路地裏の猫


二十歳の誕生日に貰った

万年筆で書き溜めた

完結していない

遺書の束


締めくくりの文章は

もう考えてあるけど

そこに辿り着く前に

いつも指が停止する


指が止まる時はいつも

過去の君を書いている時


暗い暗い暗い道の先に

光があるのか分からないけど

嫌い嫌い嫌い僕の目が

鏡の中でいつも笑っている


使い古したiPodとイヤホンで

同じ曲ばかりリピートする

初めて好きになった

もう死んでいるけど


狭い狭い狭い僕の部屋は

豆電球が切れかかっている

悪い悪い悪い君の口は

僕にとっては嬉しかった

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