第12話 リン家の技
首をかしげるクラウスやイエルクを見て、ノエルも思案顔。
「イエルク、さっき肩が痛いと言ってたな?、ちょっと見せてくれるか?」
「えっ?、ああ……、稽古のしすぎだな」
訳がわからないという顔をしつつも、イエルクは服を脱ぎ、上半身裸となった。
「アレット、頼む」
アレットは皮の包み中から十数センチの針を取り出し、ろうそくの火であぶっていく。
「えっ、なに、まさか、それ刺すの?」
その様子を見て、イエルクはオロオロするが、アレットは構わず腕を取り上下させると、イテテテ、と痛がる。
「ここですね」
アレットはそう言いながら肩の筋肉を押し、痛がるイエルクの表情を確認して、そこに針の先端をあてる。
みんなが息を殺して見守る中、針はスーと血を流すこともなく、数センチの深さで入っていく。
その様子を首を回して、イエルクが見る。
「全然痛くないけど、刺さってるのか?」
アレットは何かを探るように針を左右に少し動かして、スッと引き抜く。
「はい、終わりました。動かしてみて下さい」
イエルクは言われるままに腕を上下に動かしたり、肩を回して驚く。
「あれ、ホントだ、全然痛くない、直ってる!」
得意げな顔でノエルはクラウスに言う。
「リン家の者は,いろいろと技を極めている。アレットが針なら、わたしは脈診と薬材だ」
「お前の嫁さんたち、なんかすごいな……」
イエルクが感心したようにクラウスを見て言った。
「フローラは若いから効果も早いはず。期待してもらっていいぞ」
ノエルは笑ってフローラを見て言うと、フローラの顔がぱっと期待で明るくなった。
翌日、クラウス、ノエル、フローラ,アレットの四人は、予定通り、街に買い出しに出かけた。
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