いつも、あなたのそばに

クースケ

第1話 隣の幼馴染

雛野 岬は学校から帰ると2階の自分の部屋に駆け上がり、鞄を放り投げベットに身体をダイブさせる。ああーこの疲労感を優しく包み込んでくれる羽毛布団。

このまま、温かさにうとうととしかけた時…いつもの声


「岬ー、帰ったんだろう?」その声を遮るように、毛布を頭からかぶるようにして深く潜る。このまま無視をしたら諦めてくれる。いや、そんなやわな奴ではなかった。

「おい、いるんだろう。」また呼んでいる。もう、たまには勘弁してよ。分譲住宅の隣の近さったら最悪。

幼馴染の秋田 林二とは生まれた時からの付き合い。親同士が仲がいいので兄弟のように育った仲。

高校は別々になったものの。お互い帰宅部ということもあり頻繁に部屋を行き来する仲。


窓を勢いよく開けて「たまにはほっといて。私これから寝るから」といいすて、次の言葉も聞かずにカーテンを閉める。

ベットに目がいくけど目が冴えてきちゃった。制服のままだということに気が付き着替える。

学校での親友の井上 カノンとの会話を思い浮かぶ。

「今年もバレンタインが近いというのに相変わらず、彼氏なしだあ」カノンが昼食のうどんを食べながらいう。

「本当だよね。その日は二人でウインドショッピングでもする?」

「なあに言ってんの。岬は幼馴染みの彼がいるじゃない」

「えっ、林二 ?! 何度もいったけどお互い生まれた時から近くにいすぎて、兄弟みたいなものだよ」

「林二くんだっけ、彼の方はそうでもないかもよ」というと、からかうような表情になる。

「いやー、流石にないない」林二のとぼけた顔が浮かぶ。


制服をハンガーにかけながら(そもそも、林二が近くにいるから彼ができないのかも)さっき冷たく突き放したのも、その会話の余韻があったからだ。

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