あなたは日本住血吸虫症という病気がかつて日本にあったことをご存知ですか?

おれごん未来

あなたは知らなくてはならない

 このエッセイは、おれごんサンタからのクリスマスプレゼントです。どうぞお納めを。

 イブは夜更かしをしなければならない任務があり、夜をふかしながら書いています。


 今日は久しぶりに住血吸虫症という病気を話題にしましょうか。中身にふれず、輪郭のみでお話ししましょう。


 今年も新型疾病に明け暮れた世界でしたが、それと同時進行で、はるか昔から蔓延している病気をどれだけの方がご存知でしょう。それは今の状況がこれからひと段落した後も、延々人類を苦しめ続けるであろう恐ろしい病のひとつです。


 ワクチンを撃てて、発熱すれば病院へも行け、休まる寝床があり、もし落命すれば手厚く葬ってもくれる。こんな状況下に住まう私たちは幸せです。


 そうした庇護を受けられない人々の方が世界では過半数を占めることを、私たちは忘れてはなりません。私たちはそうした存在に直接手を差し伸べずとも、世界にはあるのだということを覚えていなければなりません。それは義務です。いつか私たちが自分で使うには余りそうなお金を手にしたとき、その人たちのために使うまで。


 そうして病気で失われる命のほとんどが子どもなのはご存知でしょうか。さらに言うなら小児。もっと言うなら赤ちゃん。

 先進国の人々が長生きをして心疾患や悪性新生物で息を引き取るなか、大人にもなれずに世を去る子どもたちの多さ。

 もし私たちが日ごろ受けられる医療を同じだけ受けられたなら。願わずにはいられません。


 ここでやっと本題が。

 今も世界を苦しめ続ける疾病の中に、住血吸虫症という名前の病気があります。ひとたび発病すれば例外なく急速に死へ至るおそろしい病のひとつ。それが数多の感染症と違うのは、かつて日本でも蔓延していた歴史があることです。その事実を知る方がどれほどおられるでしょうか。

 その名は日本住血吸虫症。日本で最初に新種として認知され、世界で初めて終息に至らせた疾病です。


 終息までにはそれはそれは大変な闘いがありました。あれぞ闘病と呼ぶべきでしょうね。本当につらい歴史がそこにはあり、すばらしい人間模様もそこにはあり。私はたいへん感銘を受けました。

 下に詳しいwikiのリンクを貼ります。そこにあの病気のすべてが書かれてあります。


https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E7%97%85_(%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BD%8F%E8%A1%80%E5%90%B8%E8%99%AB%E7%97%87)


 この疾病を終息できたのは日本だけで、残念ながら今も東南アジアやアフリカではびこっています。最初で最後なんです、今のところ。

 日本で根絶できたものなら、世界でもそうしたいじゃないですか。ODAでもなんでもやって推し進めたらいいんです。守るための武力より、攻めるための援助です。病気に対して攻めましょうよ。

 でも根絶は実現していません。20世紀に克服例があるものがなぜ21世紀でも蔓延しているのでしょう。


 それは貧しいからです。日本は明治に原因を特定できましたが、きちんと対策を打てたのは昭和になってからでした。それもお金持ちになった戦後でやっと。


 川辺という川辺をコンクリートで固め、沼という沼を埋め立てねば克服できませんでした。それを東南アジアやアフリカで行うのがどれほど難しいか。

 どんなに説明を尽くしても反対する人が少数でもいればできないことです。病気を媒介している宿主は貝なのです。それを撲滅しようと思えば、同じ地域に住まう魚も道連れに。動植物への影響は計り知れません。それで生計を立てている人もいるでしょう。土地の問題、あるいは宗教上。おそらくなにかが理由で現在も。


 川を新たに掘り、魚を移し替え、元の川を埋め立てる。それを山から海まで、川という川を。途方もない時間と労力、お金、そのうえ理解が必要です。


 マラリアなどと合わせると、年間100万人が亡くなっているそうです。1分に2人がこの世から去っている。その子どもたちが生きていたら何を成したでしょうね。思いを馳せずにはいられません。

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あなたは日本住血吸虫症という病気がかつて日本にあったことをご存知ですか? おれごん未来 @oregonian

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