ヤンデレ彼女を怒らせてしまった。

晴雨雪

ヤンデレ彼女

「タクヤくん、どこ行ってましたか?」

「アイス買いにコンビニ行ってたけど、明里も食べるか?」


リビングに座ってる明里は、持ってるコンビニ袋を見てから訊いてきた。


「それだけですか?」

「あぁ、それだけだけど」

「なんで行くとき私に声を掛けてくれなかったんですか?」


トーンを落としながら言った明里は、ジト目になっている。

明里にどう言えば許してもらえるか、考えてるが明里は「どうして」と問い詰めてくるため、考える時間が全くなかった。


「もちろん声を掛けようとしたよ。けど、寝てたから起こすのは申し訳なくて」

「そうなんですね。そしたら、私が起きるの待ってくれれば良かったのでは?」

「そしたら、いつになるか分からないし、もう夜も遅いから」

「タクヤくん、言いましたよね。私のことが好きだって。好きなら待ってくれてもいいのでは?」


やばい。

また始まってしまった。


「ごめん。次からは気をつけるよ」

「とか言って、前回も同じことやりましたよね」

「次からは明里と一緒に行動すると誓うから」


明里はため息を吐いてから、立ち上がり俺の側まで近づいてきた。


「それでは、スマホと財布、車の鍵を出してください」

「は?」

「先程、私と一緒に行動すると言いましたよね」

「言ったけど、どうしてそうなるんだよ」

「タクヤくんが勝手に行動できないようにするんです。スマホと財布、車の鍵を預かれば、タクヤくんは外出する理由もなるなりますよね」

「まぁ、そうだけど。でも、スマホだけは流石にいいだろ」

「駄目ですよ。今の時代キャッシュレス決済がありますし、それに誰と連絡してるかも分かりませんので」


これ以上何か言っても結果は変わらないだろう。

俺はすぐに明里が要求した物を渡すことにした。

そのとき彼女に何も言われないよう、嫌そうだと顔に出さないようにしたが、果たして感づかれていないだろうか。


「ありがとうございます」


明里はそう言ってから、俺のスマホのパスワードを入力した。

スマホのパスワードを教えた覚えがないから、明里がどう知ったのか気になるが触れないでおこう。


「タクヤくんってお友達いないのですか?」

「あぁ、連絡を交換するレベルの人はいないかな」

「それは安心です」


明里はスマホのメッセージアプリなどを確認したあと、スマホをスリープした。

俺はもしかしたらと少しだけ期待したが、手元にスマホが戻ってくることはなかった。


「今回のことは目を瞑りますが、次は本当に許しません」

「ありがとう。次からは気をつけるよ」


前回もこんな感じで許してくれた。

結構優しいところもあるんだよな。


「それよりも、アイス買ってきてくれたんですよね」

「うん。けど…」


俺はビニール袋から、アイスを取り出した。

カップアイスのため、溶けているかは分からないが、触った感じ溶けてそう。


「多分溶けてるし、冷凍庫に入れようか」

「そうですね。他にも何か買ったりしましたか?」

「お菓子を買ったけど、今から食べる?」

「はい。それでは、アイスは私が冷凍庫に入れておきますので、手洗いしてきてください」


手を洗いに言って思った。

このまま明里と居て良いのだろうか。

俺が彼女に合わせるのか、彼女が俺に合わせるのか。

きっと幸せを考えるのなら前者が正しいのだろう。

けど、本当にそれで良いのか分からない。

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ヤンデレ彼女を怒らせてしまった。 晴雨雪 @Seiuyuki

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