《転》

「さてさて君は一体今度は何をやらかしたんだい?哀れなコミュ障大学生君?」

「やめてください。本当にそのあだ名で呼ぶのやめろ」


穏やかな日差しが道行く人々と景観のために整えられた草木を照らす午前の公園。

朝も早い時間に二人の大学生がまたもその公園にて会話をしていた。

片方は丸坊主の野球男児を思わせるガタイの良さを誇る男子。もう片方はここではもうお馴染みの男子大学生馬鹿である。


彼らは青年にとって七転八倒の日々を送ることになった地にて駄弁っていた。

「爺さんに勧められたボランティアに参加したまでは良かった。そのボランティア活動5日目に大けがして脱退するなんてな~」

「ケガするとは思わなかった…しかも両足捻挫ってどんなことがあったらこんな目に遭うんだ……」

「いやお前自身のことだろう」

野球男は馬鹿の疑問に緩急入れずに突っ込む。


青年は悩んだ。やろうと思ったことがことごとく何かしらの要因でだめになっていく。どうすればこの負の循環から抜け出せる?と。しかし一人では思いつかない。そこで彼は助けを求めた。

「…なあ」

「ごめん」

「ん」

「アドバイスとかは特になんもないわ。ごめん」

「…ん?」

「というか俺これから部活の練習があるんだ。だからここでばいにゃら。じゃあな~」

「……ん」




特になんももらえなかった。

アドバイスや助言はそうやすやすともらえないのだと知った日だった。



最後の話【結】へと……→

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