタ君が使いなよ」


 そういってアキは、『甲殻騎士』が持っていた『激流の三叉槍』を指した。


 名称:激流の三叉槍

 武器レベル:32

 説明:使用者の魔力を10消費して、武技スキル『激流槍』が使用可能。装備者の腕力にボーナス。


「武器レベル32か。装備するだけで武技スキルが備わってるってことは、これもアーティファクトってことで良いんだよな?」


 こんな装備を宝箱からではなく直接ドロップするなんて、かなり強いモンスターだったよな。

 レベルだけで見れば『エンペラーゴブリン』と同じなんだけど、個体としての強さで言えば、『甲殻騎士』の方が圧倒的に上だろう。個体としての強さが増すほど、身に纏う装備にも影響を与えているんだろうか……。


「はい。水の力を集めてレーザーのように放つなど、普通の武器では考えられませんし、武技スキルが備わっているアーティファクトは非常に価値が高いです」

「わかった。じゃあレーザーはまた後で試すとして……」


 槍はアイラに収納してもらい、ついでに鎧も確認することにした。


 名称:甲殻全身鎧

 防具レベル:30

 説明:着用することで全身が甲殻に覆われる寄生型の鎧。一度装着すると三日三晩脱ぐことは不可能だが、絶対的な防御力を有する。


「……なにこれ、呪いの装備では?」

「寄生型……? うえぇ、怖ぁ……」

「これもアーティファクトですね。欠点を除けば有用な装備であることは間違いありません。身に着けたいとは微塵も思いませんが」


 俺もそう思う。


「アイラの攻撃すら弾く防御力ですものね。でもこれでは、お花を摘むことも出来ませんわ」

「というか、食事すら難しいんじゃないか?」

「どうやって生きていくんでしょう……?」

「とりあえず、これは有用ではあるものの『危険指定アイテム』に分類されるでしょう。食事や排泄がどうなるかは気になる所ですし、研究室送りが妥当だと思いますが」

「じゃ、それで」


 いくらアイラの攻撃を防げる防御力だからって、こんな気持ち悪いの着ける奴なんているのか?

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