第4話 同じような違うような世界
「さて、改めて自己紹介としようか。名前と、なぜあんなところに倒れていたのか。教えていただけないだろうか。」
優衣菜は、正直に言っていいものかわからず、とりあえず曖昧に答えることにした。
「私は...なぜあそこにいたのか、わからないのです。目が覚めたら知らないところにいました。」
間違ってはいないが、決して正解ではない。それでも白馬の王子様の同情は得られたようだ。
「それは、記憶がない、ということか?」
「そうかもしれないわね。なぜあそこにいたのか、ここがどこで今が何年の何月何日なのか。それはわからないわ。」
優衣菜は、異世界だということもまだ信じきってはいなかった。異国の知らない少数民族なら、こ んな格好でも普通なのかもしれない。そう思ったから。
「ちなみに、名前と年齢は覚えているか?」
ここは絶対にきちんと答えるべき。そう思ったので、
「名前は、星ノ宮 優衣菜(ほしのみや ゆいな)。21歳よ。よければあなたの名前も教えてほしい のだけれど。」
正直に名乗り、そう聞き返すと、白馬の王子様は少し驚いたような顔をしてから、
「そ、そうだな。名前を聞いたのなら私も名乗るべきだな。失礼した。 私の名前はジェイソン リュミエールだ。ホシノミヤは...」
「あ、あの、ごめんなさい。ファーストネームが先ね、うっかりしていたわ。ユイナ ホシノミヤ、です。」
「そうか。それでは、ユイナ。あなたはこの国の出身ではないかもしれないな。」 うっかりしていた。基本ファーストネームが先だということくらい考えてみれば分かるのに。
「そうかもしれませんね。では、この国のことについて教えていただけませんか?」
この国の出身ではない。そう言った。なのでそこから情報が得られると思い、さらに聞いてみるこ とにした。
「そうだな...この国の名前はアイステリア。この大陸最大の国家だ。アイステリア王国は、壮大な 土地を持ち、資源にも恵まれている国だ。そして今は王暦5124年。世界暦だと7036年だ。日付 は5月6日。どうだ?記憶とあっているか?」
確か優衣菜が車に撥ねられたのは4月27日。日付はあり得なくはない数字だ。ただ、暦がおかしい。今は西暦2023年のはず。世界暦が7036年というのは聞いたことがない。やはり異世界に来 てしまったのか...
「そうですね...日付は覚えているものと10日ほど進んでいるけれどそんなもんかしら。」
「何かあったらまた聞いてくれ。それより優衣菜。顔色が悪いぞ。休んだらどうだ?」
優衣菜の中で理解力がキャパオーバーを起こしてしまったようだ。白馬の王子様もとい、ジェイソ ンの好意に甘えて、休ませてもらうことにした。
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