046 音楽ついでに工作である
お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。パパ、ごめんちゃい。
父親が普通すぎる絵を書いて私に酷評されてスネていたが、絵画教室の貴重な戦力。なので私がかわいく謝ったら、絵の先生に多大な力を注いでくれた。明日も仕事があるんだから、無理するなよ~。
翌日はヘトヘトの父親を見送り、私たちも学校に行って帰ったら、音楽の授業だ。ピアノの先生には申し訳ないけど、今日は私の授業は無しにしてもらって発声練習に付き合ってもらっている。
「じゃあ、ドの音からね。マ~~~♪」
「マ~~~♪」
先生のピアノと声に続いて私も声を出したら、ジュマルにもやらせる。
「にゃ~~~♪」
「ズコーーーッ!」
ピアノの先生、昭和感が凄い。ジュマルが三段落ちみたいに「にゃ~」って言うものだから、イスから滑り落ちた。女子大生って言ってなかったっけ?
「ジュマル君。いまのはミの音だったよ。もっとピアノの音をよく聞いてね?」
「『にゃ』は??」
「面白いからオッケー!」
音程がズレていたからずっこけたのかと思ったけど、やっぱり「にゃ」でずっこけていたのでちょっとホッとした。
「ララちゃんも『にゃ』で行こう! さんはい!
「「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ~♪」」
「ジュマル君、外れてるよ~?」
でも、私まで「にゃ」を強要されて音階を言わされるので恥ずかしい。しかし、ジュマルにとってはこっちのほうがいいかもしれないと我慢して付き合っていたら、母親が部屋に入って来て動画を撮り出した。
「キャーーー! なんてかわいいの~~~!」
理由は、子供でも美男美女が「にゃ~にゃ~」言ってるから。この母親は、音楽でも邪魔をするのか……
「ですよね? その動画、私にも送ってくださ~い」
「いいですよ~? でも、ネットに上げたら訴えますからね~??」
「はい! 毎日見て癒されるぅぅ~」
ピアノの先生、趣味で言わせてたんか~い。
今日もなんだか納得のいかない私であったとさ。
ピアノの先生は母親から誓約書を書かされていたけど満足した顔でスキップで帰って行ったら、先生は父親とタッチ交代。私と父親で、ジュマルと母親に絵を教える。
ただ、今日の「にゃ~にゃ~」言ってる音楽の授業が大画面テレビで流れているので、誰も集中できない。私、めっちゃかわいいな!
この日は私も見入ってしまったので授業にならず。BGMには使えないってことになり、泣く泣く封印する両親であった……
それからというもの、学校から帰ってから絵画教室と音楽教室を開いていたら、音楽が先にジュマルも理解してくれた。絵に関しても時間は掛かったけど、ここまで書けたらもういいだろう。
「アハハハハ。なにそれ!? アハハハハ」
「猫やで」
「猫だよ??」
「ふ、2人とも、プッ。く、口がふたつある。アハハハハ」
何も見ないで絵心ないレベルまで書けるようになったもん。その下手さが絶妙すぎて、私が笑い死にしそうだからやめたいってのもある。
「猫やんな?」
「猫だよね~?」
「アハハハハ。もうやめてよ~。アハハハハ」
ジュマルと母親には猫に見えているらしいので、私はずっと転げ回ることになったのであった……
「パパ、猫に見えるよね?」
「プッ……うん。フフフ……上手くなったな……クックックックッ」
「笑ってるじゃな~い。ちゃんと見てよ~」
私だけでは納得できないと父親に見せたらやっぱり笑われたので、母親はしばらく機嫌が悪かったのであったとさ。
図画工作の図画はジュマルもできるようになったので、ラストは工作。様々な工作キットをネットショップで買って作らせる。当然、母親は戦力外通告……
「ララちゃん下手ね……そんなガタガタな車、真っすぐ走らないわよ?」
「どこで間違えたんだろ……」
「説明書も見ないで作り始めたところだね」
いや、珍しく私が戦力外通告だ。だってこういうのは全てあの猫にやらせていたもん!
ちなみに母親は、母子家庭だったから必要に迫られて家具とかの修理をやっていたらしいから、そこそこ器用なんだって。父親より上手かったよ。
工作もジュマルが理解してくれたので、これでなんとかミッションはコンプリート。担任の安達先生に授業を抜けさせてもらい、ジュマルの教室を見に行ったら下手なりに授業を受けていたから感動だ。
しかしながら、音楽の授業ではずっこけた。
「「「「「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ~♪」」」」」
クラス全員で「にゃ~にゃ~」言ってたから……
あとで池田先生に聞いたところ、発声練習でジュマルがやっていたのを女子が「かわいい~!」とかマネして、男子にも波及したらしい……池田先生、ごめんちゃい。
こうしてまた私はジュマルの音楽教育に戻り、「にゃ」を封印させるのであったとさ。
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