第24話 俺が倒れていた所



 ランク1の魔力渦へ行った5日後。


 俺がこの世界に戻ってきた時、倒れていた埋立地の魔力渦調査に同行する日だ。


 発見されて四ヶ月くらい経過している。


 魔力渦の向こうは山の中腹に繋がっていて、周辺調査に時間がかかっているらしい。


 ダンジョンは山のふもとに発見された。


 詳しい調査はまだのようで、ダンジョンのマップは地下1階のものしかない。


 国連としては、積極的に異世界を探索するつもりはないようだ。


 危険度を測ることを目的とした探索にとどめているらしい。


 無用の誤解などから、異世界と戦争状態になることを避けたいんだろう。



 ヘリに乗って目的の埋立地に到着した。


 病院の屋上から見えたくらいだから、近いんだろうなと思ってたけど、ヘリだと一瞬だった。


 ここの魔力渦は出現したばかりで、周辺整備はあまり進んでいない。


 プレハブ小屋が並んでいる程度だ。


 防御壁の工事だろうが、重機がたくさん動いていてかなりうるさい。


 せっかくの見晴らしが台無しだな。


 少し歩いたところで、「ここに足守さんが倒れていました」と教えられた。


 魔力渦のすぐ近くだ。


 どうやって送り返された?


 戻る前の記憶がないのはどうしてか?


 何ひとつ思い出せていない。


 魔力渦を見ると、この前見たランク1のものよりかなり大きい。


 魔力渦の大きさと、異世界の脅威度は比例していないことはわかっているから、大きさではランクを判断できないそうだ。


「近くに来ればなにか思い出すかと思ったが、ダメだな、何も思い出せない」


「そうですか。残念ですね」


「そのうち、思い出したらちゃんと言うよ」




     ◆




 魔力渦を抜けた先は森の中だった。


 周辺は伐採されているが、斜面がキツイから平地に均すのは無理だろうな。


 周囲を見ても、俺の居た異世界かどうか? それはわからなかった。


 足元に気をつけながら山を下ると、10分くらいでダンジョンの入り口が見えてきた。


 これまで、ダンジョンの外では魔獣を発見していないそうで、ここの魔獣は積極性がないのかもしれないと言われている。


 ダンジョンまで20メートルくらいの所で、隊長さんが指示を出した。


「これよりダンジョンへ潜入する。

 発見されたばかりのダンジョンだ。

 いつも以上に警戒を怠るな!

 楕円防御陣形をとれ」





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 近況ノートに、作中に登場する国連の職員・岩沼さんのイメージイラストをアップしました。

 見てくださると嬉しいです!



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