第02話 現状確認
3年前。
俺は高校入学を目前に控え、文房具を買うため商店街へ出かけた。
そこで、強い立ちくらみに襲われて気を失ったんだと思う。
次に覚えているのは、酷い頭痛で目が覚めたこと。
意識はもうろうとしていたし、酷い頭の痛みと吐き気がしたのを覚えている。
「うぅ……。何が起こったんだ?」
「勇者様。お目覚めでしょうか?」
◆
ある日突然、こんな感じで異世界から召喚された。
元の世界に戻って来たようだが、今は拘束されているようで身動きがとれない。
俺は異世界で理不尽な仕打ちを受け続けた。
これくらいのことで腹を立てたりしない程度には大人になった……つもりだ。
寝ていても見えるのは、用途がわからない大量の電子機器。
確実にあの異世界と違う。
この状況と医者の話しを合わせると……。
ここは、俺が生まれ育った懐かしい世界だと思っていいのかもしれない。
それにしても。
俺の記憶では、国連は軍を組織することもあるけど、それが日本に居ることが疑問だ。
今の日本は、国連が支部を作って軍が配備される程おかしなことになっているのか?
ほんの数年で、いったい何が起こったんだ?
それに、どうして俺は戻って来ることができた?
魔王を倒す長旅の最後の目的地は、俺を召喚した人族の王都へ向かい、魔王討伐の報告をすることだった。
王都に戻ったのは覚えているのに、その先が思い出せない……。
数年前、異世界に飛ばされた時と同じで、記憶に障害が起きているのかもしれない。
まぁ、あの時と同じでそのうち思い出すかもしれないな。
異世界への移動旅行なんて、生身の人間が耐えられるもんじゃないよなぁ。
こうして生きて戻れたことを喜び、記憶の混乱程度で済んで良かったと考えよう。
とんでもない環境で、何度も死にそうな目に遭った。
それでも、パーティーメンバーを誰一人失うことはなかった。
無事に魔王討伐の旅を終えることができたのは、生き延びることを最優先にした結果だろう。
どんな時でも、何があっても、とにかく耐える。
希望が無くても絶対に諦めない。
『ポジティブに行こう!』
これが俺の信条だ。
あいつらとだから成し遂げることができたんだろうと思う。
他のメンバーはどうしてるかな?
故郷に帰って功績を労ってもらっているといいが……。
シャロは人族だから、そのまま王都で歓迎されまくりかな?
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