第10話後日談

 後日談として、聞いた話によると二人はあの後から周囲にバレないようにして付き合ってるらしい。直人には翌日殴ったことへの謝罪をこれでもかとされ、なんだか俺の方が申し訳ない気持ちになりながらも「気にしてない」と言ってその場を治めた。

 それと、恋愛部に関してだが……。





 翌日の放課後。俺は恋愛部の部室へ足を運ぶと。


「ウース」


 と適当な挨拶とともに入室する。俺が突然現れたことに、篠原は戸惑い動揺……なんてせず、頭に疑問符を浮かべて首をかしげる。


「えっとあなたは、しん……しん…………だれ?」


「おい、この流れは一度やったろ! どうして戦友の名前を忘れるんだよ」


「戦友って……。なんて図々しい男なの。というか、まだ何か用?」


 何しに来たんだとでも言いたげな酷い対応をされるが、俺は当然のようにソファーへ座る。


「いや、昨日一緒に依頼をこなした仲だろ。だからもう部員なのかなって」


「なぜそれだけで部員に……。じゃあ今日はここに部員としてきたわけ?」


「ま、まあ……。ダメか?」


 俺は昨日の出来事がかなり面白いと思ってしまった。もちろんやったことは最低なのだが、結果として友人の恋を叶えることができた。そのことが何よりも嬉しく、そして、誰かと一緒に一丸となり目標を叶えることがこんなにも楽しいことだとは思わなかったのだ。


 まあつまり何が言いたいかと言うと、友人に彼女ができて暇になってしまったし、俺も青春らしいことが送りたいと思い、ここへきたと言うことだ。


 とはいえ、篠原に直接「入部させてくれ」と頼んでも断られる気がしたので、バトル漫画の敵キャラがいつの間にか味方になってるのと同じ展開を作ってみたのだが、全くうまくいかなかった。


 篠原はあんまり人と関わるのが好きな人種ではなさそうだし、やっぱり断られるのかなと思っていたのだが、意外にも篠原は軽くため息を吐き。


「まあ別に、私も暇だったしね……。入部したいならどうぞご勝手に」


 ツンデレのようなセリフを吐くと、興味なさげに本へと視線を移した。

 こうして、俺と篠原が人の恋愛を叶えていく物語が始まった。

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