第4話 協力!?
桂華ちゃんの信じがたい言葉に、俺は唖然としてしまっていた。
今、なんて言った?
なんか、桂華ちゃんの口から、信じられないような言葉が飛び出たような気がするんだけど……気のせいだよな⁉
「ごめん桂華ちゃん。よく聞き取れなかったから、もう一度聞いてもいいかな?」
俺が再度尋ねると、桂華ちゃんは顔を真っ赤にしながら、先ほどより強めの口調で言い放った。
「だ、だから! お兄さんに私のおっぱいを揉んで欲しいんです! それで、愛実ちゃんみたいなおっぱいを、私も手に入れたいんです!」
うーん……。
聞き直しても、桂華ちゃんから返ってきたのは、似たようなものだった。
というかさらに、聞き捨てならないセリフが増えたような気がするんだけど⁉
「えぇっと、一旦状況を整理するね……。桂華ちゃんは、俺に自分のおっぱいを揉んで欲しいと」
「……はい」
「そんでもって、おっぱいをおっきくしたいと?」
「そうです」
……どういうことだ?
因果関係が全く分からないんだけど?
「桂華ちゃん」
「はい、なんでしょうか?」
「どうして桂華ちゃんのおっぱいをおっきくするために、俺が桂華ちゃんのおっぱいを揉む必要があるのかな?」
俺が疑問に思っていることを尋ねると、桂華ちゃんは胸に手を当てて口を開く。
「この前、愛実から教えてもらったんです。『私のおっぱいがおっきくなったのは、お兄さんにおっぱいを揉んでもらったからだ』って」
「はぁ!?」
いつ、どこで、俺が妹の胸を揉んだって⁉
身に覚えがまるでないんだが⁉
「いやいやいや、愛実のおっぱいを揉んだことなんて、一度たりともないから!」
「でもお兄さん、いつも愛実ちゃんに胸押し付けられながら中良さそうにしてるじゃないですか」
なっ、バレてただと⁉
確かに、妹のEカップおっぱいの感触を味わっていたのは事実だが、バストアップのために胸を揉んだことは断じてない!
俺がなんと説明しようか困っていると、桂華ちゃんは慈愛のある笑みを浮かべてきた。
「別に否定しなくてもいいんですよ。確かに世間的に考えたら、お兄さんが妹のおっぱいを揉んでいるとか、社会的にまずいですもんね。でも私は、愛実の親友です。例えお兄さんがそう言う行動に及んでいたとしても、怒ったりはしませんから、真実を打ち明けてください」
まるで桂華ちゃんは、俺が愛実のおっぱいを揉んでいるのことに確信を持っているような口調で言ってくる。
さては愛実の奴、何や桂華ちゃんに入れ知恵しやがったな……。
なんとなく察しがつき、頭の中で、悪びれた様子がまるでない妹の姿を想像する。
あの野郎……後で懲らしめてやるからな。
妹への鉄拳制裁を心に決めたものの、俺はひとまず、目の前の誤解を解かなければならない。
「桂華ちゃん、よーく俺の話を聞いてくれ」
「はい」
俺は一つ間を置いてから、桂華ちゃんをすっと真剣に見つめる。
「俺は本当に、愛実のバストアップを手伝ったことは一切ない」
「またまた、ご冗談を」
「いや、マジだから」
「……」
「……」
二人の間に、何とも言えぬ沈黙が流れる。
「本当の本当に? お兄さんは愛実のおっぱいを揉んでいないんですか?」
「あぁ、神に誓うよ」
真剣な眼差しを向けて言いきると、愛実ちゃんの顔が見る見るうちに真っ赤に染まっていき――
「そんな……! 私、これじゃあただの痴女みたいじゃないですか!」
自身の言動を恥じるように、頭を抱えてしまう。
「恐らく、愛実が適当にでっち上げたデマだろうな」
「うぅぅ……私、もうお嫁にいけないです」
桂華ちゃんは目元に涙を貯めながら、今にも泣きだしそうな表情を浮かべていた。
「まあこの件に関しては、俺が愛実を叱っておくから、今の話はなかったことにしておくよ」
「い、いえっ……そう言うわけにもいきません!」
俺が水に流そうとしたところで、桂華ちゃんが咄嗟に制止の声を上げて、ぎゅっと握りこぶしを作りながら、俺の方を懸命に見据えてくる。
「お兄さんは、おっきいおっぱいが好きなんですよね?」
「えっ? ま、まあ、好きではあるけど……」
嘘です。
三度の飯より大好きです!
「愛実ちゃんから聞きました。お兄さんは巨乳の女の子を見て、鼻の下を伸ばしていると」
「なっ……」
「加えて、巨乳の彼女を作って、おっぱいを揉みしだきたいとも言ってました」
「ちょ⁉」
俺の癖が筒抜けなんですけど⁉
というか、妹の親友にバレてるとかどんな罰ゲームだよ!?
あの野郎、桂華ちゃんになんてことを教えてるんだ!
家に帰ったら覚えとけよ。
「でも私は、そこまで胸が大きくないので、そう言う目でお兄さんに見られたことはありません」
「いやっ……まあそれはそうだけど……」
桂華ちゃんの胸元は慎ましやかで、安心して視線を送ることが出来る。
変な気を起こすこともないし、むしろそっちの方がいいのでは?
「お兄さんには、私のことをそう言うエッチな目で見て欲しいんです!」
えっ、ちょっと待って、どういうこと!?
桂華ちゃんが俺にエッチな視線を向けて欲しい……?
意味が分からない。
「いやいやいや、どうしてそうなるの⁉ 普通に考えて、エッチな目で見られるとか、嫌に決まってるでしょ⁉」
「そんなことないです。女の子はいつだって、気になっている男の子からは、性的な目で見られたいんです!」
どうやら桂華ちゃんには、気になっている男の子がいるらしく、その人のためにも、おっぱいをおっきくして、女としての魅力を増やしたい様子。
「つまり桂華ちゃんは、その気になっている人のためにも、おっぱいをおっきくしたいと」
「はい。だからそのためにも、お兄さんに協力して欲しいんです。私のバストアップに付き合ってください!」
深々と頭を下げてくる桂華ちゃん。
よく分からんが、俺にバストアップの協力をして欲しいとのことらしい。
恐らく、俺が邪な視線を向けるようになったら、巨乳になったという指標にでもしたいのだろうか?
にしても、女心というのは、本当に分からないなぁ……。
「でも、桂華ちゃんには桂華ちゃんの良さがあって、わざわざそのために胸を大きくする必要はないんじゃないかな? 他の魅力を伝えれば、きっとその人も分かってくれると思うよ?」
「いいえ、断じてそれはありません! だからこそ、私はおっきいおっぱいを手に入れる必要があるんです!」
桂華ちゃんの気になっている異性の奴は、何て意固地なのだろうか?
まるで俺みたいじゃないか。
是非そいつと、おっぱい談義をしてみたいものだ。
とまあ、桂華ちゃんの気になる人については置いといて、この頼みをどうすればいいのかを考えることにする。
貧乳の子が、巨乳の子へ憧れを持つということはよく聞く話だ。
桂華ちゃんもその一人であることに違いはない。
俺に出来る事があるかは分からないけど、彼女のためにも、少しでも協力してあげたいと思った。
「分かった。桂華ちゃんの真摯な気持ちは受け取ったよ。微力ながら、桂華ちゃんのバストアップに付き合ってあげる」
「ほ、本当ですか?」
「あぁ、妹が変な入れ知恵を桂華ちゃんに仕込んだ罪滅ぼしも含めて、協力させてくれ」
「ありがとうございます! 私、お兄さんの期待に応えられるよう、絶対に巨乳おっぱいを手に入れてみせますね!」
桂華ちゃんは握りこぶしを作ると、めきめきと闘志を燃やしている。
「まあ、ゆっくりコツコツやっていこう」
こうして、俺は妹の友達のバストアップに付き合ってあげることになったのである。
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