第6話
「その通り、ここまでくればお判りだと思いますが、
……ですが、決して無関係でもない。
「どういうことだ?」
人差し指を立てる少年は、まるで市井に広まっている小説の主人公のようだ。或いは出来の悪い生徒に一から
「元々
それ故にここに召喚された
立てた人差し指をくるりと回り、くすくすと笑いをこぼした。
「きっと召喚主は驚いたでしょうね。本来ならば目の前の壁を突き破って宝物室の扉を開けるはずだった
「なっ…!」
「つまり、それは……」
再び気色ばむ夫妻に、けれども今度は制止の仕草を見せることはない。少年は一つ頷いて、託宣をするかのように言葉を紡いだ。
「無論、証拠はこちらにありますよ。使われた召喚用の
取り出したのはいくつかの紙片。破られ原型すら残っていないそれは、けれども確かに呪文らしき単語が刻まれている。
召喚魔法は高位の魔法だ。通常ならば学院での学びを履修し終えた頃にしか使えないほどの。
けれども魔法具があれば話は別だ。あらかじめ所定の条件をつけることで発動するように設定した魔法具を用意すれば、一度限りではあるが呪文の理論を理解せずとも魔法を扱うことは可能になる。
だからここで重要となるのは、ハウダニットではない。召喚用の
そして証拠はすでにある。一人ずつが異なる魔力の質。
本来ならば目的のものを奪ってそのまま逃走を図る予定だったのだろう。けれども
「できれば朝が来る前に、宝物室の警護を担当していた衛士を捕らえることをお勧めしますよ。できればその前に、身辺の洗い出しもした方がいいかもしれません。」
けれども決して魔法具は安いものではない。特に竜種の召喚術の
とはいえ、その裏側を探るのはまた別のお話。少年は言葉をそこで止めて深々とお辞儀をする。
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