第12話 連携ガバガバかよ…(もはや呆れ顔)
ヒナタのその言葉によって、今度は俺に疑惑の視線が集まる。
(おいおい……、まじで言ってるのか?全部嘘じゃねぇか……。冗談も休み休みにしてくれ……。というか、そもそも啓汰のその態度じゃ何か疾しいことがあるのバレバレだろ……。ちゃんとそこら辺練ったのか?)
俺はヒナタの言った言葉にそう冷静に心の中で突っ込んだ。
「いや、ちょっとそれは無理があるだろ……。洋介が浮気をしていた。だから私たちは別れて付き合い始めました。そんな正しいことをしたなら、なんで洋介はあんな顔をしていて、啓汰は黙りこくったままなんだ?明らかに啓汰が怪しいだろ……」
亮はそう俺の感情を亮視点で代弁してくれた。
「っ——、それは……、というかねぇ、啓汰!なんか言ってよ!」
亮の的確な指摘で詰まってしまったヒナタは先程から一言も発していない啓汰に助けを求めた。
いや、お前ら本当に無計画なのかよ……。何かしらちゃんと連携とか考えておけよ……。俺はそれを見てただただ呆れることしかできなかった。
「……」
啓汰はヒナタに何か言われても黙りこくったままだった。
そんな啓汰に亮は更に詰め寄る。ヒナタも詰め寄る。
「どうなんだよ、啓汰」
「なんか言ってよ、啓汰!」
そう二人に詰め寄られ、クラス中の視線を浴びさせされた啓汰はそれに耐えかねたのか、耳を塞ぎ机に突っ伏し現実逃避に走ってしまった。
それを見た俺らが呆れるも、すぐにそれを取り繕うようにヒナタが声をあげた。
「とっ、とにかく、洋介くんたちが浮気してたの!」
「いや……、だからどこをどうしたらそうなるんだよ……。啓汰がこうなった時点でもうアウト、それが嘘だと認めてるようなものだろ……」
「でも、そんな証拠、私たちが嘘を吐いている証拠なんてないでしょ。実は啓汰はただ頭が痛いだけかもしれないし、まだあくまであなたが私たちが嘘を吐いているとそう思っているだけ。この法治国家では推論だけじゃなくてちゃんとした証拠がなければ、有罪にはならないわよ」
へぇー、そうなんだ。(棒読み)
「じゃあ、直接証拠があればいいんだよな」
亮はそう言うと俺に何か物欲しげな視線を向けてきた。
俺は黙って首を振る。残念ながら俺はヒナタと啓汰の浮気デートシーンの写真や彼女の自白したときのセリフを録音したものも何も持ち合わせてはいない。そもそもこの場合、何を示したらあいつらの嘘が証明できるんだ?俺が浮気をしていない証拠?というか、俺が浮気をしていた、もしくはしていないっていう証拠もないじゃねぇか……。いや、そんな時間がなかったことを証明すればいいのか?
俺らのその行動を見て、俺が色々と考え込んでいる間、ヒナタは勝ち誇った顔をした。いや、別にまだ何も勝ってないからな。
それなら俺が浮気をしていたという証拠を見せろ、俺がそう言おうとしたときだった。
「はぁ……、もう見苦しい嘘を吐くのはやめてもらってもよろしいでしょうか?」
突然、そう声がして、教室中の視線がその言葉を発した人に集まる。俺も声の主に、隣の席の女子に視線を向ける。
「瀬川さん……?」
彼女は立ち上がるといつも着けていたマスクと眼鏡を取った。
「えっ……」
俺は彼女の素顔を見て思わず声を漏らしてしまった。
「なんで、ムーンさんが……ここに?」
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本日二話投稿予定です。
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