死を嫌う君は、生きる意味を見つける
葉名月 乃夜
第1話
「この世」というものが、いつから存在していたかなんて、誰も分からない。
宇宙がどうやって出来たのかも、生物がどうして生まれたのかも、星が何故出来たのかも、知る術はない。
故に、私達人間が、何のために生きているのかも分からない。
何故、私は生きているの?
私は、死んだらどうなるの?
人間がいつから居たのか、どうやって作られたのか、何故生かされているのか。
何気なく生きている時、ふと振り返ってみると、そんな疑問がありふれる。
当たり前の日常を送っている人間が、実は一番謎に包まれているのではないか。
そして、そんな人間が支配するこの地球も、また謎だ。
いや、地球どころか、この世界全てが不思議に包まれているとも言える。
この世界は、いつからあった?
この世界は、いつか終わりが来るのか?
そんな疑問が出てきたのは、いつからだったけ。そんな、世のことわりを突き詰めたくなったのは、何でだろう。
始まりは、いまいち分からない。
でも、気になり出したら止まらなかった。
知りたい、という好奇心が湧き上がった。
私は、自分自身で考えてみた。
その謎の真相を、解明したくなった。
まず、この世の始まり。
この世という世界は、誰が作ったんだろう?
神様だとか言われているけど、あれは単なる、人間の想像だ。
いるはずのない、架空の生き物。
作れるわけがない。
だとしたら、誰が作ったのか?
そもそも、作られたのか?
もしかしたら、始めから宇宙というものがこの世の中心だったんじゃないか。
真っ黒い空間こそが、世の中の全てだったんじゃないか。
でも、もしそうなら、宇宙はどうやってできた?
星はどうやってできた?
なんのために作られた?
確か、宇宙はビックバーンという、何もないところから突如現れると言う現象でできたものだと聞いた。
でも、何もないところから何かが生まれるなんて可能なの?
原子も意志も物体も何もないなんてあり得ないし、増してや何もないのに急に出てくるわけがわからない。
何故、何もない場所から、現れたの?
考えれば考えるほど分からなくなり、疑問が満ちてくる。
その時、頭の、奥深くがズキっと痛み出した。電撃が走ったような痛み。脳に手が入ってぐっと抑え付けられた感覚。まるで、これ以上、思考を進ませないようにするかのように。
私は遡ることをやめ、先のことを考えるようにした。見えない未来のことを。
私は、どのくらい生きていくのだろう?
どれだけ、余命が残されているのだろう?
いつ、死ぬのか?
死ぬって、どんな感覚なんだろう?
人間は、死んだらどうなってしまうのか?
あの世と言われる場所に行って、生まれ変われるのだろうか。
あるいは、消えてしまうのか。意識も、魂も、この世にいたという存在も。
何も無くなって、終わってしまうのか?
私は消えてしまうのか?
全て、忘れられて、世界は進み続けていくのか。
途端、また脳みそが痛んだ。今度はさっきよりも強く、激しく。考えていることを、体が拒んでいるかのように。
同時に、胸の奥に、不審な感覚が芽生えた。心臓を、恐怖という虫が這っているかのような、そんな違和感。
心をぎゅっと締め付けられる感触が、私を襲う。呼吸がうまく出来なくなって、震えが止まらなくて、頭痛がした。
思わず、疼くまる。片手は頭、もう一方は胸に手を当てて、激しい痛みを抑えた。
怖い怖い。世界から消えてしまうのが、魂が尽きてしまうのが、死んでしまうのが堪らなく恐ろしい。
この時、この瞬間から、私は「死」を今まで以上に恐れるようになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます