片腕シャークリスマスぼっち VS 一〇〇人の超力彼ピ兵団

羊蔵

第1話 ジャスコ



「おォおお俺ぇのォおおおお……手巻き寿司がァ~~!」

 ジャスコにMASAの悲痛な声が響きわたる。

 彼は両腕から鮮血をまき散らしながらきりきり舞いをまっている。

 腕を奪ったのは、彼の目の前にいるサンタ服の男だ。

 だが奇妙なことがある。この男の左腕は小型のサメなのだ。腕ザメは、今まさに食いちぎったばかりのMASAの腕を咀嚼すると、さもマズそうに地面へ吐き捨てた。

「さ、サメだ~!」

 MASAの仲間たちから恐怖の声が上がる。

 サンタ服の男の左腕は、生きたサメなのだ。

 この片腕シャーク男は何者なのか?

 いったいMASAに何があったのか? 手巻き寿司とは一体?

 それを知るには、わずかに時間を遡る必要がある。


 ■■■


 その日、サンタ服の男は激怒しつつアルバイトに勤しんだ。

 なぜか? 今宵がクリスマスイブだからである。

 クリスマスイブに仕事を入れられて怒らない生物は存在しない。しかもバイトたちには厳しいノルマが課せられていた。

「ケーキを買ってくれませんか」

「美味しい、美味しいケーキです。カルシュウムも入ってますよ」

「お願いします。寒い。買ってくれないと帰れないのです」

「へ~。帰ってやることあるの?」

「いったい誰が待っているというの?」

 通行人からは心ない声がかかった。

 この夜、イルミネーションに輝く駅前には、二種類の人間しか存在しない。

 クリスマスに働いている者と、そうでない者である。

 前者に人権はない。


「メリィイイイイ・クリスマァアアアス!」

 その事実を証明するかのように、改造バギーの轟音が駅前に響き渡った。

「どけどけー! パーティーに遅れちまうぜー!」

「ギャアアアア!」

 バギーにか身を乗り出したパリピが、通行人の一人をブラックジャックで殴りつけた。作業着姿の通行人の頭からシャンパンのように鮮血が吹き出す。

「ヒャハハアー! メリークリスマス!」

 だが、これしきは彼らにとって挨拶に過ぎない。

 数十台に及ぶバギーは、それぞれ紐を垂れて様々なものを引き摺って走っている。

 空き缶。縛り首にしたサラリーマン。なぜかサメまで引き摺っている。あるいは後部座席にしつらえた磔刑台には、独身男性やオタクの生首を突き刺してさえいる。

 彼らが一体何をしたというのか?

 何もしなかった。すべて、クリスマスを一人で過ごしていたが故こうなったのだ。

「ヒャーッハッハァー! マウント財閥様のお通りだー!」

「轢き殺されてえかあー! セックスできねえやつは道をあけろー!」

 携帯電話に頭を下げていたサラリーマンが、イガイガのタイヤに潰された。人間ケチャップの完成だ。

「やめてくれ! 俺たちは仕事でここにいるだけなんだ!」

「お慈悲を!」

「知るかァー! クリスマスに働いてるヤツの命なんてよォー!」

「クリぼっちに人権など存在しねぇーー!」

 その通りであった。

 繁華街にいる誰一人、労働者を助けようとしないのだ。

 それどころか、恋人と手をつなぎあい、一緒になってせせら笑っている者さえ少なからずいた。

 なぜなら今日がクリスマスイブだからである。

「ウギャー!」

 撥ね飛ばされた労働者が、クリスマスツリーにぶつかって逆さまにぶら下がる。その残酷なオブジェを眺めてパリピたちは歓声を上げるのだった。

「マウント財閥に幸あれ!」

 彼らのバックには日本を影で牛耳るあのマウント財閥がついている。

 労働者たちになすすべはなかった。ただ改造バギーが通りすぎてくれるのを祈るばかりだ。


 男もその中の一人だった。

 改造バギーの群れのまっただなか、その男はつっ立ったままでいた。バギーの巻き起こす排気ガスが、彼のサンタ帽子をハタハラと揺らした。一歩、間違えれば轢き殺されてお仕舞いである。だが男は動かない。

 男の目はパリピのなかの一人に注がれていた。

 屈強な男たちに守られ、美しい女が君臨していた。特製バギーの後部座席が、豪奢な王座になっているのだ。

 マウント財閥令嬢、マウント・モー子である。

 その美しさに男はしばし我を忘れた。

 だがすぐに、その顔がドス黒い憎しみに変わる。

 モー子が車上から痰を吐いたのだ。痰は男の顔に掛かった。

 パリピたちが男を指さしてゲラゲラ笑う。

「お似合いの化粧だぜ。まったくクリスマスに働いてるヤツなんざコンドームと痰壺くらいのもんだ!」

「アバヨ痰壺。俺らはコンドームさんのお世話になるぜー!」

 この一言である。

 殺す。

 男はバギーを追って走りだした。

 

 ■■■


 ここでもう一人、いや一匹、パリピを憎悪する者を紹介しなくてはならない。

 バギーに引き摺らたサメである。

 サメが新鮮なパリピを好んで食らうことは、サメ映画を見ても明らかな事実であろう。あらゆるサメはそうする。彼もそうする。

 だが、このサメは二メートルほどしかない。

 未成熟体だ。まだ雌ザメを知らぬ。だがパリピを憎む心は一人前以上であった。

 パリピを殺す。サメなので殺す。

 彼は本能に則ってパリピのクルーザーを襲い、しかし返り討ちに遭ってしまったのである。

 マウント・モー子率いるパリピ軍団は、マウント財閥の援助を受けた、超力パリピ軍団である。マウント重工製の武器、マウント製薬製の強化剤、マウントサイバネティクスで実験開発される強化義肢を生やした多腕パリピもいる。

 その戦力は一人一人が中型ザメに匹敵するといわれるほどだ。子ザメが勝てる道理はなかった。

 だが彼はまだ生きていた。

 黒真珠のような瞳はまた力が燃え、こう告げていた。

 殺す。

 すべてのパリピを殺す。


 ■■■


 サンタ服の、クリスマスぼっち男が追いついたとき、バギーの群れは気まぐれにジャスコを蹂躙しているところだった。

「クリスマスにジャスコが存在してんじゃねえよ!」

「ダセー店にダセーヤツらが集まってやがるぜー!」

「俺らがオシャレに使ってやるから感謝しな。アンドダーイ!」

 ジャスコを乗っ取ってパーティー会場にしようというのだ。とうぜん、超力パリピには警備員も歯が立たない。

「警察を呼んでも無駄だぜー! クリスマスの働いている警官など下っ端の雑魚だけ――なんだぁ?」

 ぼっち男は、パリピの一人に近づいていった。歩みのリズムすら変えず貫手を一閃。あっさり心臓を抜き取ってしまった。

 パリピは信じられないという顔で己の心臓と男を交互に見る。

「――え? え? ちょっと~。返して?」

「本物のサンタにでもお願いするんだな」

 パリピの目の前で男は心臓を握り潰した。

「なんだァ! てめー」

「クリスマスに心臓握り潰していいと思ってんのか!」

 パリピたちの威嚇は、男の耳に届いていない。

 彼の目はマウント・モー子に注がれていた。やはり美しい。

「無視だと、コイツ舐めやがって……」

「下がってろ。心得のあるヤツだ」

 パリピの中から、熊の毛皮をまとった屈強な男が進み出る。

「おお、アンタは熊殺しのジョージ。あんたがやってくれるのか」

「うむ……」

 ここでジョージはクリぼっち男の視線がモー子へ結ばれていることに気づいた。彼はいった。 

「やめておけ。モー子は俺の女だ」

「……そうか」

 男はジョージへ向き合う。成る程、近距離パワー型の彼ピというわけだ。殺す。男は構えた。

「カラテか?」

「カラテだ」

 男たちの会話はこれだけである。

 一瞬の後、二人の姿は消失し、次に現れた時にはジョージが地面に倒れ伏していた。彼の体の下から血がオイルのように流れだす。

 パリピたちは言葉を失っていた。

 その場で攻防を視認できた者は数えるほどだったろう。

「ふーん。なかなかデキるメンズのようね」

 彼ピが斃されたというのに、モー子は平然としていた。

「では次の彼ピッピ、行け」

 そういってモー子は痰を吐いた。

「なにッ」

 クリぼっちの顔に動揺が走った。

 ジョージは斃した。一人の彼ピ使いに彼ピッピ一体がルールのはず。まさか財閥はそのルールまで超越するというのか。考えがたいことだが、複数人とセックスしているというのか。

「へっへ。俺をご指名だぜ」

「なんの、俺だって彼ピだぜぇ」

「おいおい、俺は上位ランカーの彼ピだぜ?」

「うん。下がってるんだな雑魚ども。ここは荒事専門の俺ら『聖☆汁』に任せとくんだな。うん」

 パリピたちが次々に名乗りを上げる。

 いずれも、尋常ならざる鬼気を纏った彼ピッピたちである。彼らが戦闘態勢をとっただけで、独身のジャスコ店員たちは気絶した。

「まさか……」

 言葉を失う男へ、モー子は次のように宣言した。

「その通り~。ここにいる一〇〇人全員があーしの彼ピってわけ。そして彼がランキング一位のブラックドラゴン。彼はスゴいのよ」

「イエス……」

 そいつを見た瞬間、男の体にくまなく鳥肌が立った。

 その眼光、黒光りする筋肉、骨格、肉体から発する気配まで、すべてがデカい。恐らく股間のドラゴンもデカいのだろう。

 彼が話しただけで、ジャスコ店員たちは全員が白髪になって死亡した。

 なお、正確に数を数えてみると、ここにいる彼ピッピは、最初に心臓を抜かれた男を含め一〇一人であったのだが、その事に気づいた者はいない。孤独な死であった。


 だがそれよりブラックドラゴンである。

「ぬわっ」

 ぼっち男はブラックドラゴンめがけて突進した。

 殺す。

 先手をとって殺さなければこちらが殺される。

 マッハの突きを連続で叩きこむぼっちに対して、ブラックドラゴンはただ一度腕を振ったのみである。

 次の瞬間、ぼっちの左腕は根元から斬り飛ばされていた。黒い鉈のような手刀の一閃であった。

「ヒュー。勝負あったな」

 聖☆汁を名乗る男の一人が声を上げた。

 だが、ぼっちはまだ立っていた。

「殺す」

 シャンパンのように血を噴出させながらも、彼は蹴りを放とうとした。

 その時にはすでに、ブラックドラゴンは背を向けている。もはや相手をするまでもないということだ。

「獲物をくれるってのかい? 旦那」

「退屈してた所なんだな、うん」

「下らぬ」

 ブラックドラゴンといれかわりに聖☆汁の五人が次々に襲いかかった。

 それでも男は抵抗した。が、聖☆汁の一人を何とかノックアウトしたところで限界を迎えた。残った聖☆汁たちの一斉攻撃を受け、彼は倒れた。


 もはや興味を失ったブラックドラゴンとモー子が、ディープキスを交わしている。

 その横で、ぼっちの男は九〇人あまりの彼ピたちからリンチを受け、最後にはオタクや労働者の死骸、そしてサメと一緒に、ジャスコのゴミ箱にうち捨てられた。

 本来なら、ここで彼らは死んでいたはずである。この日がクリスマスでなければ。

「ホーホー。メリィ~クリスマ~ス」


 ■■■


 乗っ取ったジャスコのなかで、パリピたちは乱痴気騒ぎを繰り広げている。

 そんななか、駐車場のゴミ捨て場に注意を向ける者は一人もいなかった。雪の降る夜空から、スポットライトの如き灯りがともり、クリスマスぼっち男とサメの死骸を吸い上げていった。

 死体。そうではない。彼らにはわずかではあるが、息があった。


 遙か上空に、六畳間ほどのソリが浮かんでいる。

 片腕の男とサメは、その上で目覚めた。

「ホーホーホー。生きておる。何という憎悪と執念よ」

「――誰だ」

「儂じゃよ」

 その人物は赤い服、白いひげ、そして暗黒の目をした老人だった。

「誰なのだ」

「儂じゃよ。そしてそれはどうでもいい。オヌシたち生きたいか? いいや、力が欲しいか? 聖なる夜にセックスをするカスどもを殺し尽くしたいか」

「……俺をヤツらのところへ戻せ」

「承諾と見なす。オヌシには腕を、そちらの魚類には地上で生きる力を与えてやろう。それがオヌシらの望む姿とは限らぬがな」

 老人がそう宣言するとともに、クリぼっちとサメは再び意識を失った。

 師匠の夢を見た気もする。


 気づいたときには、失った左手の代わりにサメが生えていた。尻尾が肩に、掌の部分にはサメくんの顔がある。

 試してみると自らの意志で動いた。だが同時にサメも生きていて、牙をガチガチ鳴らしているのだ。

「――接合、完了。これでオヌシらは血を共有する一体の獣よ。ただつなげただけではないぞ。憎悪を同調することで、超力彼ピも、巨大ザメをも凌ぐ力を発揮できるだろうて。ホーホー」

 見たこともない手術道具を片付けながら、老人が不気味に笑う。

「なぜ助けたか聞きたいかい?」

 老人は顔を寄せてきた。その目は底のない闇である。

「パリピを最も妬む者。クリスマスで最大の労働者は誰だと思うね? ヒヒッ――儂じゃよ」

 赤い服の老人はそういいながら、己の象徴である豊かな白髯をブチブチと引き千切った。

「力を与えたからには、約束を果たしてもらおう。あのパリピどもをすべて殺すのだ。そのためには、まず力を蓄え――ぐわわわわーー!」

 老人の首にサメの牙が食いこんでいた。

 クリぼっち男もサメも、老人の話など聞いてはいなかったのだ。

 頭にあるのはブラックドラゴン、及び彼ピたちへの憎しみのみ。

「殺す」

 その一言を残して、片腕シャークは浮遊体から跳んだ。

 残された老人はしばらく咳き込んでいたが、すぐに身を乗り出して、ジャスコを見下ろした。

「行ったか――何という憎しみの力じゃ。危うく殺されるところだったぞチクショー! クソ! だがそれがいい! その憎しみと生まれ変わった体でパリピどもを殺し尽くせ! 儂にプレゼントを貰って育ったくせによぉ~。儂に感謝することなく儂以外とセックスするクソ女ども……儂の女とセックスするクソども! 全員、死んで腐るがいいぜェ~~」

 聖夜の空にヘドロの如き憎悪が煮えかえっていることを、この街の人間は知らない。

 そして、その憎悪が生み出したクリスマスの魔物のことも――。


 ■■■


「ガハハッ違えねえ!」

「女ァ!」

 パリピたちに占領されたジャスコ。

 そのジャスコに爆弾が落ちたかのような轟音が響く。

「うおおおおッなんだあ?!」

「あっお前は!」

 超力彼ピたちが飛び出して、そいつを発見する。

 サンタ服の男だ。割れたアスファルトの中央に、しゃがんでいる。そいつの左腕はサメなのだ。

「ブラックドラゴン。表へ出ろ」

 サンタ服の男がいう。

 ブラックドラゴンとモー子の姿はない。聖☆汁も同様である。彼はもう一度繰り返した。

「ブラックドラゴン。表へ出ろ」

「こ……こいつ……」

 その場に射た超力彼ピたちの顔に浮かんだのは、始めに困惑。次に嘲笑であった。

「オイオイオイ。オイオイオイよぉ~。復活してきたかと思ったらなんだその腕はぁ~」

「やるってかァ? あんだけボコボコにされて足りねえってかあ?」

 彼ピッピたちが男を取り囲む。

 ブラックドラゴン程ではないが、彼ら全員が一騎当千の超力彼ピッピである。

 対する男は、まだ復活の余韻から醒めやらぬ状態で、朦朧とした目で突っ立っているだけだった。

 そこへ近づいて来たのがMASAである。

 角刈りの痩せた、しかし少年のような目をした男だった。MASAは指さしていった。

「おめえどうすんだ? そんな生臭ぇ手になっちまってヨォ! 愛する家族とヨォ! 手巻き寿司パーティーやろうってときに、それでどうすんだよ、ああ?」

 そこまでいってMASAは反省したようである。

「おっと、済まねえな。おめえに愛する家族なんてできるわけねえよな。本当、ごめんよ。すいませんでした」

 だがこの一言が、逆に片腕シャーク・クリスマスぼっち男の逆鱗に触れた。

 直後、男を指さしていたMASAの右腕が消失した。

「あ? なんだ?」

 MASAが状況を飲みこむ前に、さらに左腕も消えた。

 恐ろしい速度で繰り出されたサメ腕が、MASAの腕を食いちぎったのである。

 シャンパンのように血が噴き出して初めて、MASA事態に気づいた。

「――手ッ手~~っ! おっおっ俺の手! 手! 手巻き寿司がァ~~!」

 それが最後の台詞。

 クリぼっち男の蹴りがMASAの胴体をなぎ払った。

 パワーアップしたという老人の言葉は本当だった。

 超力彼ピを上回る彼の蹴りは、MASAの肉体を砂糖菓子のように粉々に砕いたのだ。

『メリ~・クリスマス。カスども』

 上空でせせら笑う声に気づく者はいない。


「なにっ!」

「ぶっ! ぶっ殺せーー!」

「力を合わせろー!」

 残りの彼ピッピたちが、ぼっちの男へ一斉突撃する。そのスクラムにのし掛かられ、男の姿が見えなくなった。

「やったか?」

「――殺す。クリスマスには許さん」

「ウギャーーーッ!」

 怒りの声を聞いたかに思えた次の瞬間、すべての彼ピッピが吹っ飛んだ。サメの力を得たカラテの発剄が炸裂したのである。

 宙を舞った彼ピたちが、次々にジャスコに突き刺さっていく。

 その様は素朴なニシンパイのようでもあった。これにより三十八人の彼ピッピが死亡した。この場にいた彼ピッピはこれですべてである。


 ■■■


「答えろ。ブラックドラゴンたちはどこだ?」

 ぼっちは死にゆく彼ピッピの一人を問い質した。

「……クラブだ。モー子とパーリーできるのは……一握りの上位ランカーだけだ……へへ……あの人らに比べたら……俺らなんて、アンタみたいなクリぼっちとかわらねえのかも……うっ!」

 男は直ちにトドメを刺した。

「クラブか……」

 呟いたときには、すでに男の体は虚空に踊っている。

 ブラックドラゴンを追うのだ。


「狩る。一〇〇人の彼ピッピをすべて」

 聖夜である。

 クリスマスソング鳴り響く町を、片腕シャークの孤独なシルエットが奔る。

 男とサメの意志は共通していた。

 俺たちを殺したのはいい。所詮この世は弱肉強食。負けた我々が悪いのだ。ただし、クリスマスでなければ。

 彼ピをつくるのもいい。誰もがモー子とセックスをするがいい。それも自然の営みに過ぎない。だがクリスマスには許さない。

 俺たちが幸せでないクリスマスに、幸せなクリスマスを過ごす者がいる。

 殺す。

 誓いを胸に、孤独な彼ピ狩りが始まった。

 クリスマスイブの夜に。クリスマスであるが故に。クリスマスが終わってしまうまで。

 

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