第5話 レディ・カモミールの手記

 あの方は


 わたくしのことなんて見てくれないのだ。


 それならば


 それならばもう開放してほしい。


 あの方が開放してくれたのなら


 わたくしは遠くへ行くわ。


 どんな手を使ってでも。


 きっと


 たくさんの涙を流すことになるだろう。


 たくさん泣いてしまうだろう。


 それでも


 それでも信じているのだ。


 またいつか


 笑顔の明日が迎えられるように。


        ⚘⚘⚘


 そう記し、

 

 レディ・カモミールはペンを置いた。

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