GEHENNA
昭和三十年の夏の出来事である。
「小説家の
男は
「一昨年前に
「どちらも見覚えがあります。長い話になるかもしれません。どうぞ上がってください」
数分後、
「一昨年前の夏に、
というのも、この写真の男と宝石のことなのです。男は宝石店の従業員の一人で、
不審に思って、帳簿を調べてみたところ、ある宝石が事件を境に紛失しているようなのです。男の失踪と宝石の紛失――どう考えても奇妙です。
そこまで話すと、老いた刑事は茶湯を飲み干した。
「
その日も私達は喫茶店で会っていました。
私が
それはまことに奇妙な品物でした。
宝石の中には確かに地獄が存在しておりました。鬼に
夢中になって観察し続けている私に向かって彼は
パタンという音を立てて、箱が閉ざされると共に、私は正気を失いました。やがて、目を覚ましましたが、喫茶店に彼の姿はありませんでした。以降、
刑事は神妙な顔をして
白髪頭の刑事が屋敷を去った後、
(了)
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