第26話 彼女を守るため⁈
51.アリシアの助力
そこに現れたのは、アリシアだった。
「私なら、感覚的なものも分かっているわ。むしろ、私は父親から徹底的に魔法と剣を叩きこまれた。私なら、感覚的なものも教えられる。ミネルヴァさんの理論と、私の感覚と、それを合わせたら完璧じゃない?」
驚いたのは、アリシアとミネルヴァは両雄並び立たず、というか、あまり交わることがなく、これまでも交流が少なかったのに、声をかけてきたことだ。
二人もライバル視され、意識してしゃべりにくい雰囲気になっていたこともある。それが代表選でガチンコで渡り合ったこともあり、余計に距離を開けている……と思われていた。
「それは助かるけれど……」
ミネルヴァも戸惑っている。でも、アリシアは笑って「私たち二人が教えたら、最強でしょ?」と応じた。
ミネルヴァもそれで決心がついたのか、「よろしくね」と応じ、握手したときには笑顔となっていた。
ミネルヴァの魔術講義は、大盛況で終わった。それはアリシアも加わり、人気のある二人が講師役となっているのだ。理論派のミネルヴァ、感覚派のアリシアと、それぞれが得意な点で説明をする。みんなも受け入れやすいのだ。
ボクとしては今回、出番はなかったけれど、レンの行動を監視するのに時間は十分につかえたので、有難かった。ただ、ミネルヴァに声をかけることはなく、変わった動きもなかった。
レンはこれがゲームの中だということに無自覚……と考えているので、これはこれで仕方ないのかもしれない。
ただ、ミネルヴァ・ルートのイベントであるこの魔術講義で、動きをみせなかったということは、ミネルヴァ攻略は諦めた?
むしろ、ミネルヴァがボクに声をかけてきたのは意外であり、主人公との会話がなかったので、ボクに頼ってきた、とも思える。そうなると、これはもうゲームの進行とは外れているのだろうか……?
それとも、ボクの知らないルートでもあるのか? でも、マイア・ルートはがっちりと押さえているし、エマ・ルートでは今のところ、動きはない。アリシアとも一時期親しかったけれど、今はそうでもない。ミネルヴァはこの中間試験というイベントで、親しくなる機会を逃し、ウェイリングに至っては、決闘以来、ボクにべたべたしてくる。
このまま、主人公が彼女たちと幸せにならないのなら、ボクとしては願ったり叶ったりだけど……。
52.セイロン家の夜
レイラの元を訪れて、久しぶりのエッチをすることになった。彼女はあの日、初めてを迎えて以来、それを励みにしてさらに健康に気をつけるようになり、訪ねるとキスをして帰るのが日課となった。
「こうして、窓から外を眺めていても、今では輝いてみえます」
ベッドで寝ていることの多い彼女は、そこからみえる光景の中に、少しずつ幸せを感じ始めている。そしてそれは、ボクとエッチできる日を楽しみに待つ、ということに他ならない。
「今度、調子がいいときに町へ出ようか」
「……今は遠慮しておきます。私はセイロン家の跡取りを生むため、生きているのです。少しでも体調のいい日は、子づくりを優先しないと……」
「いや、むしろ子種をさずかっても、今の君では出産に耐えられないかもしれない。だからこそ、少しずつ体力をつけ、出産に備えるようにするのも、大切な役目だと思うよ」
「……分かりました。デ……、デート、というものですよね?」
レイラは少しはにかみつつ、そう尋ねてくる。
子づくりとは、エッチをすることばかりではない。母親が出産できる体力をつけることも大切だ。
「そうだよ。外で食事をするのは、初めてかい?」
「そうですね。いつも世話をしてくれる皆さんにお任せしているので……」
レイラの世話をするために、ここには四人のメイドがいる。領地は地方にあり、その経営もしなければいけないため、祖母のミデラはあまり首都にある別邸にはこられないのだ。
ただ、ふと気づく。
「この前調子よかったときも、ミデラさんが来て数日してから、だよね?」
「そうですね。高齢の祖母に、元気を別けてもらっています」
レイラはそう嬉しそうに笑顔をみせた。
ベッドにすわる彼女ににじり寄り、ボクは唇を重ねた。基本的に、彼女はあまり動かない。それは疲れさせると、すぐに彼女がへばってしまうからだ。
まるで等身大のお人形の着せ替えをするように、ボクが彼女の服を一枚、一枚剥がしていく。
まだ体はほっそりとして、弱弱しいけれど、これからされることを期待するかのように、小さな胸の突起はまだ何もしていないのに、つんと立っている。
ボクは丁寧にそこを責めた。ボクが舌を這わすと、彼女は敏感に「ん……ん……」と反応する。目を閉じ、全身をくまなく敏感にするために、視界をすべて閉ざしているかのようだ。
彼女には焦ってする必要がない。今日は外泊許可をとって、寮をでてきた。貴族なら大抵、この首都アリアンベルムに別邸をもっており、そこにもどることが多い。貴族の中では一番、ボクが寮にいるぐらいだ。
胸ばかりでなく、手を下へと滑らせる。もう期待が高まり過ぎて、雫となって垂れそうなほどだ。ボクは彼女の太ももに手を這わせ、その液体をすべて手に絡ませるようにしてから、その蜜を巣へともどすハチのように、彼女の蜜ツボにむけて指を押しこんだ。
「あぁん♥」
レイラは身を捩らせる。彼女は敏感だ。それは全身くまなくそうであり、またこの行為を心から楽しんでくれている。
ほとんど陽を浴びていない白い肌、スジ張った体には女性らしいふくよかさは感じられない。でも、だからこそ触れるだけで、直接それが彼女に伝わり、ダイレクトに反応してくれる。
ボクにはそれが嬉しかった。彼女が全身で喜びを感じ、ボクに心を赦してくれている。ボクを受け止めて、それでいて自らそれを愉しもうとしてくれている。
ボクは静かに、彼女の中に沈んだ。激しくする必要はない。彼女はそんなことをせずとも、しっかり感じていてくれる。
まだ子供ができたわけではないし、年齢的にも大変だろう。それに体力もない今では、まだそれをするのは早い、とも考えている。
だから、ボクも慎重にコトをすすめる。でも、急いだ方がよいこともありそうだ。
今この腕の中で、満足そうな笑顔を浮かべて、小さく呼吸をする彼女。それは激しくすると、息が上がってつらくなるから。こうして一回、一回きちんと休憩を入れるようにする。
こんなか弱い彼女を守るために、ボクも改めて動く必要を感じていた。
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