019 変化である
お兄ちゃんの前世は猫である。私の名前は広瀬ララ。知らないったら知らない!
ジュマルが突然
「「「「「ええぇぇ~……」」」」」
さすがに全員、ドン引き。
「「それはダメだ~~~!!」」
さらに、ジュマルが幼女の顔を舐め出したので、父親たちが焦って引き離していた。幼女2人は満更でもない顔をしてたし、パパさんをポコポコ叩いてるけど、なんで??
「「「「ララちゃ~ん?」」」」
「ちるか! おにちゃたちにきけ!!」
なので、また私に質問が来たから、私は段ボール箱に籠城するのであったとさ。
なんだかんだあった誕生日会は、時間も過ぎれば解散。ジュマルにホの字になった娘のパパさんたちは抜け殻みたいになっていたけど、命辛々、私たちは家に帰った。
「「「はぁ~~~……」」」
家に帰るなりソファーに倒れ込んだ、母親、父親、私は、ドッと疲れが出て同時にため息が出てしまった。ジュマルは元気にリビングを駆け回ってる。
「ジュマ君が友達と仲良くなったのは、いい傾向よね?」
「アレを友達というのは微妙だけど……そうだな」
「……マフィアのボス?」
「群れのボスかな??」
母親と父親の感想に、私も激しく同意。
(もしかしたら、子供たちにも本能的な物が出たのかも? お兄ちゃんは猫の群れのボスをしていたから、頼り甲斐があるとか? だから女子もメロメロになっていたのかも……え~。せっかく集団行動ができる糸口が見えたのに、また違う問題が出て来たよ~)
ただし、そんなことを言ったら両親がますます混乱するので、私はそのまま眠りに落ちたのであった。
それからなんだかママ友スリーが我が家に訪れることが多くなり、ジュマルも子供たちと仲良くやっている。
何故、我が家に来ることが増えたのかと母親が聞いていたので盗み聞きすると、子供たちがジュマルに会いたいとうるさいんだって。あと、自分の家だと片付けが面倒くさいとかも言っていた……
わたし的には「なんて迷惑な!」とか思っていたけど、母親はけっこう嬉しいらしい。ママ友とも話せるし、ジュマルが人に慣れることができるから助かってるんだとか。
いちおう私がきつく言っているからジュマルも幼女の顔を舐めなくなったけど、幼女2人がジュマルから離れないので、ハーレム状態は続いている。大翔君は子分継続だ。
ちなみに私は……
「ララちゃんもあのドラマ見てたんだ~。面白いよね~」
「あい」
ママ友の輪に加わっている……どちらかというと、こっちのほうが楽なんだもん。私もジュマルの世話、疲れてたんだな。
「第31回、広瀬家、家族会議を始めます」
そんな日々を過ごしていたら、家族会議が始まった。回数が増えすぎて、母親も20回目辺りから拍手をしなくなってる。ジュマルはいつも通り参加せず。
「ジュマルを幼稚園に入れるのに賛成の人は挙手!」
「「……」」
そう。秋になったからこんな会議を開いているのだけど、私と母親は無言で目を合わせている。
「え? ダメ? 友達とも仲良くできてただろ??」
ノリノリの父親とは違い、私たちの反応は微妙。
「いまから入れて、勉強について行けるかどうか……」
「おにちゃ、バカ……」
だって、勉強が身に付かないし、すぐ集中力を切らすんだもん。座っているのも、私が命令して15分が限界だ。
「じゃ、じゃあ保育園に預けるか?」
「そうしたいのも山々だけど、ママ友に聞いたら待機児童が凄いんだって。4、5歳から入るのも珍しいみたい。希望出してもいつ入れるかどうか……」
「やらないよりマシだろ。僕が出して来るよ」
「だね。お願い」
ジュマルの保育園行きが決定したみたいだけど、なんて羨ましい。私なんて、自分で書類の提出してたよ! この父親、顔だけじゃなく内面までイケメンだな。育児放棄していたどっかの猫にも見せてやりたいわ。
「次はララだな。幼稚園一択だよな?」
「うん! かわいい制服着せよ~」
「ドラマみたい……」
私の意見は無視。近所の幼稚園を
「さあ、行くぞ!!」
「おお~!」
父親の音頭でどこへ行くのかというと、近所の公園。何故2人とも気合いを入れているかわからないけど、私もジュマルもベビーカーに乗せられてやって来た。
「あらあら。広瀬さんじゃないですか。この公園は立ち入り禁止と言いましたでしょ?」
気合いの理由は、上品な奥様方が公園の入口で通せん坊しているからみたい……どゆこと??
「あの時は申し訳ありませんでした」
「この通りジュマルも落ち着きましたので、どうか利用の許可をいただけませんか?」
私、納得。今まで公園と言えば車で行っていたのは、ジュマルがやらかして近所の公園は出禁を喰らっていたのだ。だからわざわざ車に乗って、ちょっとでも風当りのいい公園に行っていたのだろう。
でも、それなら3年以上昔のことなんだから、この奥様方、しつこいな。もう時効でいいじゃない。
「落ち着いたのに、まだベビーカーが必要ですの?」
「そ、それは、念の為で……」
「ちょっとグズッただけです! いまから証明しますので!!」
奥様に痛いところを突かれて父親は頼り無さそうになったので、母親が声を張り上げて助ける。そして、私からベビーカーから下ろされた。
「ひろせララでちゅ。パパ、ママ、おにちゃともども、こんごともよろちくおねがいちまちゅ」
「「「「「はうっ……」」」」」
最終兵器「ララ」の投入。私がペコリと頭を下げて笑顔を向けただけで、奥様方は胸を押さえて倒れそうになってる。凄いな私の笑顔!
奥様方の足がわなわなとなっているうちに、決戦兵器「ジュマル」の起動。何度も私が落ち着かせてから手を繋いで立たせた。
「この通り走ることも少なくなったのです!」
「もう、誰にも襲い掛かったりしません!」
父親と母親は力説してるけど、そんなことしたんだね……とか思っていたら、奥様方も再起動した。
「そ、そうなのね。でしたら、少し様子を見させてもらうわ。ララちゃん、あそこで遊んでるのが私の息子の
「あい。おにちゃ、仲間しょうかいする」
奥様は私との繋がりを作ろうとしていたみたいだが、たぶんここに来た理由は他にあるのだろう。なので私は、この公園にいる子供全員に、ジュマルを紹介して回るのであった。
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