ガチャ060回目:判明した新たな仕様
俺は、新レアモンスター『ジェネラルゴブリン』を討伐した。
『黄金蟲』の強化体ほどではないにしろ、高レベルのレアモンスターなだけあって、しっかり41にまで上がってくれたようだ。今日からは『ホブゴブリン』『ジェネラルゴブリン』の流れで楽に……と、言いたいところだが、今は4カ所殲滅後の『ホブゴブリン』の強化体出現確認を最優先にしたい。
けど、もしもこのまますべての箇所で『ジェネラルゴブリン』が出現してしまった場合、5体目の『ホブゴブリン』の強化体の後に、更に奴の強化体と遭遇するかもしれないのか?
可能性は、懸念しているある1点によって、限りなく低くなるのだが……。
ちょっと考えてみよう。
まず今回、無傷で討伐できたのは、奴がアヤネを狙って隙を晒してくれたこと。そこから馬乗りの体勢で、スキルをフル活用して相手をサンドバックにすることで、なんとか勝てたにすぎない。正面から正々堂々と戦うには、相手の鎧が、些か硬すぎる。
そんな相手を更にパワーアップさせた強化体に、同じ手が通じるとは思えない。
なんせ、『黄金蟲』の時ですら、全ステータス1.5倍に加え、『限界突破』のスキルによるパワーアップがあったのだ。『ジェネラルゴブリン』は『黄金蟲』と全く同数値の『腕力』と『頑丈』を持ち合わせている。強化体となった際のパワーアップが同じ倍率だった場合、そんな奴に、240の『俊敏』がついてくるのだ。
縦横無尽に駆け巡る『黄金蟲(強化体)』を想像したが、勝てる気が全くしない。寒気しかしないぞ……。
今は避けるべき相手だろう。もし連続で『ジェネラルゴブリン』が出てくる様なら、撤退も視野に入れるべきだな。
戦うなら、『魔鉄』が相手でも問題なく戦える武器を新調するべきか。
そして2つ目の発見。
今日の『ジェネラルゴブリン』。そして昨日の『黄金蟲(強化体)』。そのどちらもが、討伐後すぐに煙もろとも霧散した点だ。これはすなわち、この後に追加のレアモンスターは控えていないという証明だろう。なので、『ホブゴブリン』の強化体も同じように霧散するのなら、『ジェネラルゴブリン』の強化体は現れないという証明になる。
そこはまあ、試してみるしかないよな。
そして霧散しない上で、まだ先を見ていないレアモンスターは2匹。『マーダーラビット』と『黄金蟲』だ。こいつらは、『運』を上げれば次が現れるという事に他ならない。
……そういえば『虹色スライム』はどうだっただろうか? あの時は興奮しすぎてみていなかったな……。
それはともかく、『マーダーラビット』は『ホブゴブリン』と同じ感じで出現していたし、今の俺でもその次を出せる可能性はある。気にはなるが、やはりこれも後回しにしよう。
『黄金蟲』に関しては問題がある。『黄金蟲』ですら確実に湧かせられないのだ。今の状態では顔を拝むことは難しいだろうな。
けど、湧くとしたらどうなるんだろうか。……孵化でもするのかな?
「旦那様!」
考え事に耽っていると、後ろからアヤネが飛びついてきた。肩越しに良い匂いがする。
「アヤネ?」
「旦那様が、先ほどわたくしが襲われた事に、怒って下さいましたの。それがとっても嬉しかったですわ!!」
「あっ。あれは、……俺を無視してそっちに行ったのがムカついたというか、なんというか……。ううん、うまく言語化出来ない」
「つまりわたくしはもう、旦那様の女として見られているのですわね!」
「え、いや、違うよ? 違うからね?」
アヤネはうっとりしていて、俺の言葉が届いてるように見えない。
「……アイラ」
「はい、ご主人様」
「これ、引っぺがして」
「畏まりました」
「キャーですわ!」
アヤネが大袈裟なリアクションと共に剥がされた。冗談で言ったんだけど、アイラもなんで俺の言う事聞くんだよ。そりゃ、さっきアヤネがそう宣言したんだけどさ。
うん、面倒だしイイヤ。今は目の前のアイテムを見よう。
ドロップは……。
1:『鋼鉄の大剣』
2:『魔鉄のチェストプレート』
3:『中魔石』
4:『大魔石』
5:『スキル:怪力』
6:『スキル:怪力Ⅱ』
7:『スキル:統率』
ふむ……。
まさか、『怪力Ⅱ』が単独で落ちるなんてな。ということはつまり……。
いや、試してみないとな。無駄になるかどうかも含めて。
「『怪力』を使用」
『怪力』のスキルオーブは消失した。さて……。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:41
腕力:375(+331)
器用:331(+287)
頑丈:441(+397)
俊敏:380(+336)
魔力:344(+302)
知力:313(+271)
運:802
スキル:レベルガチャ、鑑定Lv5、鑑定妨害Lv5、自動マッピング(1/3)、鷹の目、金剛外装Ⅱ、身体超強化Lv1、怪力Ⅱ、金剛力Ⅱ、迅速Ⅱ、金剛壁Ⅱ、予知(1/3)、二刀流、体術Lv1、剣術Lv1、投擲Lv3、元素魔法Lv1、魔力回復Lv2、魔力譲渡、スキル圧縮
トロフィー:黄金蟲
*****
変化なし……。
つまり、
「これは……金剛シリーズで試さなくてよかったな」
本当に。
『怪力』とは明らかに価値が違い過ぎる。
なら次に試すべきは。
「『怪力Ⅱ』を使用」
『怪力Ⅱ』のスキルオーブは消失した。これなら……。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:41
腕力:375(+331)
器用:331(+287)
頑丈:441(+397)
俊敏:380(+336)
魔力:344(+302)
知力:313(+271)
運:802
スキル:レベルガチャ、鑑定Lv5、鑑定妨害Lv5、自動マッピング(1/3)、鷹の目、金剛外装Ⅱ、身体超強化Lv1、怪力Ⅱ(1/3)、金剛力Ⅱ、迅速Ⅱ、金剛壁Ⅱ、予知(1/3)、二刀流、体術Lv1、剣術Lv1、投擲Lv3、元素魔法Lv1、魔力回復Lv2、魔力譲渡、スキル圧縮
トロフィー:黄金蟲
*****
「よし!」
この発見は大きい。Lv表記の無い物は、名前も数字も同じものでないとレベルアップしないのだ。
これで『Ⅲ』になった時、効果が微々たる量しか変化していなかったら、絶望物だな。
っていうか、それなら最初から数値のついてるものを覚えた方が早いって話になるんだが……。
ふむ。覚えてすらいない者が数値付きを取得しようとしたらどうなるかも、気になるな。そもそも存在を知られていなかったのだから、この領域は前人未踏だろう。
……つまり、俺が一番乗りか。楽しくなってきたな。
それを思うと、『ジェネラルゴブリン』を乱獲したい気になって来たぞ。でも強化体になられると困るんだよな……。
「それじゃ最後に……『統率』か。検索検索」
『常時発動型のスキル。所持者がチームメンバーと認識している者達のステータスが1割上昇する。最大人数5人。末端価格5億』
なんかもう、最近、億が当たり前の世界に突入してきてない?
いや、すごい優秀なスキルなのはわかるけどさ。
「当然、使用する」
これもその内、『Ⅱ』にしちゃうか。いやでも、実質無意味なスキルになるだろうな。チームメンバーなんて俺には居ないし……。
そう考えたところで、ふと、背後にいる2人の事を考える。
ここまで無償で俺に尽くしてくれてる彼女達を、いつまでもおざなりに対応し続けるのは気が引けるんだよな。面倒だったのと、
でも、あの2人と付き合って間もないのに、他の子に気を許してチームとして招き入れるのも、何だかなぁ……。
ああでも、単純に彼女達にも『統率』を覚えさせたら、俺も強くなったり、効果が重複して20%になるのかは気になるな。
「……ああ、だめだ」
俺は今、彼女達を仲間にするメリットを探してしまっている。やばいな。チームに対する憧れからか、降って湧いたこのチャンスを手にするべきではないかと、本気で悩んでいるみたいだ。
「ふぅー……」
よし、困った時は彼女達に相談だ!
ひとまず、簡単だけど検証は出来たし、探索意欲も軽くだが満足できた。
まだ昼には早いけど、ここで午前の部は終了! 撤退!
「いったん帰る。アキとマキに報告に行くから、ついてきて」
「はいですわ!!」
「承知いたしました」
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今日も2話です。(2/2)
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