ガチャ003回目:初めから
全てのアイテムを使用し、自分のステータスを強化した。
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名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:1
腕力:36(+32)
器用:13(+9)
頑丈:28(+24)
俊敏:35(+31)
魔力:18(+16)
知力:8(+6)
運:60
スキル:レベルガチャ、鑑定Lv1、鑑定妨害Lv1、身体強化Lv2
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「ガチャからは同じスキルが出る事もあって、組み合わさるとレベルが上がるのか。そう言えば高レベルプレイヤーのスキルが一部公開されていたけど、そこにもスキルレベルなんてものがあったな」
目の前に鎮座するカプセルトイマシーンを見る。
そこに記載されている文言を改めて注視する。
『所有者のレベルを消費して豪華アイテムをゲットしよう!』
『1回ガチャはRランク以上が出ます』
『10回ガチャはSRランク以上が確定で1個以上出ます』
『ボックスの残り70/100』
「……残り70か。これを引ききったらどうなるんだろうか。中身が更新されるのか? それとも、尽きれば終わり……? もしそうだったとして、補充する方法はあるのだろうか。例えば、もう1度『レベルガチャ』のスキルを……」
そこまで考えたところで頭が痛くなった。
「あの地獄の3年間を、もう1度? しかも今度は、3年で出る確証もないんだぞ。……あー、やめやめ。こういうのはなってから考えるようにしよう。そうしよう」
立ち上がって振り返れば、そこには再びダンジョンから湧き出たスライムが蠢いていた。相変わらず、こちらを攻撃する意思があるのか理解できない程の移動速度だ。
「とりあえず、日暮れまでもう少しあるし、もう100匹ほど狩るか」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……楽勝過ぎる」
100匹どころか、300匹ほど狩ってしまった。
器用さは落ちているが、それでも近接戦闘における重要項目である『腕力』と『俊敏』は、スキルを使用する前とほとんど変わりが無かった。それも相まって、レベル1なのにも関わらず今までと同じ……いや。それ以上の速度で狩り尽くした。
一番の違いは『スキル:身体強化Lv2』の存在だろう。Lv1があるだけでも、一般人が一級アスリート並みの身体能力が得られると噂のスキルだ。そんなスキルにもかかわらず、Lv2を取得したのだ。逆に自分の動きに思考が追いつかずに、スライムを通り抜けて何度壁に激突しそうになったことか。
スライムを乱獲した結果、レベルは再び8へと上がり、思いがけない事だったがその都度『SP』を獲得。14ものポイントは全て、俺の根幹である『運』へと注ぎ込んだ。
*****
名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:8
腕力:43(+32)
器用:20(+9)
頑丈:35(+24)
俊敏:42(+31)
魔力:25(+16)
知力:15(+6)
運:74
スキル:レベルガチャ、鑑定Lv1、鑑定妨害Lv1、身体強化Lv2
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「また11になったらガチャを回して、また1からやり直してまた『運』に『SP』を振り分けて……。繰り返せばもう1度『虹色スライム』に会うのも夢じゃないかもな」
ちなみに今回の連続300匹討伐では、『水色スライム』2回、『緑色スライム』1回という結果に終わった。まあ、そんなものだろう。
「さて、帰るか。……あ、ダンジョン協会への報告、どうするべきだろう。換金の時に、レベル……は顔馴染みだしチェックされないだろうけど、ばれたらどうしようか」
そんな事を考えつつ、俺はダンジョンを抜け出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇
ダンジョン協会第777支部。
ダンジョン協会はダンジョンに対抗する為に設立された機関で、ダンジョンごとに1つずつ設立されている。中にはダンジョン内部で得られた魔石やアイテムをお金に還元させる受付であったり、ダンジョン技術やスキルを用いて作られた武器やアイテムを販売しているショップ。ダンジョン攻略者が訓練する施設や待合室なども設立されている。
……が、第777支部は世界から見放されたダンジョンだ。挑戦者も今となっては俺一人しかおらず、旨味もないとみなされている為、あるのは受付くらいのもの。
設立当初は大いに賑わっていた場所だが、今では見る影もない。
在中する職員も、たった2人だ。
「あ、ショウタ君じゃん。おかえりー」
「ただいまアキさん」
1人はアキさん。受付嬢と事務の仕事を兼任する、第777支部の管理者だ。
最初の頃はこんな僻地に派遣されたことにぶつくさ文句を言っていたが、今ではこの通り素敵な笑顔を向けてくれている。何か心境の変化でもあったんだろうか。
変化と言えば、最初は髪を下ろしていたけど、ポニテの方が似合うって言ったら、それ以降ずっとポニテなんだよなぁ。気に入ったのかな?
「へっ、噂をすればスライムハンターのお出ましか」
「ちょっとダイモンさん? ショウタ君はうちのエースなのよ」
「へいへい、すいませんねー」
この憎まれ口を叩くのは、第777ギルドの警備兵を務めるダイモンさん。ダンジョンが世に溢れた激動の時代、前線で活躍していたが大怪我が原因で一線から退き、警備に回った人だ。ダンジョンは放っておけばモンスターが溢れ出る場所でもある為、ダンジョンの入り口には警備兵を常駐させるのがルールだ。
けど、ここは見放されたスライムだけのダンジョン。
もし溢れたとしても対処が容易だとして、警備兵はダイモンさん1人しか派遣されていない。その上彼は、毎日常駐しているわけでもなく、週に4回程度しか見かけないくらいやる気がない。
まあ彼がやる気をなくしている理由の1つとして、この3年間俺がずっと通い続けている事もあって、一度もモンスターブレイクが起きていないからだろうけど。
「アキさん、早速だけど換金をお願いできますか」
「はいよー。今日は何匹倒したのかなー?」
「たしか、500体ほどかな」
カウンターに『青色スライム』を討伐した際にたまにドロップする『極小魔石』を並べる。その数は大体、300個くらいといった所か。本来はもっと少ない物だけど、ここまで『運』をひたすらに上げ続けた結果、ドロップ率に影響が出ているようだ。
「ごひゃ……相変わらず、凄い数を倒すね。それに魔石の数も。最弱のモンスター相手とは言え、短時間でこんなに倒せるのなら、別のダンジョンに行った方が稼げるんじゃない? 君なら他のダンジョンでもやっていけるよ」
「別のダンジョン、ですか」
アキさんからのこのお誘いも、最早恒例と言って良い。お世辞で言ってくれてるんだろうけど、今までの俺はスライムの先を見る事に夢中だったから、分不相応だと断ってきた。
けど、今は違う。スライムの果て
そうなると、スライムだけだとレベルアップの効率は悪い。
今のステータスなら、初級系の他ダンジョンでも苦にはならないだろうし、レベル11になればまたガチャを回せるからもっと上も狙えるはずだ。
『虹色スライム』のドロップ検証が残っているけど、これは『運』のステータスが育たなければまた何年もの時間がかかるだけだ。
それなら、今まで見向きもしなかった他のダンジョンにも、足を向けるのも良いかもしれない。
「……わかりました。他のダンジョンに行ってみます」
「え、ほんと!? 提案しておいてなんだけど、断られるんじゃないかと思ってた。何か心境の変化でもあった?」
「あー……そんなとこですね」
「そっかそっか。アキお姉さんは嬉しいぞ! ……はい、査定終わり。極小魔石は322個で、1個200円。それからダンジョン税20%を差し引いて、51520円ね」
「ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうだよ!」
お金を受け取った俺は、なぜかホクホク顔のアキさんと雑談をする。
そうして『ダンジョン通信網アプリ』でアキさんと連絡先を交換し合い、彼女に見送られながら帰路へとついたのだった。
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