第67話 謝罪

屋敷の中庭で和やかに行われる茶会。その中心には、ミロア、イマジーナ、スマーシュの女三人だった。彼女たちの会話はスマーシュのことで始まり、そこからそれぞれの普段の暮らしや好きなことなど本当の親子のような会話を始めた。



そして、ミロアのけじめをつける時が来た。



「――義母様、私ミロアのせいでこの屋敷で暮らせなくなって本当に申し訳ありませんでした。私が『あの日』にお二人を受け入れていれば今日のような日はもっと早く来ました! 貴方方には、本当に不自由に……!」



過去の出来事に触る会話になったことをきっかけに、ミロアは謝罪のタイミングとしてイマジーナとスマーシュに頭を下げた。謝罪の言葉を口にするのだが、罪悪感による激情によって途中で声が止まってしまう。そんなミロアをイマジーナは優しく諭した。



「ミロア様……あれは仕方のなかったことです。あの頃のミロア様は母君を失った子供、それなのに旦那様に新しい母だと言われても受け入れられないことくらい理解できます」


「で、ですが……!」


「私達は不自由など感じませんでした。旦那様はほぼ毎日私達に顔を出してくださったのです。ミロア様にも、私とスマーシュにも。二つの屋敷を往復するなんて大変だったでしょうに」



イマジーナの言うとおりだった。『あの日』からバーグはミロアのいる屋敷とイマジーナとスマーシュのいる屋敷を往復する形で通っていたのだ。いくら距離が比較的近いとはいえ相当苦労したことは間違いない。



「むしろ、ミロア様がすぐに受け入れたりすれば貴女の心に負担がかかったことでしょう。そう考えると、私達のあり方は必然だったのです。今日という素晴らしい日のため、私達が仲良くできるこの日のために」


「……!」


「だから、貴女の気持ちが許さないでしょうから『気にしないでください』とは言えません。そして、貴女が謝罪に答えてほしいのなら『許します』と言えます」


「…………っ!」


「そして、過去のことで向き合うために反省してくださってありがとうございます。今日から親子のように仲良くやっていきましょうね」



ミロアは驚かされた。義母イマジーナが心優しい女性だと人づてに聞いていたが、ここまで言ってくれるとは思っていなかったのだ。



(なんていい人なの……。こんな人を拒絶していた自分が過去にあったなんて……穴があったら入りたい!)


「あ、ありがとうございます! ありがとうございます……!」



心の底からイマジーナが義母で良かったと思うミロアは涙ながらに感謝した。そして、ずっと静観していたスマーシュも口を開く。



「お姉様、よくわからないけどワタシもお姉様を許しますし、ありがとうって言います!」


「うん……スマーシュもありがとうね……」



涙を拭い冷静になっていくミロアはスマーシュを抱きしめる。妹の言葉もミロアに響いたから少し感激したからだ。



(彼女たちが私の家族で良かった……!)



この後も茶会は続くのだが、スマーシュはあることに気づいた。



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