第7話 幼なじみといつものコース
いつものように、学校が終わって部屋に駆け込もうとすると林二が、玄関先にいた。
「久しぶりー」といつものように声をかける。
「何が久しぶりだよ。散々携帯の着信無視しやがって。まあ、昨日もやきもきしたけど女3人で帰ってきたみたいだし」
「えっ覗いていたの?! いやらしい。なんであんたにそこまでされないといけないのよ」
「わかんない?」
「わからないわよ」とにかく着替えてこいよ。促されていつものコースに二人で出かける。そう、近くの大型施設内をウロウロするという時間つぶしコース。
まずはゲーセンコーナーで金額内で(今日は600円)多く取った方が食べたいものを負けた相手に奢る。それからお互いに見たいショップでウインドショッピングっていう、小学生の頃からのお決まりコース。
「おおっラッキー。今日は俺の勝ちだ悪いなあ。奢れよー」林二が、大げさに騒いだ前にはお菓子のタワーが、少しくずれかけた台があった。二人共学生のお小遣いの中でどう有意義に過ごすか。培った年期が違うのでセミプロ並みの腕前になっていた。だから、そういうチャンスはめったに逃さない。
案の定(チュチュ欄)と書かれた大きいビニール袋にゲットしたお菓子をパンパンに膨らませて誇らしげに歩いてくる。
「今日は、ラーメンでいいぞ。」
店内の地下にある激安ラーメン(巣のみ屋)でお任せラーメンを注文して食べる。
「いやあ、うまい。奢りだと一段とうまいなぁ ハハハ」
満足げな表情を浮かべ、ラーメンを美味しそうにすする。
「皮肉? そんなことをするためだけで連絡とってきたの?」
「そうだよ。日常が非日常になってからありがたがってちゃ遅いんだよ。」
「何、わかんないこと言ってるの?」
ラーメンの汁を飲みながら答える。(あっ、もしかして離婚のことをいってるのかしら)
「これから、どうするの?」今日一番の深刻な会話だ。
家が売れるまで、今の家にいるつもり。家が売れ次第、母さんの実家に行って暮らすと母さんは言ってる。あいつは(父)浮気宣言をしてから開きなおって、離婚して荷物まとめてさっさと女の所にいきやがった。
俺はあと1年半高校生活もあるし、バイトしながらここら辺にアパートでも借りるかな。それとな、お前に頼みがあったんだ。「えっ、なんだあそういうこと。お金ならないよ」「って。誰が学生のお前に金借りるかよ」
「岬って、ガキの頃から俺とフラフラ遊んでいたわりには頭いいよな。高校も、すんなり公立の進学校受かって」早い話が家庭教師をしてほしいということだった。
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