第34話 オークの強さ



 ダンジョン地下1階では魔獣と出会うことなく、地下2階へと下りた。


 この前来た時は、魔獣とのエンカウントがやたら低く、4回しか戦闘をしなかった。


 こんな状態だと、『狩りすぎ禁止』のルールに納得するしかない。


 ここからは魔獣とエンカウントする確率が上がりそうだから、気を引き締めていこう。


 マップを左手に持ち替え、いつでも剣を抜けるよう右手を空けておく。



 10分ほど歩いて、オーク2体と出くわした。


 先日来た時は銃で瞬殺されていたから、このオークがどんな攻撃を仕掛けてくるのか、直に見るのははじめてだ。


 剣を抜いて様子見をしていると、2体同時に向かって来た。


「くそう。面倒な」


 1体づつならじっくり観察できるのに、同時だと手抜きできないだろうが!


 オークは2体とも棍棒を振り上げながら走り寄って来る。


 左側を盾で凌ぎ、右側オークの棍棒を剣の腹で叩いてバランスを崩させる。


 そのままの勢いで首をはねた。


 それを見ていた残りは、後退して距離を取ろうとしたから、一気に距離を詰めて棍棒もろとも袈裟斬りにする。


――――ズサッ。


 2体のオークは崩れ去り、塵になって消えてゆく。


 なるほど。これがランク1か。


 魔石を回収して先へと進む。


 手応えがまったく無く、若干フラストレーションが溜まる。


 その後、同じように3体のオークを軽く倒した。


 合計5体の討伐が終わってしまい、今日の探索はこれで切り上げなければならなくなった。


「この程度の魔獣なら、確かに入門用にちょうどよいかもしれない。いくら初心者でも、ソロでなければ死ぬことはないだろう」


 ダンジョンを出て魔力渦を通って、ライセンスカードを回収した。


 帰還後の検査所へ向かい、荷物を全部出してチェックを受ける。


 何も口にしていないからゴミは出ていないし、出かけた時と同じ状態だ。


 魔石の買い取りもここでやってくれるから、5つの魔石を出す。


「5個でこの時間か。ソロにしては早いな」


 出発してから1時間経過していないが、あの程度ならこんなもんだろう。


 魔石の査定には少し時間がかかる。



 着替えて戻ってきたら、魔石5個で1万円の買い取り額だった。


 ライセンスカードに入金してもらい、ソロで5体討伐の結果だったから、シーカーランクが2に上がった。


 もうここへ来ることはないだろう。


 指定の魔力渦へ荷物を届けてくれるサービスもあるが、次にどこへ行くか決めてないから、装備の収納ケースは持ち帰ることにした。


 防御壁の外へ持ち出す場合は、さらに厳重なロックが施される。


 間違って収納ケースが開かないための処置になる。


 防御壁の外でロックが解除されると、厳しく処分される。


 ライセンスの取り消しや、場合によっては懲役刑になるから、取り扱いには気をつけないといけない。


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