第6話 元凶
「ただいまー」
桂華ちゃんを家に送り届けてから自宅へと帰ってリビングへ入ると、キャミソールにショートパンツというラフな格好で、ソファに寝転がりながらスマホを弄っている妹の姿を見つけた。
「おかえりーお兄ちゃん。今日お母さんが夜遅いから、夕食各自で――い”だだだだだ!!! なに、急に⁉」
俺は妹にヘッドロッグをかましていた。
「お前……よくも桂華ちゃんにあることない事ぺちゃくちゃ言いやがったな?」
愛実のせいで、とんだ酷い目に遭った。
「待ってお兄ちゃん! ギブ……ギブだから!」
「俺は許さないぞ。そのEカップもぎ取ってやるからな」
「ごめんってばぁぁぁぁーー!!!」
チーン……。
妹が屍になったところで、俺はようやく解放してあげた。
「ったく……今度桂華ちゃんに変なこと教え込んだら承知しないからな」
「いや……もう鉄拳制裁してるじゃん……」
某ヤ○チャポーズでベッドに倒れ込みながら、死に際のガラガラ声を上げる愛実。
「次やったら○るからな?」
「ご、ごめんなさい……」
愛実は反省したのか、ソファの上で土下座をかましていた。
「分かればいいんだよ。そんじゃ」
「あぁ、待ってよ!」
俺が自室へ向かおうとしたところで、愛実が制止の声を上げてくる。
「なんだよ?」
「桂華……他には何か言ってた?」
「他に? まあ、気になってる人のためにおっぱいをおっきくしたいとは言ってな」
「そっか……それで? お兄ちゃんは桂華に何かしてあげないの?」
「えっ? まあその……気になってる男の子のために出来る事があったら協力するとは言ったぞ」
本当は、桂華ちゃんのバストアップに協力してあげることになったんだけど、適当に嘘をついておく。
「お兄ちゃん」
すると、愛実が急に居住まいを正して俺を見据えてくる。
「桂華の悩みに、ちゃんと向き合ってあげてね。頼りにしてる」
「お、おう……」
愛実に畏まって言われると、なんだか調子が狂うな。
「まあ、出来る限りのことはするよ」
「うん、もし桂華を悲しませるような事したら、許さないから?」
「分かってるよ。桂華ちゃんを悲しませるようなことはしないよ」
俺が言いきると、愛実はじとーっとした目を向けてくる。
「本当に分かってるのかなぁお兄ちゃんは?」
「な、何がだよ?」
「まっ、お兄ちゃんにもいつか、乙女心っていうのが分かる時が来るよ」
「そう言われると、余計気になるんだが?」
「と・に・か・く! 桂華のこと、色々よろしくね!」
「分かったってば!」
愛実にさらに念押しされて、俺は何度も頷いた。
桂華ちゃんは愛実の親友でもあると同時に、小さい頃から可愛がってきた女の子でもある。
彼女が悩んでいるのなら、出来るだけ手助けしてあげたいというのが、兄心というものだ。
にしても、桂華ちゃんにも気になる人が出来るとか、もうそんなお年頃なんだな……。
って、俺も人の事言える立場じゃねぇけど。
桂華ちゃんの恋心が成就するまでに、俺も巨乳彼女を手に入れてみせるぞ!
改めて、心の中で、俺は自身の決意表明をするのであった。
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