10月25日(水) ①


【ルール】


・このゲームは二人一組で行う協力型ゲームです。


・特定の行動を行うことで、指定されたポイントを集め、ゲームのクリアを目指します。


・特定の行動とは、ペアである相手に対してする行動が対象となります。

(例:手を繋ぐ、頭を撫でる、抱きしめる 等)


・同じ行動は二回目以降、獲得するポイントが半減し続けます。ポイントの半減措置は、翌0:00に解除されます。

(例:手を繋ぐの場合→一回目 100pt 二回目 50pt 三回目 25pt 四回目 12pt 五回目 6pt 六回目 3pt 七回目 1pt 八回目 0pt…)

・このゲームでは、ポイントは参加者ごとに集計されます。ポイントは行動を起こした参加者に付与されます。

※ただし、クリアに必要なポイントを満たしているかどうかは、それぞれが集めたポイントを合算して判定します。



①二人が獲得したptが合わせて【18,083,150pt】に達するとゲームクリアです。


②9月1日~12月31日までにゲームをクリアできなかった場合、ペナルティとして【その時点での獲得ポイント数が高い方が、獲得ポイント数の低い方を殺してください】



◎NEW!

【ノルマ】


・一週間以内に、指定された【行動】を実行してください。実行が無い場合、ゲームを放棄したとみなし、上記②と同様のペナルティが与えられます。(従来の【一日1,000pt以上獲得ノルマ】は廃止されます)


・指定された【行動】の実行によってもポイントが獲得できます。

(なお、指定される【行動】はレート表において【5,000pt以上】の【行動】から選ばれます)


また、【ノルマ】とは別に、指定されていない行動を実行した場合も随時、ポイントの加算は行われます。



【今週のノルマ】

『指フェラ』


______________



──そんなこんなで、10月25日・水曜日、放課後。


「じゃあ、俺、行ってくる」


「あ、待ってよ!康太」


帰りのHRが終わるなり、教室を出て行こうとする俺を瞬が引き留める。

振り返った俺に、瞬は拳をぐっと握って言った。


「俺も行くよ。漫研……だって、これは俺達の問題でしょ。一緒にやるって決めたし」


やる気に満ちた目で俺を見つめる瞬。だが、俺は──。


「ダメだ」


「え、何で?」


首を振って、瞬の申し出を断る俺に、瞬が目をぱちくりさせる。俺はそんな瞬を諭すように、瞬の両肩に手を置いて言った。


「いいか、瞬。確かにこれは俺達の問題だ……だが、漫研は、瞬には危険すぎる」


「そ、そうなの?とてもそんな危ない部には見えないけど……」


──分かってないみたいだな。

瞬には言えないが、なんたって丹羽が俺に寄越したあのいかがわしい本は、瞬がモデルのキャラクターが出てくるのだ。(丹羽は違うと言っていたがそうに違いない)漫研は、そんな奴の作品に協力する奴が部長の部なのだ。

瞬のことをそういう目で見ている、第二、第三の森谷がいないとも限らない。そんなところに、瞬は連れて行けないだろう。


だから、瞬がどんなに「俺も行くよ」とか言っても、俺は頑として首を縦には振らなかった。

しかし、瞬も瞬でかなり頑固だ。あまりにも頑なな態度の俺に、瞬は少しむっとした顔で言った。


「さっきから危険だとかって……そういう康太だって、そんなところ一人で行っちゃダメだよ。何で俺はダメなの?」


「……それは」


言おうか言うまいか──俺は迷った。だが、ここは仕方ない。言わないと瞬は諦めてくれないだろう。

俺はふっと息を吐いてから、瞬の目を真っ直ぐに見据えて言った。


「あそこには……瞬を、いかがわしい目で見てる奴がいるかもしれねえんだ」


「い、いかがわしい……?」


予想外の理由だったのか、瞬は戸惑いつつも、何故か自分の身体を見る。それからふいに、ぷっと笑うと「もう康太ってば」と俺に言った。


「俺をそんな風に見る人なんているわけないよ。だって、そんなところ全然ないし……」


「いや、瞬は……自分が思ってるよりもいかがわしい奴だ。だから、気を付けて、気を付けすぎることはねえ」


「え!?お、俺、いかがわしいの……?」


俺の言葉に、瞬はショックを受けたような顔をしていた。……瞬には悪いが、今はこのくらい言わないと、てこでも動かないって感じだったからな。さらに、俺はダメ押しとばかりに、瞬の背中をぽん、と叩いて言った。


「瞬は気付いてねえかもしれねえが、瞬のすぐそばにだって……瞬をいかがわしい目で見てる奴(森谷)がいるんだぜ。……だから、頼む。あんまり俺を心配させんな」


「こ、康太……」


すると、俺のダメ押しが効いたのか……というか、効きすぎたのか。瞬は顔をかあっと赤くして、俯く。

だけど、瞬はようやく「分かった。俺、教室で康太を待ってるね」と引き下がってくれた。やれやれだな。


──そうした、やっと瞬を置いていくことができた俺は、今度こそ「行ってくる」と瞬に手を振って、教室を出る。


……まさか、ちょっとした行き違いが起きてるとも思わず。





「……す、すぐそばで、俺を、いかがわしい目で見てるって、そんな人……もしかして」


「……康太?」

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