第9話 咲雪さんのお料理教室

「.....ん」


「あっ子眞恥ちゃんおはよう。気持ちよさそうに寝てたよ♪」


「あっ!すいませんお手伝いの途中なのに....」


「別にいいのよ、お昼寝の時間だし♪」


「それにみんなもそろそろ起き始める時間だしタイミングバッチリよ♪」


「それなら良かったです.....」


「よし!それじゃあ起きたばかりで悪いけどお菓子の準備手伝ってくれないかしら?」


「もちろんです!」


「うふ♪ありがと」


※※※


「咲雪さん、これで大丈夫でしょうか?」


「うん!大丈夫よ」


「分かりました!」


「それじゃあ出しに行きましょうか!

みんなが待ってるからね♪」


「はい!」


※※※


「それじゃあ今日はもうほとんどおしまいね」


「後は子供たちが怪我をしたり喧嘩とかを止めたりするだけね」


「あっあと帰りの視診と子供たちの今日のここでの生活を纏めるぐらい?」


「了解です!」


「子眞恥ちゃんは感想聞かせてね♪

ここでお手伝いをするかどうかはゆっくりでいいよ」


「大丈夫です!もう決まってます」


「いい返事が聞けたら嬉しいわよ?」


「圧をかけないでくださいよ。これから大丈夫か心配になるじゃないですか」


「ってことは?手伝ってくれるの!?」


「はい!喜んで手伝います!」


「ありがとう!じゃあ今から園長先生に

伝えてくるから近くの子供たち見ててねー!」


「えっ!あっ行っちゃった...」


咲雪さんはああいうとこあるの、ちょっと困る.....。

でも任せられたってことだよね。頼られてる感じがあって嬉しいなぁ。


※※※


「せんせい!さようなら!」


「はい!さようなら」


送迎バスの扉が閉まり発車する。


「じゃあ私は中に一旦入って纏めてくるわね。子眞恥ちゃんは先に車に入っててね、ここにいたら寒いでしょ?」


「分かりました!」


「勝手に暖房つけちゃっていいからねー」


「はーい!」


少し歩いて車の扉を開け、中に入る。


「うぅーさむ」


子眞恥は暖房をつけ、暖まるのを待ちながら考えていた。


子供たちの今日の保育園での生活を書いてまとめるって何書いてるんだろう。


※※※


生活日記を早く書いて車に行こう!子眞恥ちゃんが待っているんだから!


って意気込んだのはいいものの書くのあんまりないんだよね。


そう思いながら咲雪さんはペンを持ち、生活日記に字を書いていく。


「今日は小野町子眞恥ちゃんがお手伝いに来てくれました。園児達に優しく接してくれて、園児達も慣れ親しんだ様です。

これからも子眞恥ちゃんはお手伝いに来るそうなので園児達は喜びそうです。

今日も皆仲良く過ごせていました。」


「こんな感じでいっか♪」


よし、じゃあ早く車行こう!

子眞恥ちゃんが待ってる!


※※※


「お待たせごめんねー。あったかぁ...」


「全然大丈夫ですよ」


「それより多分まだ紫郎さん帰ってきてないのでどうしよう」


「一応鍵はもらってきてはいるのよね?」


「はい」


「じゃあ選択肢は一つでしょ!」


「え?」


「子眞恥ちゃんに料理教えるついでにご飯用意してあげようよ!」


「料理!」


子眞恥は目をキラキラ光らせて期待の目を咲雪さんに向けた。


「じゃあ行きましょうか、食材を買いに!」


「はい!」


※※※


「うーん何か作りたい料理とかある?子眞恥ちゃん」


「あんなに料理教えてもらいたいって感じを出してたのにごめんなさい。何も思いつきません.....」


「じゃあ食べたい料理とかはある?」


「カレーや肉じゃが、麻婆豆腐とかは食べたいですね。あっあと咲雪さんのカボチャの煮付け!」


「また作ってあげるわ♪」


「ありがとうございます!」


「それで三つ案が今出たのだけど、どうする子眞恥ちゃん」


「この三つの中で私でも作れそうな料理ってありますか?」


「全部簡単だからあんまり大差ないけど.....強いて言うなら、カレーと肉じゃがの食材とかって同じのが多いからどっちの食材も買ったらいいんじゃないかしら」


「じゃあ今日はカレーの作り方を教えてもらうことにします!」


「了解しました!おまかせください!」


「じゃあお会計しに行こうか!」


「うん!」


※※※


ガチャ


「ただいまー」


「お邪魔しまーす♪」



「手洗いうがいして、ちょっと休憩したら咲雪のお料理教室始めるよ〜♪」


「はい!咲雪先生!」


───────子眞恥&咲雪 休憩中


「さっ!やろっか子眞恥ちゃん!」


「はい!」


「まずカレーの具材を出してくださーい」


「はーい!」


「ちゃんとあるか確認してねー♪」


「分かりました!」


「豚肉に玉ねぎ、にんじん、じゃがいもにこれが無ければカレーにはならない、カレーのルー」


「じゃあまず野菜を切っていこう!」


「はい!」


「切る時、指は危ないから...」


「「猫の手で・猫の手、でしょ?」」


「おぉー当たった」


「よく知ってたね♪」


「まあね!」


「じゃあ私がお手本見せるからその通りにやってみてね♪」


「まず玉ねぎの皮をむいて縦半分に切る。一個をこうやってみじん切りに、もう一個は小さめにこう....適当に乱切りにしていってくれる?」


「やってみますね!」


「まず縦に切って、一個置いといて.......」


咲雪さんは確か横から包丁を入れて.....

こうかな?切ってみよう。


「・・・出来た!」


「おー!すごーい!一発でできるなんて思ってなかったよ!」


「ありがとうございます!」


「こんな感じで教えていっても大丈夫そう?」


「大丈夫です!咲雪さんが分かりやすくゆっくりやってくれてるので!」


「分かったわ♪」


※※※


「よし!切り終わったら次、炒めよう!」


「油を入れてっと」


「このお鍋に具材全部入れちゃってー♪」


「はい!」


たくさんの具材が次々とお鍋の中に入っていく。


「入れ終わったらこのヘラで動かしながら全体に火が通るまで待つの」


「やってみる?」


「うん!」


「はいどうぞ♪お鍋は熱いから触っちゃダメよ?」


「分かりました!」


※※※


「炒め終わったら700mlのお水を入れて強火で煮込む。つまり待つの」


「じゃあお水測って持ってきてくれる?」


「はい!」


「・・これで大丈夫そうですか?」


「うん!バッチリよ♪」


「じゃあ入れてね♪」


「はい!」


「ありがと♪」


これで強火で煮込むっと。


「ブクブクっと沸騰したら火を弱めて、

アクをとって、材料が柔らかくなるまで煮込んでからルーを割って入れるの♪」


「大丈夫?ついてこれてる?」


「何となくわかりました」


「まあ間違っても大丈夫よ♪それに私がいるから大丈夫!」


※※※


そろそろ沸騰したかな?

そう言い咲雪さんは鍋を開ける。


「子眞恥ちゃーん!来てー!」


「はーい!」


「沸騰したらまずこの白いアワを取るのよ、こんな感じでね♪」


「はい!やってみます!」


んっよいしょ。



「こんな感じで大丈夫ですか?」


「大丈夫よ♪出来てる出来てる!」


「良かったです」


「じゃあ具材が柔らかくなったらルーを割って入れよう!」


「はい!」


※※※


「もう大丈夫そうだよ子眞恥ちゃん!」


「じゃあこれ、入れていいんですか?」


待ちきれなくて先に割ってた。


「いいよー♪」


「そしたらー」


「そしたらー?」


「混ぜながらルーが完全に溶けるまで待つ!」


「はーい!のんびり待ちましょうか」


「そうだねー♪」


※※※


玄関の方からガチャっと音がした。


「ただいまー」


「あっおかえりなさい!」


「お邪魔してまーす♪」


「咲雪さんいらっしゃい」


「それはそうと2人でキッチンに立って何してるの?って匂いで分かるけど」


「その通り!2人でカレー作ってたの。

子眞恥ちゃんに教えるついでにね♪」


「ありがとうございます!」


「いえいえ♪」


「それじゃあちょうど出来たところだしみんなで食べよっか♪」


「うん!」


「じゃあ俺は荷物置いて着替えてくるね」


「はーい」


※※※


「それじゃあいただきます!」


「「いただきます!!」」



はむっ。もぐもぐ。


「美味しいよ」


「良かったね子眞恥ちゃん!」


「うん!」


「朝食べたのと大違いだ」


「もー!思い出さなくていいって!」


「なに?子眞恥ちゃん朝ご飯作ってあげたの?」


「そう朝、子眞恥が作ってくれたんだ」


「この料理とは比べ物にならないぐら.....」


「教えなくていいからー!!!」


「ごめんごめん」

笑いながら謝る。


「また料理教えてあげるから上手くなって見返そうね♪」


「もちろん!絶対美味しいって言わせてやる!」


「頑張れよ」


「笑いながら言われても応援に聞こえない!」


こうして子眞恥と咲雪さんと楽しく和やかな話をしながら夜ご飯を食べた。


「「ご馳走様でした」」


「お粗末様でした」


「じゃあ洗い物済ませたら私帰りますねー」


「はーい咲雪さん!」



「あっ!手伝います!」


「ありがとう♪優しいのね」


「いえ、これが普通ですよ」


「そう?素敵ね」


「ありがとうございます」


※※※


洗い物が終わり咲雪さんが帰る。


「じゃあまた明日ね。子眞恥ちゃん」


「うん!また明日」


「お邪魔しましたー」




二人はリビングに戻りソファに座る


「どうだった今日は」


「周りの保育士の人たち、めっちゃ優しくて楽しかった!」


「それは良かった」


「いきなり子眞恥が押しかけてきた時はどうなるかと思ったけどね」


「ああするしか無かったからね。うん、しょうがないじゃないか」


「別にいいよ、俺も楽しいし」


「楽しいんじゃないですかぁー」


「まあな」



早起きして朝食を作り、仕事に行き

子眞恥は咲雪さんと保育園に行って終わったら二人で買い物しに行ってもらって、

俺が帰ってくるのが早かったら咲雪さんと一緒に晩ご飯を作り、遅かったら作ってもらい、記念日にはプレゼントを贈りあったりもして、こんな穏やかな生活を俺は一生続けていきたいと思った。

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