豆狸(『運び屋、はじめました。』余話)

木ノ下 朝陽

第1話

友人の私から言うのも何なのだけど、

めぐちゃん…梅津萌生嬢は、はっきり言って可愛い。



小柄な背丈(確か153cm…。160cm超えの私は、同い年なのにも関わらず、一緒に歩いていると、完全に「保護者」に見えてしまう…)に、

高原の白樺の樹のような、妖精めいた、ほっそりとしなやかな肢体。



まるで肩から衣紋掛けに吊るされた骨格標本みたいな、

花柄…少なくとも、可愛らしいリバティ系のフラワープリントが、それはもう悲しくなる程に似合わない無骨さとは、全く無縁である。



髪はさらさらと素直な毛質のストレートヘアを、

両の耳朶から顎関節に掛かるくらいの長さのボブに切り揃えている。


顔は、「卵に目鼻」という形容そのままの、

色白の、やや丸みを帯びた瓜実顔に、総体に小作りの顔立ち。


鼻の隆起は比較的ちんまりとしているけれども、程良い形に鼻筋が通っていて、

口元は小振りだけれど、ふっくらとして朱い。


唯一、「鈴を張るが如く」に瞠られた、黒目がちの大きな目は、

やや伏せ目にすると、長い睫毛が目元に影を落とす。



まるっきり、上等の日本人形みたいな容姿だけれど、

かと言って、市松さんとも、博多人形とも、またちょっと趣きが違う。


桃の節句の雛飾りの、女雛…と言うよりは、五人囃子の内の誰かが、実は「歳の近い姉妹」が成り代わっているのだとしたら、きっとこんな感じだろう、…という雰囲気だ。


いわゆる「万年『美』少女」という類いの「存在」、なのである。


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