祝日の前日

K君は、今夜の夕食の後が楽しみでなりません。


K君の家で恒例の祝日の前日の家族会議があるからです。


普段忙しくしている、お母さんも祝日だけは、お出かけに連れてってくれます。


いつもとは違う公園で遊んだり、山でピクニックしたり、海にドライブに行ったり。


平日に、お母さんとなかなか遊べないK君は、とっても嬉しいのです。




その祝日のお出掛けの内容を決めるのは、前日の夕食の後と決まっていました。


お母さんと、おねえちゃんと、いろいろな候補を出して、祝日の過ごし方を決めるのです。いつも盛り上がって、楽しくなります。


実は祝日そのものより、楽しい時間なのかもしれません。




今夜もK君は夕食を食べてから、明日の予定を切り出そうとしました。


でも、今夜は少し様子が違いました。


お母さんと、おねえちゃんは、少し寂しい表情です。


K君も様子を察して、お母さんに静かに聞きました。


「明日は祝日だね。お母さん、もしかして忙しいの?、、、」


お母さんはK君が心配していることに気が付き、こう言いました。


「明日は祝日ね。でも明日は予定が決まっているのよ」


「どこに行くの」


「明日はね。2年前にお父さんが亡くなった日なの。だから、お父さんのお墓参りに行きましょう。Kは、まだ小さかったから、覚えてないよね」


そう言って、お母さんは、お姉ちゃんとK君をぎゅっと抱きしめました。




おわり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る