第161.2話 え? どういうことだ?(2)

(侯爵令息視点)



え? どういうことだ? どうして我がイーノック家の屋敷にレトスノム家の使いの方々がこんな時間に来ているんだ?



「これは間違いなくレトスノム公爵家の紋章……こんな時間に使いの方が来られるということはよほどのことのようですな」



父上が対応すると、間違いないという。そして、よほどのことというのも気になる。公爵家が……まさか、ミロアの身に何かあったのか!?



「差し出がましいのですが、俺にも詳しいことをお聞かせください! もしかして、ミロアのことでなにかあったんですか!?」


「オルフェ様、今回は貴方様のことなのです。勿論、詳しい話を聞いていただきたく存じます」


「え? 俺?」



どうやら、ミロアに何かあったわけではなかったようだ。ただ、俺に用があると言うのが気になる。何か問題になること起こしたっけ? 学園でもローイ・ミュドと言い争いをするくらいなんだけど……?




…………え? どういうことだ?



「あの、もう一度分かりやすく説明していただけますか?」


「つまり、ガンマ殿下とローイ・ミュドは、ミーヤ・ウォーム男爵令嬢に貴方を口説かせて上手い具合に不貞の証拠を作り上げようと目論んでいるのです。我々はその計画を逆手に取って、ガンマ殿下たちを追い詰めようと考えています。そのためにも、オルフェ様にも協力していただきたく存じます」


「ガンマ殿下達がそんな巫山戯た計画を……!?」



それが本当ならなんてやつらだ。仮にも王族ともあろうものが不貞の証拠を作ろうとするなんて……っていうか、この人今なんて言った?



「あの、俺にも協力してもらうって……まさか、例の男爵令嬢の誘惑に落ちたふりをしろとでも言うんですか!? そんなのは絶対に御免こうむります! 俺はミロア一筋ですから!」



ミロアが俺を誘惑してくれるなら大歓迎だが他の女は嫌だ。ましてや、あの馬鹿王子が熱を上げている女なんて逃げたくなる。っていうか、殿下は好きな女が他の男を口説いてもいいのかよ!?



「ご安心ください。当日はオルフェ様にはミロアお嬢様とご一緒にいてくださるだけでいいのです。ただ、従者の服装をしていただくことになりますが」



え? どういうことだ? 何故、この俺が従者の格好にならなければならないんだ?



「……ミロアと一緒にいられるのなら構わないが、何故従者の格好に?」


「オルフェ様本人だと周りに気づかせないためです。偽物を見破られても困りますからね」


「偽物?」


「見ていただいたほうが早いですな。ゴウル、姿を見せなさい」


「御意」



使いの者の合図で一人の貴族の青年が現れる。それも、普段俺が来ている外用の服装で、俺と同じ銀髪灰眼。そして俺と同じ……顔?



「……え?」



え? どういうことだ? どういうことだ!? 俺がもうひとりいるではないか!?



「え、ちょ、おい、どういうことだよ!? こいつ誰だ!?」


「彼は当日、貴方の影武者役を担う者です」



えええ〜!?

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