エピローグ~金髪の槍姫


 幸せな日々が続いていたある日、ノエルから稽古をしたいと言うことがなくなり、稽古の誘いを断ることが続いた。


 クラウスは不思議に思い尋ねた。

「最近、どうしたんだ?」


 ノエルは顔を赤らめて耳打ちする。

「実は……」


 クラウスは喜んで叫ぶ。

「子供ができた?、男の子か?、女の子か?」

「それは、まだ、わからん……」

「男の子なら剣。女の子なら槍だな」

「気が早すぎるぞ……」

 ノエルは顔を赤らめながら、嬉しそうに微笑んだ。


 そして月日が流れた。




 庭では小さな男の子と女の子が楽しそうに遊ぶ声が響いていた。


「ぼくは、ケンテー!」

「あたし、ヤリヒメー!」


 男の子は黒髪に黒目、女の子は金髪に青い目をしている。

 手にした木のオモチャの剣と槍をコンコンとぶつけ合っている。


 そばのベンチに座るクラウスとノエルが幸せな笑みを浮かべながら、子供達を見ている。


「双子だから、剣か槍か、どっちを学ばせるか迷わなくてすんだな」

「でも、髪の毛と目の色は逆になったわね」


 クラウスはノエルの黒髪を優しく撫でながら言う。

「いいじゃないか『金髪の槍姫』でも」

「ふふ、そうね」


 二人は子供達の遊ぶ姿を見ながら幸せそうに笑った。


           完


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黒髪の槍姫 古東薄葉 @kotou_usuha

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