あいのオトシゴ-ある日、一匹の子犬を拾った。

三ツ石

第1話 プロローグ

 公園の木々の初夏を歓ぶようなざわめきに心踊り、頭上を行く鳥達のさえずりにはどこかくすぐったさを覚える。澄み切った新緑の風がベンチの側に佇む金谷景かなやけいの前髪を揺らしていた。

 五月晴れの月曜日の朝。清々しい天気にさぞかし気分も晴れ晴れとしているかと言われれば、決してそんなことはなかった。

何故か。

 それは茶色い枯芝のようなふさふさの毛を蓄えた彼、もしくは彼女に出会ったからだった。


 そう、ダンボール箱に捨てられた一匹の子犬に。

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